健康・予防・両立支援
みんなの健康情報 2022/07/13

健康経営には欠かせない、プレゼンティーイズムの改善に!テレワークでも簡単にできるエクササイズ~肩こり編~

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

テレワーク化が進み、通勤にかかる負担は軽減されたものの、ご自宅など、不慣れな環境での仕事で肩こりや腰痛などにお困りの方も多いのではないでしょうか。こうした状態が続いてしまうと、仕事のパフォーマンスにも影響が出てきてしまいます。

今回は「肩こりの改善」をテーマに、ティーペック研修講師の傳川紀子さん(一般社団法人 コーポレートウェルネス研究会 代表理事)に、ご自宅などでも簡単にできるエクササイズをご紹介していただきました。

また、下記の会員限定記事では、各エクササイズについて、詳しく紹介している動画や、従業員向けの情報提供用としてご活用いただける、イラスト解説付きのダウンロード資料もご紹介しております。ぜひご覧ください。

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<目次>
◆講師インタビュー~肩こりの原因やチェック方法のご紹介~
◆エクササイズ(1)筋膜リリース~鎖骨~
◆エクササイズ(2)筋膜リリース~わきの下~
◆エクササイズ(3)肩をまわして血流アップ!
◆エクササイズ(4)呼吸&ストレッチでリフレッシュ

◆講師インタビュー~肩こりの原因やチェック方法のご紹介~

――――― 傳川さんは企業向け研修として、ストレッチや身体の健康に関する研修などをご担当されていますが、企業のご担当者さまからどういった目的で依頼されることが多いのでしょうか。

コロナ前ですと、肩こりや腰痛など、病気とまではいかないのですが、身体の痛み・凝りが原因で仕事の効率が下がる、いわゆるプレゼンティーイズムが気になるという企業の人事ご担当者さまや、社内の健康推進ご担当者さまなどからご依頼を受けて、従業員の方向けにストレッチ指導をしたりしていました。その後、コロナ禍になり、テレワークが進んでからも、お問い合わせをいただいています。

――――― 肩こりといったプレゼンティーイズムが、どのように仕事の生産性にかかわってくるのでしょうか。

産業医科大学の永田智久氏が日本の労働者12,000人に対して行った調査によると、日本における労働生産性低下の原因第1位は肩や首の痛み、3位が腰痛です。年間一人当たりの損失額は肩や首の痛みで47,102円、腰痛で28,742円という結果が出ています。*1)

肩や首が凝っているということは、血行不良が起きているということです。その結果、脳への血流も低下します。脳の血流量と認知機能の関係は明らかにはなっていませんが、運動で脳への血流量が増加すると認知機能が向上するという報告*2)や、脳血流量が少ない高齢者ほど認知機能が減退しているという報告*3)などもあります。

意識に上るような生産性の低下はなくとも、肩こりがあることで本来の自分の能力が十分に発揮されていない可能性は十分にあります。

また、肩が凝っているということは、身体が常に緊張してしまっている状態にあります。すると、交感神経が優位になりやすく、ストレスを感じやすくなってしまうとも言えます。

――――― 肩こりの原因は何でしょうか。

働く人に多いと考えられる原因は以下の4つです。

(1)身体全身を動かさない、動かす時間がない
人間の身体は、ずっと動かさないことに慣れていません。動くことで血液や老廃物を流すことができます。また、筋肉を動かす機会が少ないと、筋肉の弾力が低下して硬くなり、血行が悪くなります。さらに運動不足によって筋力が衰え、よい姿勢を保つことが難しくなると、より肩や首、腰への負担が増します。

(2)作業姿勢
頭の重さは体重の約10%、成人でしたら約5~6kgあります。それが、首を15度傾けると2倍、30度傾けると3倍の負荷となって首や腰にかかります。

(3)内臓の疲れ
様々な理由から内臓機能が低下すると、血流が滞り水分をたくさん含んだスポンジのように内臓が重くなります。すると、重りを身体の中でぶら下げているような状態になり、肩や首の筋肉でこれを支え続けるため、凝りに繋がります。

