健康経営
健康経営 2023/05/17

メンタルヘルスのセルフケアと健康経営

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

今回は、メンタルヘルスのセルフケアと健康経営についてお伝えします。

セルフケアとは、従業員自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減あるいは対処することです。厚生労働省の調査によれば、仕事や職業生活において、強い不安やストレスを感じる労働者の割合は53.3%にも上ります。過度なストレスはメンタルヘルス不調を招くだけでなく、生産性の低下や事故、離職につながる恐れがあります。こうした状況を防ぐためにも、従業員一人ひとりにセルフケアに取り組んでもらうことが重要です。

ストレスと上手に付き合うための「セルフケア」の方法についてもご紹介していますので、企業で健康経営を推進するご担当者のみなさまは、従業員の方への情報提供用としてぜひご一読ください。

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<目次>
ストレスを感じる労働者の割合は53.3%
ストレス対策は、健康経営の重要事項
メンタルヘルス対策には4つのケアが必要
ストレスと上手に付き合うための「セルフケア」
ストレスによる心身の反応は、3つに分けられる
ストレスをためていないか、自己チェックをしよう
ストレスに対処する方法を知ろう

ストレスを感じる労働者の割合は53.3%

経済産業省による健康経営の定義は、「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点で考え、戦略的に実践すること」です(※1)。健康経営を行い、企業の生産性や健全性を保つためには、従業員の生活習慣病予防やメンタルヘルスケアなどを行い、「従業員の健康」を保つことが重要になります。

ところが、厚生労働省の「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事や職業生活において、強い不安やストレスを感じる労働者の割合は53.3%にも上っています。ストレスの内容をみると、「仕事の量」が43.2%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が33.7%、「仕事の質」が33.6%となっています(※2)。

令和3年度 仕事や職業生活に関するストレスの有無

【出典】
※1 経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」令和4年6月
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

※2 厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r03-46-50.html

ストレス対策は、健康経営の重要事項

ストレスがたまると、メンタルヘルスに不調をきたす可能性があるため、ストレス対策は健康経営の重要事項です。

体の不調だけでなく、メンタルヘルスの不調によっても、従業員の業務が非効率になったり、重症の場合には休職したりすることがあり、これは経営にとっては大きなリスクとなります。そこで、企業はストレスチェックを実施して、ストレスがたまっている従業員を早期発見したり、不調者に対して自分のメンタル状態の気づきを促したりしてセルフケアにつなげるなど、対策を行うことが重要です。

的確なメンタルヘルス対策を行うことは、休職のリスクを減らすだけでなく、「職場の活性化」や「生産性の向上」などの効果も期待できます。健康経営を行う経営者は、仕事のパフォーマンスを高めるためにも、従業員のメンタルヘルス対策を行い、メンタルヘルス不調の引き金になるストレス軽減対策も実施することが求められているといえます。

メンタルヘルス対策には4つのケアが必要

厚生労働省が定めた「労働者の心の健康の保持増進のための指針」には、メンタルヘルス対策として「4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要」と記載されています(※3)。

4つのケアとは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」および「事業場外資源によるケア」です。

「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減あるいは対処することです。

「ラインによるケア」とは、管理監督者が行うケアで、職場環境等の把握と改善などを行い、メンタルヘルスの不調を未然に防止することを指します。

「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」とは、セルフケア、ラインによるケアが効果的に実施されるように、事業場内産業保健スタッフが支援を行うことです。

「事業場外資源によるケア」とは、情報提供や助言をしてくれるサービスを活用したり、職場復帰の支援など、事業所外の資源を利用したケアを指します。

メンタルヘルス対策の「4つのケア」

【出典】
※3 厚生労働省「職場における心の健康づくり ~労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf

