パワハラになる行為とは?自分でできるストレスチェックも紹介
こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
※当記事は2022年8月に作成されたものに、専門家監修のもと加筆・修正を行っています。(2023年12月更新)
ストレスチェックとは、労働者の心の健康を守るための制度です。検査の結果によって職場のパワハラのストレス状況が把握できるので、企業は職場環境の改善につなげるために実施しなければなりません。この記事では、パワハラの定義とパワハラになる行為もあわせて解説します。自分でできるストレスチェックも紹介するので、ストレスの状態の確認に役立ててください。
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<目次>
◆ストレスチェックとは何か
◆ストレスチェック制度の目的
◆ストレスチェックの対象者
◆ストレスチェックの実施方法
◆パワハラの定義
◆パワハラに該当する行為
◆高ストレスの結果になった場合に必要な対応
◆自分でできるストレスチェックとは
◆まとめ
ストレスチェックとは何か
ストレスチェック制度の目的
ストレスチェックの対象者
ストレスチェックの対象者は、厚生労働省が定めた「事業場が常時使用する労働者」です。常時使用するとは、※期間の定めの無い者で、週の所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であることを指します。
※期間の定めがある労働契約の場合は、当該契約の契約期間が1年以上である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者
ただし、1週間の労働時間数が同種の業務に取り組む通常の労働者の約2分の1以上である労働者であっても、契約期間が1年以上である場合、ストレスチェックの実施が推奨されています。事業者である社長や役員、派遣労働者は派遣元事業者が実施するとされているため、対象者にはなりません。
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく ストレスチェック制度 実施マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-1.pdf
ストレスチェックの実施方法
ストレスチェックは、点数評価によって、「個人のストレスの程度」だけでなく、「高ストレス者の選定」を行うことができます。以下で、解説します。
調査票でストレスを点数評価する
ストレスチェックは、調査票を使って「ストレスの原因」「ストレスによる心身の自覚症状」「働く人に対する周囲のサポート」に関する質問項目に答えるアンケート形式の検査です。す。労働者のストレスは点数で評価されるため、客観的な指標で職場や仕事のストレスの確認ができます。検査には80項目のストレスチェックがおすすめです。
80項目の検査は職場環境を細かく調べられるので、集団分析によりハラスメントやストレスの要因が見つかる可能性を高められます。検査23項目や57項目のチェックもありますが、より詳細に調査を行うために、80項目の検査を行うとよいでしょう。
高ストレス者の選定方法
高ストレス者とは、ストレスを感じている自覚症状が高い人です。また、自覚症状に対して、ストレスの原因や周囲のサポートの状況が著しく悪い人と定義されています。検査において、以下のどちらかを満たしている人が高ストレス者として見なされます。
・「心身のストレス反応」の評価点数が高い
・「心身のストレス反応」の評価点数の合計が一定以上、かつ「仕事のストレス要因」及び「周囲のサポート」の評価点数の合計が著しく高い
パワハラの定義
パワハラの定義は、職場における地位や権力を利用した、いじめや嫌がらせなどです。要件は、以下の通りです。
・優越的な関係を背景とした
・業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
・就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)
優位性を持った立場であれば、指導や教育だけでなく、部下から上司に対する言動もパワハラになる場合があるので注意しましょう。
パワハラに該当する行為
以下で、パワハラに該当する行為を解説します。自社の業務の中で、行われていないかを確認しましょう。
身体的な攻撃
殴る、蹴るなどの、相手の体に危害を与える行為はパワハラに該当します。直接的な暴力だけでなく、髪を掴んだり、書類やペンなどの道具で叩いたりする場合もパワハラになるため注意が必要です。モノを投げる行為や、モノを蹴ったり叩いたりすることで、言論や意見を出させない場合でも身体的な攻撃に該当します。
精神的な攻撃
精神的な攻撃は、脅しや暴言、侮辱などにより、相手に精神的なダメージを与える行為です。直接相手に伝えるだけでなく、メールやチャットなどの文面でのやり取りでも精神的な攻撃と見なされます。以下、会社で起きる精神的な攻撃の具体例です。
・他の社員の前で「バカ」と連日叱られる
・「無能」「役立たず」などの侮辱的な言葉をかけられる
人間関係からの切り離し
職場の人間関係からの切り離しを行うことはパワハラに該当します。対象者の孤立や隔離、無視、仲間外れなどの行為は、精神的にダメージを負ってしまうため未然に防止しましょう。以下、会社における人間関係からの切り離しの例です。
・社員全員が参加するイベントに自分だけ呼ばれない
・上司に話しかけても無視される
過大な要求
完遂できない仕事などを強いる行為は過大な要求に該当し、パワハラに認定されます。業務とは関係ない仕事を押しつける場合も、不当な行為によるパワハラになります。以下、過大な要求にあたる具体例です。
・何も教わっていない状態の新入社員が、業務内容とやり方を教わらないで業務を押し付けられる
・業務時間内では終わらない仕事を、終わるまで帰れないと指示される
過小な要求
能力や経験とかけ離れた仕事を命じる行為や、仕事を与えない行為などの過小な要求はパワハラに該当します。現場に出さずに、メールや電話などに対応させ続けることなども、パワハラとして認定されるため注意が必要です。以下、過小な要求の例です。
・営業として採用されたのに、研修後も電話番をさせられる
・延々と単純作業だけ命令される
個の侵害
職場において、社員個人のプライバシーを侵害する行為は「個の侵害」になり、パワハラに該当します。業務時間外の対応や休日の時間を侵害するなども、個の侵害として扱われます。以下、個の侵害に該当する行為です。
・休暇中に誰とどこへ行くのか報告するよう命令される
・スマートフォンを勝手に見られる
高ストレスの結果になった場合に必要な対応
自分でできるストレスチェックとは
厚生労働省の「5分でできる職場のストレスセルフチェック」を使うと、個人でもストレスチェックを行えます。4つのステップからなるストレスチェックを5分程度で回答することで、ストレスの状態を手軽に把握できます。職場でストレスチェックを実施する前に、労働者の状態を確認することで、職場の改善につなげましょう。
厚生労働省「5分でできる職場のストレスセルフチェック」
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/
まとめ
パワハラになる行為は、ストレスチェックで労働者の状態を把握することで予防・防止につなげることができます。検査の結果から、仕事や人間関係などによるストレスの根本的な原因を見つけ、医師のアドバイスをもとに健全な職場環境を作りましょう。より詳しく調査する場合は、80項目のストレスチェックがおすすめです。
<事務局より>ティーペックのストレスチェックでは、実施のスケジューリングから期日管理まで初めての担当者さまでも適切に実施できるようサポートします。パワハラを防止するためにストレスチェックをやりっぱなしにせず、結果をしっかりと活用できる、充実した職場環境改善サポートサービスをご提供いたします。ぜひご活用ください。
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≪監修者プロフィール≫
石川 弘子
特定社会保険労務士/産業カウンセラー/ハラスメント防止コンサルタント
青山学院大学経済学部経済学科卒業。2004年石川社労士事務所を開業し、2016年フェリタス社会保険労務士法人に組織変更し、代表社員に就任、現在に至る。企業の労務相談を受けているほか、障害年金請求手続きや、産業カウンセラーとして、企業のメンタルヘルス対策などにも携わる。著書は『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)、『モンスター部下』(日本経済新聞出版社)。
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※当記事は2022年8月に作成されたものに、専門家監修のもと加筆・修正を行っています。(2023年12月更新)
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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