令和6年労働安全衛生調査 法改正でストレスチェックの実施が全事業場で義務化に 求められる職場のメンタルヘルス対策
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労働安全衛生調査は、厚生労働省が事業所の安全衛生活動やメンタルヘルス対策の実施状況、労働者個人の不安やストレスの実態を把握することを目的に、毎年実施されている統計調査です。
本調査で得られた結果は職場環境改善や制度改正の基礎データとして活用され、近年は特にメンタルヘルス対策の重要性から注目されています。
本記事では、2025年8月7日に公表された「令和6年労働安全衛生調査」の結果のポイントについて解説します。
《目次》
・厚生労働省、令和6年労働安全衛生調査を公表
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は約6割
・メンタルヘルス対策の内容は「ストレスチェックの実施」が6割強
・ストレスチェック実施後の集団分析をした事業所は7割以上
・仕事や職業生活に強いストレスを感じることがある労働者は約7割
厚生労働省、令和6年労働安全衛生調査を公表
厚生労働省は8月7日、令和6年労働安全衛生調査結果を公表しました。同調査は、事業所が行うメンタルヘルス対策の取り組みや、そこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス等の実態把握を目的とするもので、事業所調査と個人調査があります。
同省が6月に公表した令和6年度の「過労死等の労災補償状況」によると、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害は右肩上がりで増えており*1、健全な職場環境を整備するため、企業(事業所)にはこれまで以上にメンタルヘルス対策が求められる状況といえます。
他方、10年ぶりに改正された労働安全衛生法(令和7年5月14日公布)*2は、職場のメンタルヘルス対策の推進として、ストレスチェックの実施を当分の間、努力義務とされていた労働者数50人未満の事業場に対しても義務付けるとしています。全事業場への義務化は、法律の公布日から3年以内の政令で定める日に施行される予定です。
こうしたなか、事業所におけるメンタルヘルス対策の取り組みや、労働者個人が抱えるストレス等の実態は、どのような状況になっているのでしょうか。調査結果から、令和6年10月末の状況を見ていきます。
*1:請求件数が3,780件、支給決定件数は1,055件といずれも過去最高を更新
厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html
*2:労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律
厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001449334.pdf
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所は約6割
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.2%(同63.8%)となり、前年からほぼ横ばいの状況です。
事業所規模別では、労働者1,000人以上の事業所で100%(同100%)、労働者50人以上の事業所で94.3%(同91.3%)、労働者数30~49人の事業所で69.1%(同71.8%)、労働者数10~29人の事業所で55.3%(同56.6%)となりました。小規模になるほど、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合が低下する傾向にありますが、前年からその傾向に大きな変化は見られません。
メンタルヘルス対策の内容は「ストレスチェックの実施」が6割強
事業所が取り組んでいるメンタルヘルス対策の内容(複数回答)を見ていくと、「ストレスチェックの実施」と回答した事業所が65.3%(前年65.0%)と最も多い結果となりました。次いで「職場環境等の評価及び改善(ストレスチェック結果の集団(部、課など)ごとの分析を含む)」が54.7%(同48.7%)、「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」が47.9%(同49.6%)と続いています。(表1参照)
最も回答が多かった「ストレスチェックの実施」に着目して、事業所規模別で見ていくと、労働者1,000人以上の事業所では100%(同99.9%)、労働者50人以上の事業所では89.8%(同89.6%)を占める一方、労働者数30~49人の事業所では57.8%(同58.1%)、労働者数10~29人の事業所で58.1%(同58.6%)となっています。
今後、法改正によりストレスチェックの実施が全事業場に義務化されれば、労働者数50人未満の事業所においてもその対応が求められることとなり、結果としてメンタルヘルス対策に取り組む事業所も増えることが見込まれます。
出典:厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・事業所調査」P2に基づき作成(第2表を改編)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
なお、分母を全事業所(メンタルヘルス対策に取り組んでいない事業所を含む)とした場合のストレスチェックの実施状況は、労働者1,000人以上の事業所で100%、労働者50人以上の事業所で84.7%となりました。労働者数30~49人の事業所では40.0%、労働者数10~29人の事業所では32.2%が実施しています*3。
*3:政府統計の総合窓口(e-Stat)「労働安全衛生調査(実態調査)・事業所調査」 表番号3のエクセルデータより
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450110&tstat=000001069310
ストレスチェック実施後の集団分析をした事業所は7割以上
ストレスチェックを実施した事業所のうち、部署ごとの集団分析を実施した事業所の割合は75.4%(前年69.2%)で、このうち76.8%(同78.0%)の事業所が分析結果を活用しています。
具体的な活用内容(複数回答)を見ていくと「残業時間削減、休暇取得に向けた取組」が48.5%(同55.7%)で最も多く、以下「相談窓口の設置」が41.2%(同38.9%)、「上司・同僚に支援を求めやすい環境の整備」が36.7%(同37.1%)、「業務配分の見直し」が34.8%(同34.1%)と続いています。(表2参照)
ストレスチェック実施後の集団分析と、その結果を活かした職場環境改善は、労働安全衛生規則に基づき事業者の努力義務とされており、今後も取り組みの広がりが求められます。
出典:厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・事業所調査」P3に基づき作成(第4表を改編)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
仕事や職業生活に強いストレスを感じることがある労働者は約7割
他方、個人調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強いストレス(強い不安、悩み、ストレスなど)を感じる事柄があると回答した労働者の割合は約7割(68.3%)を占めました。依然としてストレスを感じている労働者が多い状況に変わりませんが、前年(82.7%)と比べると14.4ポイント減少しています。
強いストレスとなっていると感じる事柄(主なもの3つ以内)の内容は、全体として「仕事の量」(43.2%)、「仕事の失敗、責任の発生等」(36.2%)、「仕事の質」(26.4%)が多くなっています。
ただ、就業形態(正社員、契約社員、パートタイム労働者、派遣労働者)によって傾向が変わっており、正社員は「仕事の量」(45.0%)、「仕事の失敗、責任の発生等」(37.7%)が上位にあがる一方、派遣労働者は「雇用の安定性」(54.7%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(36.9%)との回答が多くを占めています。(表3参照)
調査は、令和6年10月末時点の状況について、常用労働者を10人以上雇用する約1万4,000事業所及びそこに雇用される常用労働者等約1万8,000人を対象に実施し、8,304事業所及び8,596人の有効回答を集計しました。
表3 就業形態別・強いストレスの内容の労働者割合(主なもの3つ以内)
出典:厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・個人調査」P2(第1図)を引用
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
原稿・社会保険研究所Copyright
<事務局より>
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<出典・参考文献>
・厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html
・厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001449334.pdf
・厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・事業所調査」
・厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・個人調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r06-46-50b.html
・政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)・事業所調査」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450110&tstat=000001069310
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※当記事は2025年9月時点で作成したものです。
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