EAP(従業員支援プログラム)とは?サービスのメリットや選び方をわかりやすく解説【医師監修】
こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
EAPとは「従業員支援プログラム」のことで、企業で働く従業員のメンタルヘルスケア対策のひとつとして注目を集めています。この記事ではEAPを導入するメリット、具体的なサービス内容などについて解説します。EAPの導入を検討中の方はぜひ参考にしてください。以下、医師監修による記事です。
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<目次>
◆EAPとは?
◆EAPを導入する目的・メリット
◆外部EAPを選ぶときのポイント
◆外部EAPを導入するときのポイント
◆EAPは導入の前後も重要|サービス内容の比較と定期的な見直しを行おう
EAPとは?
EAPとは「Employee Assistance Program」の頭文字を取った略語です。日本語では「従業員支援プログラム」や「社員支援プログラム」と訳されるケースが多く、主に従業員の身体的な健康管理・メンタルヘルス管理をサポートするための制度を指します。具体的には、健康相談窓口の設置、人事・管理職向けのセミナーの開催、職場環境の改善支援といったサポートが挙げられます。
元々、EAPはアルコール依存・薬物依存による従業員の生産性低下への対策として1960年代のアメリカで発展した制度でした。日本においても、従業員の抱える「身体の問題」「こころの問題」を未然に防ぎ、早期解決できるようにEAPを導入する企業が徐々に増えています。
EAPの種類
EAPは主に「内部EAP」と「外部EAP」の2種類に分けることができます。従業員の健康管理のサポート体制を社内に構築するか、外部の機関に委託するかの違いで、それぞれにメリットとデメリットがあります。EAPを導入する場合、まずは内部と外部のどちらが自社に適しているのかを判断しましょう。
内部EAPと外部EAPの違い
カウンセラーを常駐させるなどして、従業員が健康管理・メンタルヘルスケアについて相談できる体制を会社の中に作るのが「内部EAP」です。会社内部で相談体制を構築するため、従業員にとっては「別の施設に移動することなく気軽に相談できる」というメリットがあり、カウンセラーなどと社内の情報を共有しておくことで、より細かなケアも可能です。ただし、人件費が必要になるため外部EAPに比べてコストは大きくなりやすいです。
その一方で、会社の外部の組織に委託するのが「外部EAP」です。会社内にスタッフを常駐させる必要はなく、内部EAPよりもコストを抑えやすいのが特徴です。また、従業員目線では「職場の人間関係については社内で話しにくい」と躊躇してしまうような悩みがあっても、社外の専門家であれば相談しやすいといったメリットがあります。
内部EAPの導入にはどうしても大きな費用がかかります。そのため、コストを抑えながらEAPを導入するのであれば、主に外部EAPを検討することになります。
メンタルヘルスケアにおいてEAPができること
厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(※1)では、以下の4つがメンタルヘルスケアにおいて重要だとされています。
1.セルフケア
2.ラインによるケア
3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
4.事業場外資源によるケア
(※1)厚生労働省 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K151130K0020.pdf
外部に従業員のメンタルヘルスケアを委託するというのは、このうちの(4)「事業場外資源によるケア」に該当します。具体的なサービス内容は委託先によっても異なりますが、外部EAPでは従業員が抱える問題について、メンタルヘルスなどの専門家に相談できる場所を提供してくれます。次にEAPによる支援の一例を示しますので、参考にしてください。
EAPによるメンタルヘルスケアへの支援例
●ストレスチェック
●職場改善コンサルティング
●ホットライン・相談窓口の設置
●セミナー・研修の手配
●職場復帰支援
など
また、さまざまな専門家が在籍しているサービスもあります。例えば、こころに問題を抱えていたとしても、それが身体の不調として現れる場合もあります。メンタルヘルスの相談だけでなく、健康や医療の相談も受けられることで、そのようなケースを見逃さないことにつながります。
EAPを導入する目的・メリット
EAPを導入する目的は、従業員の精神的・身体的な不調を早期発見し、迅速に適切な解決策に繋げるための導線を作ることにあります。
EAPを導入することで、精神的・身体的不調による問題が起きないようにするためのケア、発生した問題が大きくならないようにするためのケアなどが可能となります。
企業としては「個人の身体やこころの問題で、従業員の生産性が低下するのを防止できる」という点が大きなメリットとなるでしょう。働きやすい環境を積極的に整備していくことで、従業員の離職リスク低減も期待でき、経営の安定化にもつながります。
また、EAPの導入は「企業の社会的責任(CSR: Corporate Social Responsibility)」のひとつといった認識も広がっており、厚生労働省のWebサイト(※2)ではCSRについて以下のように解説されています。
『近年、企業における長時間労働やストレスの増大など、働き方の持続可能性に照らして懸念される状況が見られる中で、企業の社会的責任(CSR)に関する取組が大きな潮流となっています。CSRとは、企業活動において、社会的公正や環境などへの配慮を組み込み、従業員、投資家、地域社会などの利害関係者に対して責任ある行動をとるとともに、説明責任を果たしていくことを求める考え方です。』
(※2)厚生労働省 「労働政策全般:CSR(企業の社会的責任)」より
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/csr.html
企業として社会的責任を果たしているかどうかは、消費者、投資家、就職希望者など社会全体から常に問われています。EAPの導入は、責任ある労働環境の整備を助けることにつながるでしょう。
外部EAPを選ぶときのポイント
カウンセリングチャンネルが多いこと
「外部に相談体制を構築することで、社内で話しにくいことも相談しやすい」というのは外部EAPのメリットのひとつですが、「わざわざ相談しに行くのは面倒」という人もいます。相談しに行くためのまとまった時間を取ることが難しい従業員もいるでしょう。
