健康・予防・両立支援
みんなの健康情報 2024/07/18

ヘルスリテラシーとは?従業員の健康を守るためにはコラボヘルスも大切!

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

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ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力のことです。企業の場合、職場のヘルスリテラシーを高めることができれば、従業員が健康になり、生産性の向上や健康経営の推進にもつながります。また、医療費の抑制という効果も期待できます。

今回は「ヘルスリテラシー」をテーマに、その高め方や高めるうえでのコラボヘルスの重要性などについて解説します。

<目次>
■ヘルスリテラシーって何?
■ヘルスリテラシーが低いと健康に悪影響を及ぼす
■ヘルスリテラシーを高めて、自分の健康を守ろう
■ヘルスリテラシーの高め方1 ~自分の健康状態を知ろう~
■ヘルスリテラシーの高め方2 ~「い・な・か・も・ち」で情報を入手しよう~
■ヘルスリテラシーを高めるためには、コラボヘルスも大切
■自分の健康を自分で守る「幸せ」

ヘルスリテラシーって何?

ヘルスリテラシーとは、健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力のことです。「健康を決める力」と訳されることも多いようです。

そもそも、英語のリテラシー(literacy)とは、文字の読み書き能力を指します。最近は、このリテラシーの前に各分野の単語を付けて「〇〇リテラシー」とすることで、「その分野の最低限の知識を持ち、その分野の情報を理解して活用する能力」を指すことが多いようです。

例えば、「ITリテラシー」なら、「IT分野の基本知識を持ち、その分野の正しい情報を入手して活用する能力」を指します。この例に倣うと、「ヘルスリテラシー」は「健康や医療についての最低限の知識を持ち、健康・医療に関する正しい情報を入手して活用できる能力」ということになります。

ヘルスリテラシーが低いと健康に悪影響を及ぼす

世の中には健康や医療に関する情報があふれています。それらの情報の中には、正しくないものや根拠があいまいなものがあります。また、広告目的のデマに近い情報も含まれています。こうした情報の中から、根拠があって有益な情報を取捨選択できる能力、つまりヘルスリテラシーを持つことは、自分の健康を守るためにとても重要です。

不確かな健康情報に基づいて行動するということは、「健康」というゴールを目指す道を間違うということなので、時間やお金が無駄になるリスクがあり、「健康」に悪影響を及ぼすことが考えられます。

ヘルスリテラシーが低いと、「健康」に対する関心も薄くなります。その結果、健康に関する正しい情報を十分に入手できず、「健康度」が低くなります。

ヘルスリテラシーを高めて、自分の健康を守ろう

ヘルスリテラシーが低いと、具体的にどんな弊害があるでしょうか。
ヘルスリテラシーが低い人は、自分の健康に対する関心が薄く、健康や医療に関する基礎的な知識が不足している傾向にあります。その結果、以下のようなことが起こりやすいと考えられ、注意が必要です。

●予防サービス(健診・予防接種など)を利用しない

健診や予防接種などの予防サービスは、国や自治体などで実施されます。これらの情報は広報紙等で告知されますが、健康に関心が薄いと、「予防サービスがあることに気付かない」「利用しない」ことが多くなります。

●予防・治療・薬などの知識が少ない

ヘルスリテラシーが低い人は、病気の予防・治療・薬などの知識が少ないので、正しい情報を入手したり、正しい行動をとることが難しくなります。また、薬のラベルや注意事項等を正しく読み取れない傾向があります。

●病気やけがのサインに気付きにくい

病気に関する基礎知識がないと、病気の兆候に気付きにくくなります。その結果、病気を悪化させやすくなります。また、病気が慢性化しやすく、慢性化した後の病気の管理も難しくなります。

●保健師や医師・看護師などに自分の心配事を伝えにくい

病気に関する基礎知識がないと、不安も漠然としたものになります。その結果、保健師や医師・看護師などの医療従事者へ自分の症状や心配事を伝えるのが難しくなり、望む治療を受けにくくなります。

●医療費が高額になり、死亡率も高くなる

ヘルスリテラシーが低いと、予防サービスを利用しない、適切な改善策を実施しない、適切な治療を受けない、重症化して初めて医師に相談するなどになりがちです。悪化してから治療することになるので、医療費が高額になったり、死亡率が高くなったりします。

ヘルスリテラシーの高め方1 ~自分の健康状態を知ろう~

ヘルスリテラシーを高めるための第一歩は、自分の健康に関心を持ち、自分の体の状態を知っておくことが重要です。従業員のヘルスリテラシーを高めるために、以下のポイントについて働きかけましょう。

(1)体重や血圧など、簡単に測定できるものを記録して、自分の体の変化に関心を持つことが重要であることを従業員へ伝えましょう。健康的といわれる体重や血圧の数値を周知し、BMI等の基礎知識を身に付けられるよう従業員向けに情報発信や研修などを実施しましょう。