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ストレスと上手に付き合うための「セルフケア」

4つのケアのうち、自分自身が気づいて行うことのできる「セルフケア」について解説します。
セルフケアを行うためには、労働者自身が自分のストレスに気づき、これに対処するための知識と方法を身に付け、それを実施することが重要です。本人がストレスに気づくことはなかなか難しいため、ストレス要因に対するストレス反応や、心の健康についての理解が必要です。さらに、自分のストレスや心の健康状態について正しく認識する必要があります。

ストレスによる心身の反応は、3つに分けられる

ストレス要因による心身の反応にはどんなものがあるのでしょうか。公益社団法人 日本看護協会によると、ストレスによる反応は、おおまかに心理面、身体面、行動面の3つに分けることができます(※4)。

【心理面】

・不安や抑うつ(気分の落ち込み、興味・関心の低下)
・イライラ
・意欲の低下
・集中力の低下など

【身体面】

・入眠障害(寝付きが悪い)、中途覚醒(夜中に目が覚める)などの不眠
・易疲労感(あまり体を使っていないのに疲れやすい)
・頭痛、肩こり
・腰痛
・目の疲れ
・めまいや動悸
・腹痛
・食欲低下
・便秘や下痢など

【行動面】

・飲酒量や喫煙量の増加
・食欲亢進(ドカ喰い)
・ひきこもり
・欠勤や遅刻の増加
・仕事でのミスやヒヤリハットの増加など

ストレスによる「心身の3つの反応」

適切にストレス対策が行われれば、これらのストレス反応は低下・改善していきます。しかし、長く続く場合には、過剰なストレスがかかっていることが考えられます。ストレスを軽減する方法、ストレスと上手に付き合う方法を見つけることが、ストレスの軽減につながります。また、これらの症状が重い場合は、専門医(精神科、診療内科)に相談してみることも必要です。

【出典】
※4 公益社団法人 日本看護協会「個人での対応(セルフケア)」
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/safety/mental/kojin/index.html

ストレスをためていないか、自己チェックをしよう

ストレスをためていないか、自己チェックをすることもできます。さまざまなストレスセルフチェックリストがありますが、厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」には、「5分でできる職場のストレスセルフチェック」が掲載されています。こうしたものを活用して、自己チェックを行ってみるのもいいでしょう(※5)。

【出典】
※5 厚生労働省 「こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」
https://kokoro.mhlw.go.jp/check/

ストレスに対処する方法を知ろう

ストレスに対処するセルフケアの方法をいくつかご紹介しましょう(※6)。

●誰かに相談しよう

体の不調や悩みなど、ストレスを感じていることがあったら、1人で抱え込まずに誰かに相談してみましょう。例えば、家族や同僚、友人に、どんなことにストレスを感じているか話してみましょう。専門家に相談しなくても、身近な誰かに話すだけで心が落ち着き、ストレスを軽減することができます。的確なアドバイスがもらえなくても、黙って頷いて話を聞いてもらうだけで、ずいぶんと気が楽になります。また話しているうちに頭の中が整理され、自分で解決策に気がつくこともあると思います。

仕事上の悩みは、同僚や上司に相談できるといいのですが、難しい場合もあるかもしれません。職場によっては相談窓口を設けている所もありますので、職場の相談窓口を確認してみましょう。
公的な機関でも無料の相談窓口を設けており、専門家からアドバイスを受けることができますので、探してみることも一案でしょう。心身の不調が続いている場合は、医療の専門家に相談しましょう。

●「3つのR」を心掛け、ストレスに対処しよう

仕事に追われていると、ストレスがたまっていくのに気づかない場合も多いと思います。心身が疲れ切ってしまってからでは、回復が難しくなります。日頃から、レスト(Rest)、レクリエーション(Recreation)、リラックス(Relax)の「3つのR」を心掛け、早めにストレスに対処しましょう。早めの対処は、ストレスが引き起こす病気の予防にもつながります。

「3つのR」

1.レスト(Rest) 休息、休養、睡眠
休息、休養、睡眠をしっかり取ることが重要です。仕事のオンとオフの切り替えをしっかりと行いましょう。また、仕事中は、時々席を立って歩く、お茶を飲むなど、疲労がたまる前に意識して短い休憩を取りましょう。

