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健康診断 2021/03/18

20~30歳代に急増!?「子宮頸がん」【医師監修】

「子宮頸がん」は、20歳以上の女性であればだれもがきいたことのある病名だと思います。「子宮頸がん検診のお知らせ」という手紙を受け取っている方も少なくないでしょう。しかし、「忙しいから」「若いから大丈夫」などを、検診に行かない理由にしていませんか?
日本で「がん」は2人に1人、生涯で一度は経験するという身近な病気ですが、高齢者に多いというイメージも大きいでしょう。しかし、子宮頸がんは「マザーキラー」ともよばれ、20~30歳代の子育てや仕事に忙しい若い年代に発症年齢のピークが重なっています。検診に行かず、症状がないまま気付いたときには手遅れ、ということになりかねません。

20~30歳代に急増する子宮頸がん

通常、がんは年齢が上がるにつれて罹患率が高くなりますが、20~30歳代の女性のがんで最も多いのが、子宮頸がん(上皮内がん含む)です。グラフからもわかるように、子宮頸がんは20歳代でも発症する可能性がある病気です。

20歳から増加するのには理由がある!~子宮頸がんの原因~

子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスへの感染です。

HPVには多くの種類があることがわかっていますが、子宮頸がんのリスクになる「高リスク型HPV」とよばれるのは15種類程度といわれています。HPVは性交渉で感染するウイルスであり、性交渉の経験がある女性であれば誰でも子宮頸がんリスクがあるといえます。

HPVに感染しても多くの場合、自然に排除されるといわれています。しかし、何らかの原因で免疫力が低下している状態が続き、数年から十数年にわたってHPVに感染した状態が続くとがんになることがあります。長期的なストレスや疲労なども免疫力の低下につながるため、日頃の体調管理も影響するといえるでしょう。

子宮頸がんはどんな病気?

子宮頸がんとは

子宮は体部、頸部という部分でできています。子宮の入り口を子宮頸部といい、その部分にできたがんを「子宮頸がん」といいます。

子宮頸がんは、がんになる前段階があり、その段階からがんへはゆっくりと進行するといわれています。しかし、放っておくと子宮頸がんに進行する可能性があります。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんは、がんになる前段階や子宮頸がんの初期では、ほとんど自覚症状がありません。しかし、がんの進行に伴って以下の症状が現れます。

・月経でないのに出血がおきる(不正性器出血)
・性交時の出血
・おりものの異常(濃い茶色、膿、増えるなど)

さらに進行すると、

・下腹部の痛み
・腰の痛み
・尿や便に血が混じる

などの症状が現れることがあります。

症状が出たときには子宮頸がんが進行していることが多く、がんが子宮全体に広がっている場合には子宮を全て摘出する手術が必要になることもあります。また、がんが進行して大きくなると、子宮の周りの臓器やほかの臓器へも広がっていきます。

子宮頸がんは、がんの前段階、もしくは初期の段階で見つけることができれば子宮を残す治療ができ、その後の経過もよいといわれています。そのため、まずは早い段階で病気を見つけることが大切といえます。

2年に1度の子宮頸がん検診

子宮頸がんは早期では自覚症状に乏しいため、定期的に検査を受けることが推奨されています。
子宮頸がんは、20~30歳代の若い年代に多いがんであることから、20歳から検診の対象となっています。検診の頻度としては2年に1度受けることが、有効だといわれています。

子宮頸がん検診では、まず医師による問診が行われます。問診票を記載し、診察室で医師からの質問に答えます。次いで、診察台に座り、医師が検査器具を使い、膣から子宮の入り口を観察します(視診)。そして、綿棒やブラシで子宮の入り口の表面をなでるようにこすります(細胞診)。診察台に座ってから降りるまで、数分程度の検査です。綿棒やブラシで採取した細胞は、異常がないか顕微鏡で観察し、後日結果がでます。

個人差はありますが、検査器具を入れるとき、違和感や少し痛みがある方もいます。しかし、綿棒やブラシが子宮の入り口に触れるのは数秒のため、強い痛みは感じません。検査後にわずかに出血することもありますが、すぐに止まるので心配はいりません。

子宮頸がんは、妊娠に適した年代と重なる20~30歳代に増加しています。子宮頸がんの初期やその前段階では、ほとんどが自覚症状はなく、自分で気づくことは困難です。もちろん原因となるHPVに感染しても気づくことはできません。症状がでてからでは、子宮頸がんが進行している可能性があります。
自分の健康のため、家族のため、そして大切なこれからを守るために、子宮頸がん検診を受けましょう。


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執筆者
木村 眞樹子医師
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事している。
妊娠、出産を経て、また産業医としても働くなかで予防医学への関心が高まった。医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる前の人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。
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参考
・国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/dl/index.html#incidence

・国立がん研究センター 社会と健康研究センター「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版 2020年3月31日」
http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/shikyukeigan.html

・国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html

・厚生労働省HP HPVワクチンQ&A
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html


※当記事は2021年3月に作成したものです。