8ヶ月にわたる治療と療養~がん経験者が語る「がん治療と仕事の両立」Vol.5~
こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
今回は「がん経験者が語る、8ヶ月にわたる治療と療養」についてご紹介します。
がん治療のため、休職する従業員が直面する「つらさ」をご存じでしょうか?がんと分かった時のつらさ、家族へ伝える辛さ、経済的な負担に対する辛さ…、そして、治療による身体的つらさなどがあります。
第5話では、約8ヶ月にわたったティーペック社員花木の治療と療養の日々、そしてそれを支えた人々についてご紹介します。
(以下、本人による執筆記事です。)
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抗がん剤治療がスタート
さまざまな社内サービスを活用させてもらいながら、4ヶ月超にわたる治療が始まった。
最初は病巣を小さくするための、通院による抗がん剤治療だった。
週に1回、3種類の抗がん剤を投与していく。
点滴の最中は「ぐっすり」、そして翌日以降は「ぐったり」という生活を2ヶ月間送った。
時に吐き気や倦怠感に襲われ、途中からは脱毛が始まり、髪の毛もぜんぶ剃ってしまった。
そして最も辛かったことの一つが、口内炎だった。最大でいちどきに8個あったときは、何も食べる気が起きず生きる気力を失いそうになったものだ。
辛く苦しい放射線治療
少し間をおいてから、今度は病巣を消滅させるための放射線治療(計35回)が始まった。
放射線治療装置(IMRT)に横になって、予めシミュレートされた箇所に毎日一定量の放射線を当てつづける治療だ。
最初の10回目くらいまでは何も症状が出なかったのだが、その後、まず味覚がなくなり、次には喉がただれて針を何十本も飲み込むような痛みが襲ってきた。
医療用麻薬で痛みを最小限に抑えていたものの、最後の方は、それでも我慢できず、予め手術で造設していた胃ろう(お腹と胃をつなぐ穴)から半固形物を摂取するのが精一杯だった。
ここだけの話だが、「治療をやめたい」と妻にもらしたこともある。でも最後は応援してくださっている方々を思い浮かべては気力でやりきった。
ようやく8ヶ月にわたる治療・療養が終わった……
その後、放射線治療の効果が出るまでの3ヶ月間を療養期間に充て、最終検査を行った結果、「がんの再発や転移等の所見も認めない。9月1日以降、就労復帰可能と判断する」という診断を無事いただくことができた。
長い長い8ヶ月にわたる治療と療養がようやく終わった。
このときのことは今思い出しても苦しい思い出だが、逆に、「あれだけ苦しい思いをしたのだから、今後何があっても大丈夫」という、人生の逆境を乗り越えていく上での武器も手にすることができたと感じる。
また、治療期間中、勤務先のメンバーからは、メッセージが入った寄せ書きユニフォームを送ってもらった。このユニフォームを病床で目にしたとき、私は、自分には戻れる居場所があるということにただただ感謝し、そしてそれをモチベーションに辛い治療・療養に耐えることができた。
3回目の記事にも書いたが、やはり逆境を乗り越える上で、仲間の応援は力なのだ。
【がん経験者が語る~がん治療と仕事の両立】
・Vol.1 がんとの出会いと会社への告白
・Vol.2 がん宣告を退職の引き金にしてはいけない
・Vol.3 制度だけじゃない、待っててくれる人がいる職場
・Vol.4 社内制度活用で安心して治療を受ける
・Vol.6 がん治療の最終収支報告
・Vol.7 がん再発の不安を和らげてくれる職場環境
花木 裕介
ティーペック株式会社 サービス企画室 マネージャー。産業カウンセラー。
2017年12月、中咽頭がん告知を受け、標準治療(抗がん剤、放射線)を開始。翌8月に病巣が画像上消滅し、9月より復職。がん判明後より、ブログ『38歳2児の父、まさかの中咽頭がんステージ4体験記! 〜がんチャレンジャーとしての日々〜』を開始し、現在も執筆中。
著書に、『心折れそうな自分を応援する方法 〜現役子育てパパでも夢を諦めない』(セルバ出版)、『青臭さのすすめ ~未来の息子たちへの贈り物~』(はるかぜ書房)など。
国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」(厚生労働省の委託事業)の認定講師としても活動中。
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提供元:
T-PEC Channel
【ティーペックサービスを使い倒して生還した、ある30代がん罹患社員の記録5】苦しい治療を支えてくれた「寄せ書きユニフォーム」
https://t-pec.jp/ch/article/336
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※当記事は2019年9月時点のT-PEC Channel(https://t-pec.jp/ch/article/336)で作成されたものを元に、データやイラストのみ一部修正したものです。(2022年4月更新 ※記事内の一部文言修正しました。)
※法制度については作成当時のものを参考に作成しており、最新の制度は変更となっている可能性があります。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事が全てのケースにおいて当てはまるわけではありません。
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