(2)健康診断は、さまざまな病気の早期発見につながり、自身の生活習慣を見直すために有用であることを伝え、健康診断を毎年受診するように働きかけましょう。また、健康診断の結果をしっかり確認し、自分の体の状態を把握することの重要性を伝えましょう。健康診断の項目については目的や数値の意味も理解できるように、従業員向けに情報発信しましょう。

健康診断の検査項目の目的や各検査でわかること、関連する病気について解説している「何がわかる?健康診断」の記事を読む >>

ヘルスリテラシーの高め方2 ~「い・な・か・も・ち」で情報を入手しよう~

ヘルスリテラシーを高めるための第2段階は、正しい情報を見つけ、その内容を理解することです。インターネット等に情報があふれている時代ですので、健康情報は見つけやすくなっていますが、一方で信頼度の高い情報を見つけるのは難しくなっています。「い・な・か・も・ち」で情報の信頼度を見極めて、ヘルスリテラシーを高めましょう。

情報を見極めるための合言葉は「い・な・か・も・ち」

「い」:いつの情報か?
情報がいつ書かれたか、作成日や更新日を見て確認しましょう。古い情報は、現在では否定されていることもあるので、情報の最新性が重要です。

「な」:何のために書かれた情報か?
宣伝や販売目的の情報ではないかを確認しましょう。情報のどこかに「広告」「PR」の表示がないか探してみましょう。

「か」:書いた人は誰か?
書いた人の氏名や所属、信頼できる専門家かどうかをチェックしましょう。信頼できる情報元としては厚生労働省や大学、学術研究機関、日本高血圧学会や日本糖尿病学会のような学術団体があります。サイトのアカウント名を確認して、どこの誰が発信している情報か確認しましょう。

「も」:元ネタ(根拠)は何か?
情報の源になっている根拠は何かを確認しましょう。科学的根拠に基づく出典や引用があるかどうかを調べてみましょう。

「ち」:違う情報と比べたか?
一つの情報をうのみにせずに、複数の情報を読み比べましょう。複数の情報の内容や情報源の違いなどを見て、情報を客観的に捉えるようにしましょう。


出典:聖路加国際大学ヘルスリテラシー学習用eラーニング教材「地域住民のヘルスリテラシー向上に寄与するアクティブラーニング教材の開発」
https://car.luke.ac.jp/HLproject-1/qvcccn0000000b5a-att/qvcccn0000000s4j.pdf

*「いなかもち」を入れ替えると「かちもない」になります。「情報は5つを確認しないと『価値もない』」とも覚えておきましょう。

このようにして信頼度の高い情報を見つけたら、その後はその情報が「自分の健康」を改善するのに役立つかどうかを評価して活用する力も必要になります。

ヘルスリテラシーを高めるためには、コラボヘルスも大切

これまで見てきたように、健康増進のためにはヘルスリテラシーを高めることが重要です。企業の場合、従業員のヘルスリテラシーを高めることができれば、従業員が健康になり、医療費の抑制効果もあります。そこで、大きな役割を果たすのが「コラボヘルス」です。

コラボヘルスとは、健保組合と事業主が連携して、従業員とその家族の健康づくりの事業を効果的、効率的に実行することです。コラボヘルスが実施されると、健保組合と事業主が保有している従業員の健診データやストレスチェックデータ等を使って、従業員の健康状態を分析することができます。数値で従業員の健康状態を把握することができるため、健康課題や解決策を見つけやすくなります。

また、コラボヘルスの実施を社内に周知することで、従業員の健康意識も高まり、ひいてはヘルスリテラシーも高まります。

「従業員のヘルスリテラシー向上のために、どんな施策を講じればよいか」をコラボヘルスの検討課題にするのも、ヘルスリテラシーを高める有効な方法です。

従業員のヘルスリテラシー向上に向けて教育・研修を行うこともよいでしょう。従業員の身体の不調や疾病、メンタルヘルス不調など職場の健康問題に対する一次予防、二次予防、三次予防それぞれに効果が期待できます。

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自分の健康を自分で守る「幸せ」

体調が悪いとき、病気になったとき、どのように対処するかは、自分で決めなくてはなりません(誰かの勧めに従うにしても、従うと決めるのは自分です)。そのときに大事なのは正しい情報を得ること、幾つかの選択肢の中から、自分の価値観に合った方法を選ぶことです。そして、そのために必要なのがヘルスリテラシーです。正しい知識を持って、自分に最善と思える治療法を自己決定できることが自分と周りの家族の幸せにつながるのではないでしょうか。企業の場合、職場のヘルスリテラシーを高めることができれば、従業員が健康になり、生産性の向上や健康経営の推進にもつながります。そのためにも、ヘルスリテラシーを高める努力はとても重要といえます。

原稿・社会保険研究所Copyright

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【出典】
・聖路加国際大学ヘルスリテラシー学習用eラーニング教材「地域住民のヘルスリテラシー向上に寄与するアクティブラーニング教材の開発」
https://car.luke.ac.jp/HLproject-1/qvcccn0000000b5a-att/qvcccn0000000s4j.pdf

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※当記事は、2024年7月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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