メンタルヘルス・ハラスメント
メンタルヘルス 2024/01/19

職場でのメンタルヘルスケアの重要性と推進方法を解説【医師監修】

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

事業者は、労働者のこころの健康状態についても適切にサポートしていく必要があります。メンタルヘルスにかかわる不調は、職場環境や仕事などによるストレスによって起きることが多く、誰にでも起こり得るものです。この記事では、メンタルヘルスの重要性と企業に求められるケア、メンタルヘルスケア推進のポイントについてご紹介します。メンタルヘルスケアの重要性や職場で推進する方法を本記事で学びましょう。以下、医師監修による記事です。

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<目次>
◆メンタルヘルスケアの重要性
└メンタルヘルスケアとは何か
└メンタルヘルスケアの3つの予防段階
◆職場におけるメンタルヘルスケア
└職場におけるメンタルヘルスケアの重要性
└企業に求められる4つのケアとその効果
 └ラインケア
 └セルフケア
 └事業場内産業保健スタッフ等によるケア
 └事業場外資源によるケア
◆職場におけるメンタルヘルスケアを推進するために
 └ストレスチェックの活用
 └メンタルヘルス研修の実施
 └相談窓口の設置
 └産業医面談
◆メンタルヘルスケアの重要性と職場における推進方法についてのまとめ

メンタルヘルスケアの重要性

メンタルヘルスケアの方法を調べている方の中には、「メンタルヘルスそのものについてよくわかっていない」といった方も多いのではないでしょうか。まずは、メンタルヘルスの意味とケアの重要性について解説します。

メンタルヘルスケアとは何か

メンタルヘルスは、こころの健康状態を指す言葉です。

たとえば、今日は気分が明るい・軽い、やる気が出てくる、穏やかでゆったりとした感覚といった状態なら、こころの面は健康的といえるでしょう。一方、ストレスが溜まっていてやる気も出ない、落ち込んでいる、趣味に没頭する気持ちが出ないといった場合は、メンタルヘルスという点で不調をきたしているといえます。

メンタルヘルスの不調は誰にでも起こり得るものなので、それぞれがメンタルヘルスについて理解し、社会全体でサポートしていけるよう協力していくのも大切です。しかし、メンタルヘルスのサポートとは何か、わかりにくい側面もあります。

そこで企業も覚えておくべき対策が、メンタルヘルスケアです。厚生労働省によると、事業場におけるメンタルヘルスケアとは、労働者のこころの健康を保持増進させる方法のことを指します。働く人のメンタルヘルスに不調が起きない仕組みづくりや、こころの状態に合わせたサポートなどを推進、準備していく取り組みです。

メンタルヘルスケアの3つの予防段階

メンタルヘルスケアにおいて事業者が取り組むべきことは、3つの段階に分けて予防策を用意することです。

一次段階はメンタルヘルスの不調を防ぐための対策です。従業員の現状を確認し、職場環境の改善につなげるためのストレスチェック制度などを定めます。

次に、上司や産業医と相談しやすい環境を整え、メンタルヘルスの不調をきたした従業員を早期に見つけ、適切なケアを施せるようサポートする二次予防に取り組む必要があります。

最後に、メンタルヘルスの不調で休職していた従業員の職場復帰をサポートしていく三次予防までが、企業の支援すべきケア方法の基本です。

事業者だけでは対処できない問題でもあるので、一次予防から三次予防を円滑に進められるよう、従業員向けに情報の提供や共有を推進したり教育研修を実施したりしながら、組織全体で取り組める体制を整えていきましょう。

職場におけるメンタルヘルスケア

続いては、職場におけるメンタルヘルスケアの重要性や、企業に求められる4つのケアとその効果について1つずつ確認していきましょう。

職場におけるメンタルヘルスケアの重要性

職場におけるメンタルヘルスケアは、従業員のこころの健康増進に加えて、事業のリスクマネジメントや生産性という観点でも欠かせない取り組みです。

たとえば従業員のメンタルヘルスの不調によって、今まで効率的に進んでいた業務に時間がかかるようになったり、注意力低下などでミスを招いたりといったリスクが出てくる可能性もあります。また、不調が長期化してしまうと離職につながるおそれもあり、生産性の低下だけでなく人材不足といった問題も招きかねません。