せっかく外部EAPと契約しても、従業員から利用されなければ意味がありません。そのため、カウンセリングチャンネルの多さも重要です。
たとえば、対面による相談だけでなく、電話相談やオンライン相談などに対応しているサービスもあります。従業員が相談しやすい形式のサービスであることを確認しましょう。
相談可能な内容が幅広いこと
外部EAPが提供しているサービスによっては、相談できる内容が「身体的な健康相談のみ対象」であるケースもあれば「メンタルヘルスの不調のみ対象」であるといったケースもあります。しかし「メンタルヘルスの問題で、体調不良が続いている」など、「こころの問題」と「身体の問題」は密接に関係しているケースも多いです。身体的、メンタルヘルスに関する問題、受診先やタイミングを含め、幅広く相談できるようサポートされているサービスを選びましょう。
各分野の専門家が在籍していること
前述の内容とも関連しますが、従業員が抱える問題の内容は多岐にわたります。そのため、医師や看護師・保健師・助産師・ケアマネジャー・臨床心理士などの各分野の専門家が在籍していることも重要です。また、中には社会保険労務士などが在籍しているサービスもあります。在籍する専門家はサービスごとに異なるので、複数のサービスを比較する際は自社が必要としている分野に合わせてチェックしてください。
個人情報を適切に扱える会社であること
専門家によるカウンセリングでは、外部EAPの提供会社が自社の従業員の個人情報を扱うことになります。そのため、プライバシーポリシーがしっかりしていることもチェックしてください。個人情報を適切に扱い、十分に信頼できる会社を選びましょう。
とくに外部EAPは社内の関係者には話しにくいようなことを相談する先であるため、「相談しても大丈夫だ」と思える安心感・信頼性があることも非常に重要です。
導入事例や相談事例を確認できること
外部EAPの導入を検討している場合、実際の導入・相談事例を確認しましょう。導入後でなければわからないこともありますが、事例を確認すれば自社の規模感・業態・風土などに合ったサービスがどのようなものか判断しやすくなります。
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外部EAPを導入するときのポイント
EAP導入の従業員への周知を徹底する
EAPの導入後は、まず従業員へ周知しましょう。従業員が身体やメンタルに不調を抱えていても、EAPの存在を知らなければ相談できません。しっかりと従業員の利用につながるように「どこで・いつ相談できるのか?」「何を相談できるのか?」「相談内容に関する個人情報や秘密はしっかりと守られるのか?」などを説明しておきましょう。従業員は日々の業務に追われているため、一度の連絡ではなかなか浸透しません。メールだけでなく、定例のミーティングや社内の掲示板など複数の方法で、定期的に通知するとより効果的です。
定期的にEAPの効果の確認を行う
EAPの導入をゴールにしないためには、定期的に効果を確認することも重要です。従業員の認知率や離職・休職者数といったKPI(評価指標)を決め、EAPが効果的に機能しているかを中〜長期的に計測しましょう。思ったような効果が見られない場合は、EAP提供会社の担当者とサービス内容の見直しを相談すると良いです。
社内全体でヘルスケアへの意識を高める
繰り返しになりますが、外部EAPの導入は厚生労働省「労働者の心の健康の保持増進のための指針」における「事業場外資源によるケア」に該当します。しかし、外部のサービスだけで従業員の健康・メンタルヘルスを守ることは困難です。
たとえば、業務内容や職場における人間関係の悩み、ストレスには、上司や管理職によるケア(ラインケア)も重要になります。そのため、マネジメント層を含めた社内全体でヘルスケアに対する意識を高めることも大切です。ヘルスリテラシー向上に向けて教育研修を行うことも効果的です。
『メンタルヘルスにおける『ラインケア』の重要性』を読む >>
EAPは導入の前後も重要|サービス内容の比較と定期的な見直しを行おう
EAP(従業員支援プログラム)とは、企業で働く人のヘルスケアをサポートする制度のことです。EAPを導入することで従業員は医師やカウンセラーといった専門家に、健康管理やメンタルヘルスケアなどについて相談できます。従業員の生産性や離職率に関係するような問題の早期解決が期待でき、経営の安定化につながります。自社で相談・解決の体制をすべて構築するのは難しいため、導入コストを抑えるなら外部のEAP提供会社に委託するのがおすすめです。会社によってサービス内容は異なるので、事前にしっかりと比較したうえで契約先を選びましょう。
<事務局より>以下より、従業員のメンタルヘルスの実態について解説している資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。
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<出典>
・厚生労働省 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K151130K0020.pdf
・厚生労働省 「労働政策全般:CSR(企業の社会的責任)」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/csr.html
・厚生労働省 e-ヘルスネット 「EAP / 社員支援プログラム(EAP)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-085.html
・厚生労働省 e-ヘルスネット 「職場のメンタルヘルス」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-003.html
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◆監修者プロフィール
●名前
大西良佳
●科目
産業医、公衆衛生、ペインマネジメント、麻酔科、漢方内科、美容皮膚科
●所属学会・資格
公認心理師
産業医
麻酔科専門医
ペインクリニック専門医
公衆衛生修士
温泉療法医
緩和ケア研修修了
ICLSプロバイダー
●メディア出演実績
テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」
宝島社
東京スポーツ新聞
小学館
※当記事は、2024年4月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の医師は関与しておらず、またサービスの監修もしていません。
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