メンタルヘルス・ハラスメント
メンタルヘルス 2025/08/27

令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表 企業に求められる対策とは?

令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表 企業に求められる対策とは?

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

厚生労働省は、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や労災保険給付の支給決定件数などを、毎年度取りまとめています。
2025年6月25日に「令和6年度『過労死等の労災補償状況』」が公表されましたので、そのポイントについて解説するとともに、企業におけるメンタルヘルス対策、ハラスメント対策の重要性について紹介します。

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《目次》
■「過労死等」の労災請求件数は4,810件と過去最多を更新
■脳・心臓疾患の労災補償は3年連続で増加 業務別では「運輸業、郵便業」が最多
■脳・心臓疾患の年齢別請求・支給決定件数は「50~59歳」が最多
■精神障害の労災認定者数、1,000件を超える
■精神障害の年齢別請求・支給決定件数は「40~49歳」が最多
■精神障害の原因は、さまざまなハラスメント
■企業に求められるメンタルヘルス対策、ハラスメント対策-社外の相談窓口、カウンセリングサービスを活用しよう-
(1)社外相談窓口の設置
(2)研修の実施
  ・ラインケア研修の実施
  ・セルフケア研修の実施

「過労死等」の労災請求件数は4,810件と過去最多を更新

「過労死等」の労災請求件数は、「脳・心臓疾患」と「精神障害」を合わせて、前年度から212件増加して4,810件となり、過去最多を更新しました。支給決定件数(決定件数のうち「業務災害」と認定した件数)は1,304件で、前年度に比べて196件増えました。そのうち、死亡・自殺(未遂を含む)件数は前年度に比べて21件増えて、159件となりました。

脳・心臓疾患の労災補償は3年連続で増加 業務別では「運輸業、郵便業」が最多

過労死等のうち、脳・心臓疾患の請求件数は1,030件で、前年度の1,023件から7件増加しました。
また、支給決定件数は241件で、前年度の216件から25件増えました。請求件数、支給決定件数は、3年連続で増加しています。

令和2年度から令和6年度における業務災害に係る脳・心臓疾患の請求、決定及び支給決定件数の推移を示したグラフ

【出典】厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料1「業務災害に係る脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」P4
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdf

業種別(大分類)に見ると、請求件数は「運輸業、郵便業」が213件で最も多く、次いで「卸売業、小売業」150件、「建設業」128件などとなっています。
うち支給決定件数は、「運輸業、郵便業」が88件で、以下、「宿泊業、飲食サービス業」28件、「製造業」24件などが続きます。
「運輸業、郵便業」が請求件数、支給決定件数ともに最多となっています。

脳・心臓疾患の年齢別請求・支給決定件数は「50~59歳」が最多

年齢別に見ると、請求件数は多い順に、「50~59歳」が411件、「60歳以上」が348件、「40~49歳」が213件などとなっており、40歳以上が全体の9割以上を占めています。

また、支給決定件数は「50~59歳」が129件と最も多く、次いで「40~49歳」が60件、「60歳以上」が44件などとなっています。

令和5年度から令和6年度における業務災害に係る脳・心臓疾患の年齢別請求、決定及び支給決定件数を示した図

【出典】厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料1「業務災害に係る脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」P11
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdf

精神障害の労災認定者数、1,000件を超える

精神障害の請求件数は3,780件で、前年度の3,575件から205件増加しました。
うち自殺(未遂を含む)の件数は202件(前年度212件)でした。

また、支給決定件数も前年度から172件増加して1,055件と、1,000件を超えました。令和2年度の608件から毎年度増加しており、1,000件を超えたことは大きな社会的課題として考えなくてはいけない問題といえます。

令和2年度から令和6年度における業務災害に係る精神障害の請求、決定及び支給決定件数の推移を示したグラフ

【出典】 厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料2「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」P16
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf

業種別(大分類)に見ると、請求件数は「医療、福祉」が983件と最も多く、次いで「製造業」583件、「卸売業、小売業」545件などとなっています。

支給決定件数を見ても、「医療、福祉」が270件と一番多く、以下「製造業」161件、「卸売業、小売業」120件、「運輸業、郵便業」110件などが続きます。

精神障害の年齢別請求・支給決定件数は「40~49歳」が最多

年齢別に見ると、請求件数は多い順に、「40~49歳」1,041件、「30~39歳」889件、「50~59歳」870件、「20~29歳」733件などとなっています。