メンタルヘルスケアの体制を確立させておけば、メンタルヘルスの不調の早期発見や休養などによって生産性低下などのリスクを防ぐことにつながります。

またメンタルヘルスケアの体制を整える過程で職場環境が改善されれば、従業員のモチベーションアップやこころの健康増進などによる、生産性向上も期待できます。

不調の早期発見および早期対処がスムーズにできるようになっていれば、業務中の事故や不適切な対応による企業のイメージダウン、訴訟などのリスクを回避することが可能です。このように、事業者にとってもメンタルヘルスケアは非常に重要な要素です。

企業に求められる4つのケアとその効果

企業に求められるメンタルヘルスケアの方法は主に4つに分類されます。それぞれのケアと関連する取り組みを含めて「心の健康づくり計画」(※1)と呼びます。

※1 厚生労働省 「心の健康づくり計画」
https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/0405mentalhealthplan03.pdf


事業者には、4つのケアに関するこころの健康づくりに向けた計画の策定、事業場での方針に関する説明や情報共有、教育研修の機会を提供したり事業場外資源(地域の医療機関など)とのネットワークをつくったりする役割が求められます。

以下に、4つのケアに関する特徴と期待される効果を紹介します。

ラインケア

メンタルヘルスケアにおけるラインケアは、管理監督者(経営者と一体的な立場にある者)が主導となって、職場の環境改善や従業員のメンタルヘルス管理を行うことを指します。

たとえば従業員の言動、勤怠状況などからこころの不調が起きていないかチェックするほか、従業員からの相談に対応することなども含まれます。たとえば、管理監督者が職場環境の改善を進めるとき、次のようなフローで管理作業が発生します。

1.職場環境を評価する(改善の必要性を見積もる)
2.環境改善計画の策定と実施
3.改善計画にともなう職場の責任者への協力依頼
4.改善計画を実施した結果の測定・効果の分析

最も現場に近い位置で行われるメンタルヘルスケア対策です。

セルフケア

事業者は、従業員に対してセルフケアを実施できるよう教育研修の機会をつくったり情報提供を行ったりする必要があります。また、管理監督者自身のメンタルヘルスも大切なので、従業員と同様にセルフケアが行えるよう支援していきましょう。

セルフケアを行える体制をつくるには、ストレスチェック制度を通じてストレスやメンタルヘルス不調があるか従業員自身に気付いてもらう取り組みや、その対策としての情報提供などが必要です。

事業場内産業保健スタッフ等によるケア

企業におけるメンタルヘルスケア対策の中枢を担うのが産業医を中心とした産業保健スタッフです。職場環境の改善やメンタルヘルスケア対策の計画を立てるのが産業保健スタッフであり、人事労務部や管理監督者たちに具体的なアドバイスを行います。

メンタルヘルスケア対策を推進する業務の一環として、各従業員に関する健康情報の取扱い、具体的なケアの提案、職場復帰の支援、必要に応じて事業場外資源とのつながりをつくるといった役割を求められる立場です。産業保健スタッフには、産業医だけでなく、事業所のメンタルヘルスケア推進の担当者や、衛生管理者なども含まれます。

事業場外資源によるケア

前段でも触れた事業場外資源とは、地域の医療機関や保険機関、産業カウンセラーなどメンタルヘルスケアを提供する機関全般を指します。従業員のケアから産業保健スタッフの教育などを任せる外部リソースです。事業外資源とのネットワークを形成すれば、事業場内ではカバーが難しいより専門的な領域の支援サービスを活用したり、情報提供や助言を受けたりできます。

具体的には、従業員の治療が必要になったときに備えてクリニックと提携したり、事業場外で提供されているメンタルヘルスケアの研修に参加したりすることも含まれます。

事業所の規模によっては、産業保健スタッフを十分に確保できないこともあります。こうした資源を活用することで、それほど大きい規模ではない事業所でも、メンタルヘルスケアの対策を効率的に進めることができるでしょう。

職場におけるメンタルヘルスケアを推進するために

最後に、職場におけるメンタルヘルスケアを推進するためのポイントについて解説します。

ストレスチェックの活用

「労働安全衛生法」の改正により、2015年12月から、労働者が50人以上の事業場では年に1回、ストレスチェック検査の実施が義務付けられています。

ストレスチェックの目的は、従業員自身に自己のストレスについての気づきとケアを促すことですが、個々のデータを集め「集団分析」することも大切です。「集団分析」をすることで、役職や部署・課ごとのストレスの特徴や傾向などをつかむことができます。

