ストレスチェック80項目の特徴は?質問でわかることや57項目版との違いを解説
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こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
※当記事は2022年8月に作成されたものに、専門家監修のもと加筆・修正を行っています。(2023年12月更新)
ストレスチェック80項目は、労働者のストレス判定から働きがいやハラスメントまで、標準版のストレスチェック57項目よりも詳細な調査が可能です。データで社員の本音や傾向を把握し、労働環境の見直しができます。この記事では、ストレスチェックの80項目の概要から活用方法を解説します。職場のストレスチェックを行う際は、ぜひ参考にしてください。
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<目次>
◆ストレスチェック80項目とは
◆ストレスチェック80項目と他の項目の違い
◆ストレスチェックの目的
◆ストレスチェックに含める3領域
◆ストレスチェックの集団分析とは
◆集団分析の方法
◆ストレスチェックの注意点
◆まとめ
ストレスチェック80項目とは
ストレスチェック80項目は、標準版のストレスチェック57項目版に追加の23問を加えた合計80項目で構成されています。労働者のストレスを判定するだけでなく、働きがいやハラスメント、上司のマネジメント、人事評価の公正さに関するデータの取得も可能です。
80項目の質問に回答することで、より詳細な調査が可能になり、具体的な職場改善のアイデアを出しやすくなります。
ストレスチェック80項目と他の項目の違い
ストレスチェックは80項目の他に「57項目」と「23項目」があり、どちらも特徴が異なります。以下で、それぞれの違いを解説します。
ストレスチェック57項目との違い
ストレスチェック57項目は、厚生労働省が推奨しているスタンダードなストレスチェックです。5分程度で回答が完了します。80項目を比較すると手早く調査ができるため、回答者の負担を抑えられます。労働者の職場に対するストレスの原因や、本人のストレス反応が把握できるので、多くの企業や事業場で利用されています。
ストレスチェック23項目との違い
ストレスチェック23項目は、ストレスチェックの57項目版を、より簡略化したものです。問題数が半分以下と少ないため、質問の回答から詳しいデータが得られません。労働者のストレスの原因を調査した上で対策を行いたい場合は、80項目や57項目のチェックを利用して、詳しく調査することをおすすめします。
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ストレスチェックの目的
ストレスチェックに含める3領域
ストレスチェックは、大きく分けて3つの領域を含めた項目によって検査を行います。以下で、それぞれについて解説します。
仕事のストレス要因
仕事のストレス要因は、職場環境における労働者の心理的な負担のことです。仕事の量や質、労働時間、人間関係、転勤などによるストレスをチェックします。仕事のストレスの要因は多岐にわたるため、より細かくチェックできる80項目のテストがおすすめです。長時間労働や交替勤務制など、働く条件そのものに問題が見つかる場合もあります。その場合は早めに対処しましょう。
心身のストレス反応
心身のストレス反応は、仕事でストレスを受けたことで心と体に起きた反応を指します。ストレスによって憂鬱感や倦怠感、頭痛や胃痛などによるストレス反応の原因の発見が可能です。主に自覚症状を回答するため、労働者自身に起きている変化を確かめられます。ネガティブな感情とポジティブな感情どちらも測定する尺度から調査を行います。
周囲のサポート
周囲のサポートは、労働者の人間関係に関する調査です。職場の同僚や上司に加えて、プライベートの親族や友人など、あらゆる観点から人間関係による支援を確認します。サポートの多さは仕事の満足度に影響するので、労働者のストレス耐性を測るためのチェックを行います。周囲のサポートが少ない場合は、職場全体の見直しが必要になります。
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ストレスチェックの集団分析とは
集団分析の方法
集団分析は一定の人数を調査することで、より詳細なデータが得られる分析方法です。集団分析の方法を解説します。
10人以上のデータを収集する
集団分析は、より多くの人数を調査することで職場の精密なデータが取れます。ただし、「集団規模が10人未満の場合は個人を特定されるおそれがあるので、全員の同意がない限り結果の提供を受けてはいけない」とされているため、原則10人以上のデータを収集するとよいでしょう。個人情報が公開されることもなく、全体の傾向を掴むために有効な手段になります。
※回答者が10人未満の場合でも、同じ部門の調査結果を合算して分析する方法や、ストレスチェックの評価点の総計の平均値を求める方法など、個人が特定されるおそれのない方法を用いれば分析は可能です。事業場の実情に応じて工夫して対応しましょう。
分析結果は5年間保存する
ストレスチェックの集団分析の結果は、5年間保存することが望ましいとされています。ストレスチェックの結果とは異なり保存義務はありませんが、データがあれば推移を経年変化でみて職場のストレスの状況を把握・分析することができます。より正確な分析を行うためにも5年分のデータは保管しておきましょう。
