健康経営
健康経営 2025/05/20

2025年度はどう変わる?健康経営度調査の今後の展開について

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

2025年3月18日、第2回 健康経営推進検討会が開催され、2024年度の健康経営度調査等の報告が行われました。本記事では、検討会の議論のベースとなった事務局説明資料から要点をピックアップして紹介します。

《目次》
Ⅰ 健康経営優良法人の認定状況等
 1 【大規模法人部門】健康経営優良法人の認定数および「健康経営銘柄2025」の選定状況
 2 【中小模法人部門】健康経営優良法人の認定数

Ⅱ 健康経営施策の今後の展開
 1 健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)
 (1)健康経営の可視化と質の向上
 (2)新たなマーケットの創出
 (3)健康経営の社会への浸透・定着【大規模法人部門】

Ⅰ 健康経営優良法人の認定状況等

1 【大規模法人部門】健康経営優良法人および「健康経営銘柄2025」の選定状況

2024年度の「大規模法人部門」健康経営優良法人の認定数は、前年度より412件増えて3,400社となりました。認定数は順調に伸びており、2014年度と比べて約7倍に増えています。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P2
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

また、「健康経営銘柄2025」には、29業種53社が選ばれました。そのうち初めて選定された企業は15社です。
なお、健康経営銘柄の選定は「令和6年度健康経営度調査」の結果を基に、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業から、1業種1社を基本として行われています。
「健康経営度調査」の業種別回答比率を見ると、増加率が高いのは「倉庫・運輸関連業」で、前年対比で128%となりました。また、業界カバー率が高いのは「電気・ガス業」でした。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P5
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

また、「健康経営度調査」に回答している大規模法人の継続回答比率を見ると、2015年度は54.5%でしたが、2022年度以降は80%を超え、2024年度は84.3%と最も高い水準となりました。
一方、「健康経営度調査」の離脱率を見ると、2015年度は36.7%でしたが、2017年度以降は30%未満となり、2023年度以降は10%を切っています。2024年度の離脱率は7.4%でした。健康経営への取組がますます広がっていることが分かります。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P9
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

健康経営度調査の回答法人に対しては、 他社との比較を通じた更なる取組の促進や、ステークホルダーに対する情報開示を促す観点などから、同調査の設問において「評価結果の開示」の可否を確認しています。2024年度に開示した大規模法人は2,679社と、昨年度より213社増えました。全体の開示比率は約7割となっています。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P10
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

2 【中小規模法人部門】健康経営優良法人の認定数

「中小規模法人部門」の健康経営優良法人の認定数は、前年度より3,063件増えて19,769社となりました。2016年度と比べると、約62倍に増えています。
そのうち、今年度に新設した小規模事業者特例対象法人の認定数は140件でした。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P11
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

なお、業種別の認定数を見ると、認定数が多いのは「製造業」と「建設業」で、どちらも4,000社を超えています。また、増加率が高い業種は「農業」「複合サービス業」などとなっています。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P14
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

「健康経営度調査」に回答している中小規模法人の継続回答比率を見ると、2020年度は53.9%でしたが、2022年度以降は70%を超え、2024年度は75.1%となりました。一方、「健康経営度調査」の2024年度の離脱率を見ると12.1%と、調査開始以降、最も低くなりました。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P16
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

また、「フィードバックシート」の開示状況を見ると、「ブライト500申請法人」の84%にあたる3,545法人が開示しており、中小規模法人部門においても、他社の健康経営の状況を知ることができるようになりました。
他社の状況を知ることは、自社の取組と比較したり、成功事例を参考にしたりすることができるため、自社の現状を客観的に評価し、改善を図ることが可能となります。そういう意味では、今後、健康経営の質の向上が期待できるといえるでしょう。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P17
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

Ⅱ 健康経営施策の今後の展開

1 健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)

以下は、健康経営の目指すべき姿として示されている概念図です。概念図では、次の3つの柱が目標に掲げられています。
(1)健康経営の可視化と質の向上
(2)新たなマーケットの創出
(3)健康経営の社会への浸透・定着

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P19
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

各目標の主な概要を見ていきましょう。

(1)健康経営の可視化と質の向上      
●「改訂版 健康経営ガイドブック」を作成
2016年4月に、経済産業省から『企業の「健康経営ガイドブック」~連携・協働による健康づくりのススメ~(改訂第1版)』が公表されてから約 10 年が経過し、健康経営を取り巻く環境も大きく変わってきたことなどから、2025年3月に「改訂版 健康経営ガイドブック」が作成されました。

改訂版では、従来のガイドブックの内容と、2020年に公表された「健康投資管理会計ガイドライン」の内容を一体化しています。また、健康経営は「人的資本」と「社会関係資本」という2つの無形資本に投資し続けることで、企業の価値向上を目指す経営手法であるという観点から、「人的資本・社会関係資本の形成・蓄積」を明示化しています。加えて、健康経営の実践手法や健康経営戦略マップの作成方法等についても取りまとめています。