2.レクリエーション(Recreation) 運動や旅行、趣味・娯楽、気晴らし
趣味を楽しむ時間を持つと、ストレスを発散させることができます。1週間に1度、数時間でも、レクエーションの時間を持ちましょう。好きなことに打ち込むことで、日々のストレスから意識をそらすことができます。

3.リラックス(Relax) ストレッチ、ヨガ、瞑想、音楽、アロマセラピーなど
呼吸を整えたり、筋肉の緊張を解くなど、精神を安定させるリラクゼーションを生活の中に取り入れましょう。家族や親しい友人との語らいなど、緊張を解きほぐしてゆっくりする時間を持つことも大切です。

●健康的な生活習慣を持とう

うつ病や抑うつ状態の発症には、生活習慣も関係するといわれています。
米国・カリフォルニア大学のブレスロー教授は、生活習慣と身体的健康度(疾病や症状など)との関係を調査した結果に基づいて、以下の「7つの健康習慣(※7)」を提唱しています。健康的なライフスタイルはセルフケアの基本です。ご自身のライフスタイルと比べてみてください。

<ブレスローの7つの健康習慣>
1.喫煙をしない
2.定期的に運動をする
3.間飲酒は適量を守るか、しない
4.1日7-8時間の睡眠を
5.適正体重を維持する
6.朝食を食べる
7.間食をしない

ブレスローの7つの健康習慣

【出典】
※6 公益社団法人 日本看護協会「 個人での対応(セルフケア)」
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/safety/mental/kojin/index.html

※7 厚生労働省e-ヘルスネット「ブレスローの7つの健康習慣を実践してみませんか?(野末 みほ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-002.html


厚生労働省は、ストレスとその予防方法について分かりやすくまとめたパンフレット「Selfcareこころの健康 気づきのヒント集」(厚生労働省、独立行政法人労働者健康安全機構、2019年発行)を発行しています(※8)。こうしたものを活用することもお勧めです。

【出典】
※8 厚生労働省 「こころの健康気づきのヒント集」
https://www.mhlw.go.jp/content/000561002.pdf

●ストレスを上手に利用することも考えよう

ストレスというと、体と心に不調を引き起こすものというネガティブなイメージを持ちがちですが、ストレスそのものが悪いわけではありません。ストレスとは簡単に言えば「緊張」で、緊張を負担に感じる場合と、自分を奮い立たせる機会と感じる場合があります。

ストレスを嫌なもの、避けたいものと捉えるか、成長や達成感を感じられる挑戦の機会と捉えるかは人によって異なります。また、同じ人でも、若い時と仕事の経験を積んだ後では捉え方が変わる場合もあります。ストレスへの効果的な対処法を考えるときには、ご自身の物事の捉え方や感じ方についても見直してみることも一案です(※9)。

【出典】
※9 鈴木安名『スタッフナースの離職を防ぐメンタルヘルスサポート術』日本看護協会出版会 2009年

原稿・社会保険研究所Copyright

<以下、事務局より>
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参考文献:

・経済産業省ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」令和4年6月
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

・厚生労働省「令和3年労働安全衛生調査(実態調査)結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r03-46-50.html

・厚生労働省「職場における心の健康づくり ~労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf

・公益社団法人 日本看護協会「 個人での対応(セルフケア)」
https://www.nurse.or.jp/nursing/shuroanzen/safety/mental/kojin/index.html

・厚生労働省 「こころの健康気づきのヒント集」
https://www.mhlw.go.jp/content/000561002.pdf

・厚生労働省e-ヘルスネット「ブレスローの7つの健康習慣を実践してみませんか?(野末 みほ)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-002.html

・鈴木安名『スタッフナースの離職を防ぐメンタルヘルスサポート術』日本看護協会出版会 2009年

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※当記事は2023年3月に作成されたものです
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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