「集団分析」は、法律上、努力義務とされており、実施しなくても罰則はありません。しかし、ストレスチェックをやりっぱなしにせず、結果をしっかりと活用し、職場環境の改善につなげていくことが重要です。

メンタルヘルス研修の実施

従業員一人ひとりがメンタルヘルスケアの重要性を理解し、会社全体で意識向上を図ることも重要です。従業員のヘルスリテラシーが向上することで、従業員の身体の不調や疾病、メンタルヘルス不調などに対する一次予防、二次予防、三次予防それぞれに大きな役割を果たします。

ティーペックでは以下のような研修プログラムをご用意しています。
【研修テーマ例】
・ラインケア研修
・セルフケア研修
・職場改善ワークショップ など

相談窓口の設置

ティーペックが2023年7月に行った、18~25歳の入社3年未満の若手社員1,000名を対象にした「若手社員のメンタルヘルスに関する調査」では、相談相手が社内にいる方が、いない場合よりも仕事を辞めたいと感じにくい傾向があることがわかりました。

グラフ 若手社員で「仕事を辞めたいと感じる」のは、相談相手がいない人の方が高い

上司等との人間関係がデリケートである場合は社内相談が難しいこと、若手社員の年代ならではの悩み・多様な人生観をもつ若手世代への適切な対応が求められることを考慮すると、専門家が対応する社外の相談窓口が効果的であると考えられます。

『約半数は社内に相談相手がいない?!入社3年未満の若手社員に聞いた!若手社員のメンタルヘルスに関する調査』 資料をダウンロードする>>

また、2022年4月から2023年3月までの、1年間のティーペックのカウンセリングデータを分析した調査では、従業員の悩みの要因は職場内の問題だけでなく、プライベートな要因も多いことがわかりました。

プライベートな悩みも安心して相談してもらうためにも、やはり社内ではなく外部の専門家による相談窓口を設ける必要があると考えられます。外部という気軽さから『悩み込む前に相談する』といった早期対応にも繋がります。

産業医面談

産業医は、企業と従業員の間に立って、従業員の心身の健康状態や、職場環境に関するさまざまな問題をチェック・指導してくれる重要な存在です。

特に、産業医面談によって、従業員のメンタルヘルスやそのほかの不調を早期に発見し、対応することができます。しかし、産業医面談は、従業員側からの希望がないと実施できません。守秘義務があり、面談内容は外部にもれることがないことや、産業医面談を受けるメリットを周知したりなど、企業側からの働きかけも必要です。

『従業員のメンタルヘルス不調を防ぐ!産業医の役割と産業医面談について解説【医師監修】』の記事を読む>>

メンタルヘルスケアの重要性と職場における推進方法についてのまとめ

メンタルヘルスケアは、こころの健康状態を健やかに保つための大切な取り組みです。中でも職場におけるメンタルヘルスケアは、従業員が健やかに働くうえで非常に重要です。

主な方法は4つで、セルフケアを行えるようにするための支援、ラインケアの実施、産業保健スタッフによるケア、事業場外資源からサポートを受けられる体制の構築に分類されます。企業は、メンタルヘルスケアの方法と重要性を理解したうえで、取り組みを始めていきましょう。

<事務局より>以下より、従業員のメンタルヘルスの実態について解説している資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

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<出典>
・厚生労働省 「心の健康づくり計画」
https://jsite.mhlw.go.jp/iwate-roudoukyoku/content/contents/0405mentalhealthplan03.pdf


・厚生労働省 「世界メンタルヘルスデーJAPAN2023特設サイト」
https://www.mhlw.go.jp/kokoro/mental_health_day/amh.html 


・厚生労働省 「職場における心の健康づくり」
https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf

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◆監修者プロフィール

●名前
大西良佳
●科目
美容皮膚科、ペインマネジメント、漢方内科、麻酔科、産業医、公衆衛生
●所属学会・資格
公認心理師
産業医
麻酔科専門医
ペインクリニック専門医
公衆衛生修士
温泉療法医
緩和ケア研修修了
ICLSプロバイダー
●メディア出演実績
テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」
宝島社
東京スポーツ新聞
小学館

※当記事は、2023年12月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の医師は一切関与しておらず、またサービスの監修もしていません。