また、集団分析の結果の保存方法については、ストレスチェックの結果や面接指導の結果の保存方法を定めるときと同様に、ストレスチェック実施前に衛生委員会などで「誰が、どこに、どのように保存するか」を調査審議し、社内規程などで定めておきましょう。
厚生労働省「ストレスチェック制度実施規程(例)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150930-1.pdf
集団分析の「判定図」を活用する
集団分析の「判定図」の活用は、図でストレスの状況を把握する方法です。ストレスチェックの判定図は、「仕事の量的負担・コントロール判定図」と「職場の支援判定図」という二つの図で構成されており、ストレスチェック調査票における4つの尺度である「仕事の量的負担」「コントロール」「上司支援」「同僚支援」に点数を付けます。
点数を全国平均値と比較することで、企業のストレスの状態を可視化できます。図の点数が低くなるほどオレンジ色に近づき、低くなるほど白色部分に近づきます。白色の部分に近づけるように低ストレスな職場環境を目指しましょう。
ストレスチェックの集団分析とは?評価方法とメリットを解説 >>
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※出典:厚生労働省「ストレスチェック制度 導入ガイド」より引用
ストレスチェックの注意点
ストレスチェックは義務や罰則などがありますが、一方で労働者への強制はできないため、受検を拒否されるケースもあります。ここでは、注意点を解説します。
ストレスチェックは企業に義務化されている
ストレスチェックは企業に義務化されているため、毎年1回は行わなければなりません。労働者が50人以上の事業場を対象に義務化されており、該当する事業場は必ず実施します。
報告義務を怠ると罰則を受けることがある
ストレスチェックを実施しない場合でも、労働基準監督署への報告義務が発生します。一定条件に該当した場合、パートやアルバイトでもチェックを受ける必要があります。報告義務を怠ると、50万円以下の罰金刑になるため注意が必要です。ただし、労働者が50人未満の企業・事業場には報告義務がありません。
ストレスチェックの受検を拒否されることがある
ストレスチェックの受検は拒否できる制度なので、労働者に強制して受検させることは禁止されています。受検を拒否された場合は本人に理由を聞き、受検するメリットを伝えて、懸念点を解消しましょう。日頃から心理的なストレスや不安を感じている労働者は、話し合いの機会を設けて、事前に話し合うことも重要です。
また、ストレスチェックを受けない労働者に対して、これを理由とした不利益な取り扱いを行うこと(拒否を理由に懲戒処分を行うなど)も禁止されていますので、注意してください。
回答者のプライバシーは保護する
ストレスチェックを受検した場合、回答者のプライバシーは法律で保護されます。労働安全衛生法において、実施者と実施事務従事者、ストレスチェックを受けた本人以外に結果を伝えることは禁止されています。本人の同意を得た場合は事業者側がストレスチェックの結果を知ることができます。
高ストレス者の対応が必要になる
ストレスチェックで高ストレス者の判定が出た場合、メンタルヘルス不調の改善を希望する労働者に対して医師による面接指導が必要です。医師の面接指導後は、概ね1ヶ月以内に面接指導を実施した医師から意見を聴取することが適当です。期限を守って職場環境の改善に取り組む必要があります。医師の意見をもとに、労働時間や業務量の見直しを実施しましょう。
まとめ
ストレスチェック80項目は詳細なデータが取れるため、スタンダードな57項目のストレスチェックよりも、労働者のストレスを把握しやすくなります。早期に実施することでストレスの原因を把握でき、職場環境の改善につなげられるでしょう。
<事務局より>ティーペックのストレスチェックでは年間650社以上(2023年12月時点)、64万名以上を分析する実績から設計された充実のプログラムから課題にあったプログラムを提案します。ストレスチェックをやりっぱなしにせず、結果をしっかりと活用できる、充実した職場環境改善サポートサービスをご提供いたします。ぜひお役立てください。
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≪監修者プロフィール≫
石川 弘子
特定社会保険労務士/産業カウンセラー/ハラスメント防止コンサルタント
青山学院大学経済学部経済学科卒業。2004年石川社労士事務所を開業し、2016年フェリタス社会保険労務士法人に組織変更し、代表社員に就任、現在に至る。企業の労務相談を受けているほか、障害年金請求手続きや、産業カウンセラーとして、企業のメンタルヘルス対策などにも携わる。著書は『あなたの隣のモンスター社員』(文春新書)、『モンスター部下』(日本経済新聞出版社)。
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参考
・厚生労働省「ストレスチェック制度実施規程(例)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150930-1.pdf
・厚生労働省「ストレスチェック制度 導入ガイド」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf
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※当記事は2022年8月に作成されたものに、専門家監修のもと加筆・修正を行っています。(2023年12月更新)
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