●経営層の関与をより多面的に評価
健康経営を企業価値の向上につなげていくためには、経営層が主体的に健康経営に関与し、従業員一人ひとりが健やかに働ける環境を整備することが重要です。そのため、「健康経営度調査」では、企業における健康経営の推進について、取締役会など経営レベルの会議で、その効果を議論しているかどうかを評価してきました。けれども、経営層の関与の在り方にはさまざまな手法がありうるため、次年度の調査では「より多面的に経営層の関与の在り方を問うことにしてはどうか」という案が出ています。

●従業員がPHR(Personal Health Record)を活用できる環境整備
「健康経営度調査」の結果から、従業員の健康づくりを推進するために、保健師や管理栄養士等の専門職によるアドバイスや相談を受けられるように環境整備を行っている法人があることが明らかになりました。
次年度の調査では、従業員自身がPHRを活用できるよう、こうした専門職・医療職が関わり、健康づくりをサポートできる環境整備について質問を追加する方向で検討が進んでいます。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P22
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

●PHR集計データの活用
PHRサービスを導入している法人のうち約5割が集計データを活用していることが明らかになりました。そのため、次年度の調査では、「より具体的な活用方法を選択肢として例示して、活用状況を把握してはどうか」という案が出ています。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P23
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

●女性の健康課題に対する取組事例集(初版)を公表
より質の高い健康経営を実践するためには、企業は女性特有の健康課題に積極的に取組む必要があります。こうした実情をふまえ、経済産業省は2025年3月に「健康経営における女性の健康課題に対する取組事例集」(初版)を公表しました。同事例集では、「中小企業」と「大企業」に分けて先進的な取組事例を紹介するとともに、巻末には「明日から始められる取組一覧」も掲載しています。なお、事例は今後も随時更新される予定です。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P29
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

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●健康経営における「心の健康」投資・実践ガイドを公表
経済産業省は、「心の健康」投資の意義や取組み方について理解してもらうことを目的に、2025年3月に「健康経営における「心の健康」投資・実践ガイド~今日から始める人的資本への投資のヒント」を発行しました。同ガイドの特徴として、以下の3点が挙げられます。

<ガイドの特徴>
・産官学の知見を集結
・「心の健康」投資の進め方や事例を紹介
・実践に役立つソリューションや支援ツールを紹介

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P30
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

<健康経営における「心の健康」投資・実践ガイド~今日から始める人的資本への投資のヒント>
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokoronokenkojissenguide.pdf

(2)新たなマーケットの創出
●先端技術活用メンタルヘルスサービス開発支援事業
デジタルメンタルヘルスサービス(DMH※)の開発支援と、中小企業等での導入を補助することで、健康経営に取り組む企業における心の健康の増進をはじめ、さまざまな場面でのDMHの社会実装を促進するとしています。
※AI技術や情報通信技術、デジタル技術を用いた一般労働者に提供される予防やエンゲイジメント向上を目的としたヘルスケアサービス。

●健康経営の概念・顕彰制度の国際展開
健康経営をグローバルに推進していくために、経済協力開発機構(OECD)等と連携した取組を行います。「アジア」での展開を例に見ると、タイにおいて健康経営表彰制度を普及させることなどが取組の一つに盛り込まれています。

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課
「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」P35
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf

(3)健康経営の社会への浸透・定着【大規模法人部門】
●多様な働き方への対応

●他社からの派遣社員に対する取組
「健康経営度調査」結果により、企業の5割以上で「常時使用しない従業員」がおり、また「他社からの派遣社員受け入れは約9割」となっていることが分かりました。多くの企業で非正規社員が働いていることから、引き続き、多様な働き方に対応した健康経営の普及促進を図る必要があります。
そのため、検討会では「派遣元企業と情報を共有するなど、対象となる労働者の状況を把握する取組を始めることで、自法人の働き方に合わせた取組を検討できるのではないか」という提案がなされています。

●若者層への浸透
健康経営を若者層へ広く周知するために、さまざまな取組が行われています。例えば、大阪府では人材育成に悩む中小企業と府内の大学に通う学生の接点が乏しいことから、就活を控える学生向けにリーフレットを作成して、若い世代から健康づくりに主体的に取り組むことの重要性を発信しています。
また、大学においても健康経営をテーマとしたカリキュラムを創設して、講義で取り上げることが増えています。
こうした取組を推進することで、若者層への普及・浸透を図り、中小企業の人材不足への対応策とすることが望まれます。

以上が第2回健康経営推進検討会で報告された概要です。同検討会では、今後も丁寧に議論を重ねて、健康経営の持続的な発展に必要な施策を検討していくとしています。


原稿・社会保険研究所Copyright

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【出典・参考文献】
・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 「第2回健康経営推進検討会事務局資料①」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_02_00.pdf
・健康経営優良法人事務局「健康経営ガイドブック 健康経営優良法人認定事務局編」
https://kenko-keiei.jp/wp-content/uploads/2025/03/guidebook2025_03.pdf
・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 「健康経営における女性の健康課題に対する取組事例集」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/002_03_00.pdf
・経済産業省「健康経営における「心の健康」投資・実践ガイド」
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kokoronokenkojissenguide.pdf
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※当記事は2025年4月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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