また、支給決定件数も「40~49歳」が283件と最も多く、次いで「30~39歳」245件、「20~29歳」243件、「50~59歳」225件などとなっています。

令和5年度から令和6年度における業務災害に係る精神障害の年齢別請求、決定及び支給決定件数を示した図

【出典】 厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料2「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」P23
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf

精神障害の原因は、さまざまなハラスメント

精神障害の原因となった出来事を見ると、下表の通りとなりました。ハラスメント関連が上位を占めており、最多は「パワーハラスメント」の224件でした。

業務災害に係る精神障害の出来事別支給決定件数

【出典】 厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料2「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」P27に基づき作成
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf

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企業に求められるメンタルヘルス対策、ハラスメント対策-社外の相談窓口、カウンセリングサービスを活用しよう-

共に働く仲間であり、企業に活力をもたらす従業員が、さまざまなハラスメントにより精神障害となり、働けなくなってしまうということは、企業、そして社会にとっても大きな損失です。

精神障害を起こさせない環境、働きやすい職場をつくるためには、企業がメンタルヘルス対策、ハラスメント対策に積極的に取り組むことが重要です。特に、早期発見・早期対応が鍵となります。そのためには、社内だけではなく、社外の専門機関による相談窓口やカウンセリングサービスなどを上手に活用することが効果的です。カウンセリングサービスは、ハラスメントを受けた方の心理的支援にも対応しています。

(1)社外相談窓口の設置

メンタルヘルス対策における社外相談窓口の役割は、従業員が抱える心の問題を安心して相談できる場所として機能することです。
従業員が気軽に相談できる環境を整えることで、メンタルヘルス不調の予防や早期対応が可能となり、職場全体の健康維持につながります。相談窓口の存在自体が従業員の安心感を高め、職場環境の改善にもつながることが期待できます。

社外相談窓口のメリットには、匿名性が高く相談しやすい環境である点、多くの専門家が対応できる点、同じ人数の専門家を雇用することよりも、低コストで体制をつくることができる点、などが挙げられます。
従業員が職場の人に知られたくない悩みや不安を抱えている場合、内容の秘匿性が高い社外の相談窓口の方が利用しやすいというメリットもあります。また、健康経営の観点からも、相談窓口の設置は、従業員からの信頼を高めるとともに人材確保に寄与する重要な取り組みとなります。

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(2)研修の実施

・ラインケア研修の実施

メンタルヘルス不調者や休職者を出さないためには、管理職が部下のメンタルヘルスをケアするための知識とスキルを習得するラインケア研修を受けることが大切です。研修を受けることで、職場におけるメンタルヘルスケアの大切さを理解し、メンタルヘルス不調者を生まないためのマネジメントスキルやラインケアの知識を身に付けることができます。

管理職が部下のメンタルヘルス不調の兆しを早期発見できれば、その不調が休職・離職に至らないようにケアをすることができます。さらに、メンタルヘルス不調の予防、もしくは不調を最小限に抑えることができます。

・セルフケア研修の実施

セルフケア研修を受けると、社員一人一人が自身のストレスや心・身体の不調に気付き、適切にケアする手法を身に付けることができます。これにより、職場環境におけるメンタルヘルスの向上や、ストレスによる不調を未然に防ぐことができます。

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企業には、(1)、(2)の取り組みを通してメンタルヘルス対策、ハラスメント対策を実施して、メンタルヘルス不調者を早期に発見し、適切な支援につなげる体制を整備することが求められています。安心して働ける職場環境があることで、従業員のモチベーションは向上し、結果として業務効率や生産性の向上、さらには離職率の低下にもつながります。

原稿・社会保険研究所Copyright

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<出典・参考文献>
・厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_59039.html

・厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料1「業務災害に係る脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508120.pdf

・厚生労働省「令和6年度『過労死等の労災補償状況を公表します』」
別添資料2「業務災害に係る精神障害に関する事案の労災補償状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11402000/001508121.pdf

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※当記事は2025年8月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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