健康・予防・両立支援
仕事と治療の両立 2019/07/09

制度だけじゃない、待っててくれる人がいる職場~がん経験者が語る「がん治療と仕事の両立」Vol.3~

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
今回は「がん経験者が語る、会社によるハード・ソフト両面の支援」についてご紹介します。

制度の充実だけではなく、実際にその制度を気兼ねなく使える社内風土なくして、働きやすい環境は整えることができません。「働きたい」従業員の望みをかなえるために、病気になっても治療と仕事を両立してもらうことのできる、雇用支援は必要不可欠です。

治療を続けながら安心して働くために、さまざまな福利厚生の制度を活用し、『がん治療と仕事の両立』をする、ティーペック社員・花木の実体験をご紹介します。
(以下、本人による執筆記事です。)

会社の福利厚生をフル活用!

かくして、私とティーペックとのがん治療が始まった。

まずは、「がん治療と仕事の両立支援制度」を活用させてもらうことにした。

人事担当者と連携し、治療休暇を取得し、検査やセカンドオピニオンの通院にも活用させてもらう。

また、健康保険組合からの傷病手当金の申請方法をはじめとした各種社会資源利用におけるアドバイスも豊富にもらった。

その他、入社時より数ヶ月に一度通っていたメンタルヘルスカウンセリングも活用し、治療前の不安を聞いてもらったり、治療中も途中経過を振り返ったりと活用してきた。

特に、がん宣告の前週に通ったカウンセリングは、私にとって心の支えとなった。

がん治療と仕事の両立支援サービスを活用したティーペックの福利厚生制度を利用

がん宣告前週のカウンセリングについて

先にも述べたが、私は入社時より、会社の福利厚生を利用して、数ヶ月に一度、心理カウンセラーからカウンセリングを受けている。

カウンセリングは、うつ病などの疾患でなくても、健常者がメンタルヘルス不調にならないように予防として使うこともできるのだ。

話題は、仕事や家族、自分の目標や人間関係などさまざま。

たとえ悩みや相談がないときであっても、その時点での自分の気持ちや葛藤を整理できるし、その数ヶ月の成長の実感も得られる。

がん宣告の前週にもカウンセリングを受けた。この週は仕事もハードで、気力はほとんど残っていなかったが、それでも約束の場所、約束の時間に向かい、50分間、話し続けた。

『もしも病気だったら…。不安や恐怖はもちろんある。

でも、何か起きたとしても、自分は自分のこれまでやってきたことを引き続きできる範囲でやるだけだ。

仕事も家事育児もそれ以外の活動も、これまで自分なりに精一杯やってきたのだから、今さらジタバタする必要はないじゃないか。

評価や成果は必ずしもついてきてはいないものの、自分のコントロール範囲ではなんだかんだで全力でやってきたのだ。結果がどうなろうと、これからもそのスタンスを貫けばいい。

でも、家族や会社には迷惑をかけるかもしれないな。こんなときでもやはり迷惑をかけたくない自分がいる。それだけが気掛かりだ。』

……といったことを話した。カウンセラーの方は、ただただ私の話を聞いてくれ、そして、否定することなく言葉一つ一つを受容してくれた。

ティーペックのメンタルカウンセリングの画像

※上の写真は、花木が入社した頃に、弊社のパンフレット用に撮影したものです。

ハードとソフト

こうした制度は、主に「ハード面」の充実といえる。セカンドオピニオンを使わせてもらったり、専門家であるメンバーからさまざまなアドバイスをもらったり、メンタルヘルスカウンセリングにも通わせてもらったりすることで、私はベストな治療環境を整えることができた。

しかし、「ハード面」さえ整えればいいかというと、必ずしもそうではないと思う。

職場のメンバーからの温かい応援や、回復したら戻ってきて良いんだと思える、つまりは「ソフト面」からの支援が、制度を積極活用する上でやはり不可欠ではないだろうか。

例えば、私の場合、休職に入る前に全社員向けに病名を発表し、さらには個人的にブログを公開し、治療の様子を逐次チェックできるようにした。

こうしたオープンなやりとりは、風通しの良い職場環境でなければ決して実現しなかっただろうし、そうしたコミュニティを築いたことで、応援の声をたくさんいただくことができた。

このように、たとえ制度が充実していたとしても、実際にその制度を気兼ねなく使える社内風土なくして、活用率向上は難しいということを、実体験として強く感じた。

私の場合は、前述のようなソフト面からの支援があったからこそ、安心して治療に専念する環境を与えてもらうことができたのだ。

特に、上司には、がんの疑いのある段階から、万一のことがあっても全面的に治療を後押しするとコメントをしてもらったり、関係各所と調整をしてくれたりと、私の体を第一優先に動いてもらえたことが大きかった。

誰が罹患してもこのような体制がとれるような企業風土を醸成することも、制度導入と同じくらい重要なことのように思われる。

私自身の経験がそのお役に立てれば、今後も喜んで寄与していきたいと思う。

【がん経験者が語る~がん治療と仕事の両立~】

・Vol.1 がんとの出会いと会社への告白
https://t-pec.jp/work-work/article/143

・Vol.2 がん宣告を退職の引き金にしてはいけない
https://t-pec.jp/work-work/article/144

・Vol.4 社内制度活用で安心して治療を受ける
https://t-pec.jp/work-work/article/146

・Vol.5 8ヶ月にわたる治療と療養
https://t-pec.jp/work-work/article/147

・Vol.6 がん治療の最終収支報告
https://t-pec.jp/work-work/article/148

・Vol.7 がん再発の不安を和らげてくれる職場環境
https://t-pec.jp/work-work/article/149

花木 裕介

花木 裕介のプロフィール画像

ティーペック株式会社 サービス企画室 マネージャー。産業カウンセラー。
2017年12月、中咽頭がん告知を受け、標準治療(抗がん剤、放射線)を開始。翌8月に病巣が画像上消滅し、9月より復職。がん判明後より、ブログ『38歳2児の父、まさかの中咽頭がんステージ4体験記! 〜がんチャレンジャーとしての日々〜』を開始し、現在も執筆中。
著書に、『心折れそうな自分を応援する方法 〜現役子育てパパでも夢を諦めない』(セルバ出版)、『青臭さのすすめ ~未来の息子たちへの贈り物~』(はるかぜ書房)など。
国家プロジェクトである「がん対策推進企業アクション」(厚生労働省の委託事業)の認定講師としても活動中。

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提供元:
T-PEC Channel
【ティーペックサービスを使い倒して生還した、ある30代がん罹患社員の記録3】「がん治療と仕事の両立支援サービス」初体験!
https://t-pec.jp/ch/article/314
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※当記事は2019年07月時点のT-PEC Channel(https://t-pec.jp/ch/article/314)で作成されたものを元に、データやイラストのみ一部修正したものです。(2022年4月更新 ※記事内の一部文言修正しました。)
※法制度については作成当時のものを参考に作成しており、最新の制度は変更となっている可能性があります。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事が全てのケースにおいて当てはまるわけではありません。