(4)精神的なもの
ストレスや心配、不安などがあると、脳は「戦うか、逃げるか」に備えた反応をします。すると、交感神経が優位に働いて血管が収縮したり、脳からの指令で筋肉が緊張したりして血行不良をおこし、肩こりの原因となります。

――――― 自身の肩が凝っているかどうかを判断できるようなチェック方法があれば教えてください。

以下の2つの方法でチェックしてみてください。

(1)自分のわきの下に親指を差し込み、4本の指で背中側をつかんで塊があるかどうか。
本来は柔らかいはずですが、もし塊があれば、それが凝りです。

(2)腕をまっすぐに伸ばして下げたまま肩がまわせるか?
鎖骨と肩甲骨の可動が悪くなっていると、腕を伸ばして下げたまま肩がうまく回せず、肘が曲がってしまいます。

――――― なるほど。ありがとうございます。では早速、肩こりを改善するエクササイズのご紹介をお願いします。

◆エクササイズ(1)筋膜リリース~鎖骨~

<動きの解説>
・人差し指と中指を鎖骨の上下に挟むようにあて、骨とその周りの組織をずらすように、身体の中心から肩先に向かって指の位置を変えながら動かします。
・皮膚をこするのではなく、骨とそのまわりの組織をずらすようにしましょう。
・鎖骨上側は肩先まで指を差し込み、ずり圧をかけましょう。

<回数の目安>
・片側2~3回を目安に行いましょう。「気持ちいいな」と感じたり、終わった後に肩を回して「動きやすくなったな」など、変化を感じればOKです。

<ポイント>
・このエクササイズは、フェイスラインの引き上げにも効果があります。即効性があるので、お客様に会う前やテレビ会議前などに行うのも効果的です。
・心地よく感じるくらいの圧をかけましょう。自分の身体を触りながら、どのくらいの圧がちょうどいいか探ってみてください。(赤くなったり、青あざができたりするほど力をかけるのはNG。逆に、何も変化を感じないのであれば、もう少し圧をかけてみましょう。)
・呼吸は楽に行いましょう。

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◆エクササイズ(2)筋膜リリース~わきの下~

<動きの解説>
・親指をわきの下に差し込み、4本の指で背中側をつかんで下に引っ張ります。
・腕側から肩甲骨のキワまで指をずらしながら引っ張ります。凝りがあったら、そこを重点的にほぐしましょう。

<回数の目安>
・片側5~6回を目安に行いましょう。(凝りが少なく、柔らかい場合は2~3回でOK)

<ポイント>
・筋肉の塊と塊の間をあけ、滑走をよくするようなイメージで行いましょう。
・凝りがひどくて、なかなかつかめない方は横になって行うと比較的つかみやすいので、おやすみ前などに行ってみましょう。

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◆エクササイズ(3)肩をまわして血流アップ!

<動きの解説>
・この動きは立って行います。片足を後ろにひき、つま先はやや外側に向けます。後ろ足と同じ側の腕を前から後ろにまわします(後ろ回し)。反対の手は腰です。
・人差し指で大きな円を描くようにまわします。残りの指はリラックスしてまわします。
・人差し指からレーザー光線が出ていて、その光で空間に大きな円を描くようなイメージで大きく動かしましょう。目線も指先を追いかけるように。目がまわる人は前と後ろだけ見ましょう。

<回数の目安>
・片側5回を目安に行いましょう。

<ポイント>
・息を吸って、吐きながら腕を一周まわすように行いましょう。
・座って行う場合は、指先を肩につけて肘を回すように行ってください。(この場合、目線は肘を見るように行いましょう)。

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◆エクササイズ(4)呼吸&ストレッチでリフレッシュ

<動きの解説>
・立位、または座位で行います。両手を合わせて頭上に伸ばします。両手は耳の脇です。息を吸って肋骨に空気をたくさんいれましょう。うーんと膨らませて、うーんと伸びます。
・吸いきったら、両手を開いてバーを引き下ろすように、耳の横のラインを通って肩を下げ、肩甲骨を引き寄せて下ろします。
・バーを下すときは、弾力のあるゴムを下に引っ張ってくるようなイメージで行ってください。

<回数の目安>
・全部で4回を目安に行いましょう。(時間があれば5~6回。)

