健康経営
健康経営 2023/03/10

【更新】健康経営優良法人2023~回答・申請状況や、前年度からの主な変更点・ポイントとは?

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

本記事では、2022年12月に行われた「第7回 健康投資ワーキンググループ※」の資料をもとに、健康経営優良法人2023(2022年度)の回答・申請状況や、前年度からの主な変更点・ポイントについてお伝えします。

※健康投資ワーキンググループとは、健康投資の促進等について専門的な検討を行うために経済産業省によって設置された組織です。健康経営度調査や顕彰制度といった健康投資の促進等について議論が行われています。

貴社での健康経営の施策・取り組みの検討にお役立ていただける記事『健康経営で中長期的に成果を上げるために』を読む>>

≪目次≫
■健康経営とは
■健康経営優良法人とは
■健康経営優良法人2023(2022年度)の回答・申請状況
■健康経営優良法人2023(2022年度)の主な変更点・ポイントについて
■健康経営の施策・取り組みの検討にお役立ていただける記事をご紹介
■健康経営優良法人2023 発表!(2022年3月10日追記)

健康経営とは

健康経営とは「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。※1」です。

企業が経営理念に基づき、従業員への健康投資をすることで、従業員の生産性やエンゲージメントの向上、組織の活性化、最終的には業績向上や企業価値向上につながることが期待されており、資本市場や労働市場からも注目されています。

【出典】
※1…経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

健康経営優良法人とは

政府は、健康経営に取り組む優良な法人を『見える化』し、社会的に評価を受けることができるよう、健康経営に関する各種顕彰制度を設け、環境を整備しました。

こうして2014年度から上場企業を対象に「健康経営銘柄」が、2016年度からは「健康経営優良法人認定制度」が設けられました。現在は「健康経営優良法人認定制度」の大規模法人部門の上位500法人には「ホワイト500」、中小規模法人部門の上位500法人には「ブライト500」の冠が、それぞれ付加されます。

大規模法人部門と中小規模法人部門の区分は、業種や従業員数などによって異なります。
*申請区分について詳細はこちら
→「ACTION!健康経営(日本経済新聞社)」https://www.kenko-keiei.jp/

出典:経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」P12
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

健康経営銘柄と健康経営優良法人との違いは?

「健康経営銘柄」は、健康経営優良法人に認定された企業の中から、東京証券取引所に上場している企業を対象にした顕彰制度であり、経済産業省と東京証券取引所の共同で選定されます。

健康経営銘柄の選定基準について、2021年度までは「健康経営度が上位20 %以内」の企業を候補としていましたが、回答法人数の増加を踏まえ、2022年度からは「健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位 500 位以内」が対象となります。また、銘柄ブランドの価値を維持する観点から、これまでの「1業種1枠」から「1業種最大5枠」に変更になる運びです。(同率が存在し、5枠を超える場合は、その企業分の枠が設けられます。)

健康経営銘柄企業に対しては、健康経営を行うことで、企業の生産性や企業価値の向上にどのような効果が得られるのかを分析し、ステークホルダーに積極的に発信していくような、健康経営の「アンバサダー」的な役割が求められています。

一方、「健康経営優良法人」は、非上場企業や団体も申請が可能で、日本健康会議において認定が行われます。

健康経営優良法人の大規模法人に対しては、健康経営の考え方を、グループ会社全体や取引先、地域の関係企業、顧客、従業員の家族などに普及拡大していく「トップランナー」の一員としての役割が求められています。

中小規模法人に対しては、地域における健康経営の拡大のため、自社の健康課題に応じた取り組み事例の発信等をする役割が求められています。

【出典】経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」P13
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

健康経営優良法人2023(2022年度)の回答・申請状況

2022年度の健康経営度調査の回答数は3,168件と、前回から299件増加しました。うち、上場企業数は1,128件と、こちらも前回から70件増加しています。

健康経営度調査の回答数は年々増加しており、初回の2014年度と比較すると、2022年度の回答数は約6.4倍にも伸びています。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第7 回健康投資WG 事務局説明資料」P3
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html

健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)の申請数は14,430件と、こちらも前年と比較して1,581件増加しました。うち、ブライト500の申請数は3,274件です。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第7 回健康投資WG 事務局説明資料」P4
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html

健康経営優良法人2023(2022年度)の主な変更点・ポイントについて

健康経営優良法人2023の、前年度からの主な変更点・ポイントとして以下4点ご紹介します。

(1)大規模・中小規模法人を対象とした「申請料金の有料化」

健康経営優良法人認定制度は、これまでは国が運営していましたが(シンクタンクに委託)、民間運営を見据えて、「健康経営優良法人2023」より、補助事業者として日本経済新聞社が選定されています。

そして、上記の民間運営化による認定法人向けのサービス向上のため、大規模法人部門は88,000円(税込)、中小規模法人部門は16,500円(税込)の申請料金が導入されました。