<ポイント>
・立位でも座位でもできますが、座りすぎを防ぐためになるべく立って行いましょう。
・バーを引き下ろすときは、息を吐きながら一息で行いましょう。
・肩甲骨の間にある褐色脂肪細胞を活性化させるエクササイズです。行った後は、代謝が上がり、首から肩だけでなく、全身の血液がめぐるような動きになっています。

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――――― いろいろなエクササイズがある中で、今回ご紹介していただいた4種のエクササイズを選ばれたポイントはなんでしょうか。

まずは仕事の合間にやりやすいことですね。

あとは、4種のうち2種は筋膜リリースを入れました。筋膜というのは、筋肉を覆っている膜のことです。筋肉だけでなく、私たちの身体はすべて、骨も内臓も膜で覆われています。この膜組織は、すごく変わりやすく、固くもなりやすいし、柔らかくもなりやすいんです。身体を動かさないでいると、この筋膜が固くなって、動きが悪くなってしまいます。ですが、手を使ってこの膜を緩めてあげると、膜の中にあるたくさんの毛細血管や毛細リンパ管の流れがよくなり、膜も弾力を取り戻し、身体の動きをスムーズにすることができます。

また、座りっぱなしの状態もあまりよくないので、立って行い、全身の血流を促すエクササイズも選びました。

今回のエクササイズでは、「○○をイメージして」など、イメージを使って動いていただく動作を取り入れているのですが、その理由は2つです。
一つは、イメージを使うことで、より多くの筋肉が参加し機能的に身体を動かすことができるからです。そしてもう一つは、いろいろな感覚を使ってほしいと思ったからです。

在宅などで仕事をしていると、気が付くとずっとパソコンしか見ていない、視覚しか使っていない、それも限られたものしか見ていないような状態で何時間も過ごしてしまいます。感覚刺激が少ないと不安を感じやすくなります。ですから、できるだけイメージを浮かべながら、仕事とは違った頭の使い方をしてエクササイズを行っていただきたいです。

―――――ありがとうございました。最後に傳川さんからこの記事を読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。

「仕事前に筋膜リリースの運動をやる」「午後の仕事を始める前に肩回しの運動をやる」など、「この時間にこれをやるぞ」と決めて、ぜひお仕事の合間に取り組んでみてください。

もし会社で実施するのであれば「会議前に、みんなで動画を見て一緒にやってみよう」などといった使い方もできるかもしれません。1分間でも結構いろいろな運動ができるので、ぜひ取り入れてみてください。

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参考
*1)NagataT,et al. J Occup Environ Med,2018
*2)Ainslie PN,et al. The Journal of Physiology, 2008
*3)Lucas SJ, et al. Experimental Gerontology, 2012

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プロフィール

傳川紀子

一般社団法人 コーポレートウェルネス研究会 代表理事

約10年間に渡って延べ50,000人以上を対象に、ボディコンディショニング指導や若手経営者への瞑想指導を行う。身体を整えることでパフォーマンスを上げる指導を得意とする。

県立新潟女子短期大学英文学科を卒業。
中学校の英語教諭を務めたのち、関東学院大学にて建築工学を専攻し建築構造設計に従事。
ハードワークにより崩してしまった体調を戻すことをきっかけに、古今東西の様々なボディワーク、心と身体の健康について、国内と米国で15年以上に渡って学ぶ。ボディワークを小林享氏に、瞑想をディーパック・チョプラ氏に師事。
2011年に睡眠のための運動や生活習慣を解説したDVD『Perfect Sleep DVD 5』シリーズを制作。また、仕事のパフォーマンスを上げるための体操やヨガのクラス、メンタルヘルスセミナーを企業にて開催。
2016年12月より“社員の健康と幸福が生産性向上の鍵である”を理念に掲げ、企業研修・コンサルティングをグローバルに展開している米国Thrive Global社にファシリテーターとして参加。
2019年3月に一般社団法人コーポレートウェルネス研究会を立ち上げる。

【保有資格】
・骨盤調整体操インストラクター(b-i スタイリスト)
・産業カウンセラー
・上級睡眠健康指導士
・米国チョプラセンター認定瞑想&ヨガインストラクター

※当記事は2022年7月に作成されたものです
※当記事内のインタビューは、2022年4月に行われたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。