(2)大規模法人を対象とした「情報開示の促進」

フィードバックシートにおける開示項目の拡充として、「健康経営優良法人2023」より、企業間比較が可能な定量的な項目として、以下の2点が追加されました。

1.経営会議での議題化の内容・回数
この項目は、経営層の関与を示すものとして追加され、基準検討委員会などでは「経営会議での議題化が経営層の更なるコミットメントにつながり、健康経営の効果が高まる」「議題化への積極性の違いが評価でき、資本市場でも活用しやすい」などの意見がありました。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料」P16
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf


2.健康経営施策への従業員の参加率
この項目は、社内の浸透を示すものとして追加され、制度・施策実行に関する5つの設問(従業員への教育、コミュニケーションの促進、食生活の改善、運動機会の増進、女性特有の健康関連課題に関する知識習得)に回答するかたちとなっています。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料」P16
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf

上記、新たに追加した項目も含め、開示に同意した2,000法人分のフィードバックシートを2023年3月に経済産業省ウェブサイトでの公開が予定されています。

(3)大規模法人を対象とした「業務パフォーマンスの評価・分析」

前年度に引き続き「健康経営優良法人2023」でも、業務パフォーマンス(従業員のアブセンティーイズムやプレゼンティーイズム、ワークエンゲイジメント等)に関する測定の状況が問われています。

加えて「健康経営優良法人2023」からは、「将来的には、健康経営に取り組む企業が自ら、こうした情報をストーリー立てて、ステークホルダーとの対話に活用することが望ましい。※2」との観点から、業務パフォーマンスの経年変化や測定方法に関する開示状況についても問われるようになりました。

【出典】
※2…経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料」P17
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf

これについて、2022年12月に公開された、経済産業省の「健康・医療新産業協議会第7回健康投資WG 事務局説明資料」によれば、従業員のアブセンティーイズムについて把握している法人は、前年度(2021年度)と比較して220社、プレゼンティーイズムが345社、ワークエンゲイジメントが413社と、それぞれ増加していることがわかりました。また、複数年度の測定結果や測定方法を公開する法人も一定数存在していることがわかりました。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第7 回健康投資WG 事務局説明資料」P9
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html

(4)大規模・中小規模法人を対象とした「データ利活用の促進」

「健康経営優良法人2023」では、40歳以上の従業員のデータ提供に加え、40歳未満のデータ提供についても新たに設問を設けられ、その形式についても問われるようになりました。なお、40歳未満の従業員のデータ提供については、評価の対象外としています。(40歳未満の従業員のデータ提供は、中小規模法人部門ではアンケート項目として追加。)

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料」P19
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf

これについても、経済産業省の同資料によると、40歳未満の従業員のデータについて、大規模法人部門では、既に7割以上が、中小規模法人部門でも6割以上が、主な保険者に対してデータ提供を実施していることがあきらかとなっています。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第7 回健康投資WG 事務局説明資料」P10
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html


また、従業員のヘルスリテラシーの向上を促すための取り組みとして、健診情報等を電子記録として閲覧するための環境整備を行っているかを問う設問も新設されました。(中小規模法人部門ではアンケート項目として追加。)

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料」P20
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf

こちらも、経済産業省の同資料によると、大規模法人部門では回答者の51.7%が「アプリ等で電子記録として健診結果を閲覧できる環境を整備・周知している」と回答しています。

出典:経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第7 回健康投資WG 事務局説明資料」P11
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html

健康経営優良法人2023 発表!(2022年3月10日追記)

2023年3月8日、『健康優良法人2023』が発表され、日本健康会議により、大規模法人部門に2,676法人(上位500法人には「ホワイト500」の冠を付加)、中小規模法人部門に14,012法人(上位500法人には「ブライト500」の冠を付加)が認定されました。

今回の発表に伴い、評価結果(フィードバックシート)の開示に同意した2,238法人分(うち上場企業726社)の評価結果が公開されています。

また、同日には『健康経営銘柄2023』も発表され、31業種49社が選定されました。

*詳細についてはこちら→「ACTION!健康経営(日本経済新聞社)」
https://www.kenko-keiei.jp/

健康経営の施策・取り組みの検討にお役立ていただける記事をご紹介

わくわくT-PECでは健康経営に関する情報発信を行っております。ぜひご一読いただき、貴社での健康経営の施策・取り組みの検討にお役立てください。

・【会員限定】従業員のプレゼンティーイズムの改善に役立つ!肩こりエクササイズ動画&イラスト解説付きダウンロード資料
https://t-pec.jp/work-work/article/327


健康経営の記事一覧は、 こちら

***************
参考
・経済産業省 ヘルスケア産業課「健康経営の推進について」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/kenkokeiei_gaiyo.pdf

・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会 第6回健康投資WG 事務局説明資料 (今年度の健康経営顕彰制度の設計等について)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/006_02_00.pdf

・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「健康・医療新産業協議会第7回健康投資WG 事務局説明資料①(今年度の進捗と今後の方向性について)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/007.html

・ACTION!健康経営(日本経済新聞社)
https://www.kenko-keiei.jp/

***************


※当記事は、2023年2月に作成されたものです。(2023年3月、一部内容更新)
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。