メンタルヘルス・ハラスメント
メンタルヘルス 2024/11/18

ストレスとは?言葉の意味や原因、症状、対処法をわかりやすく解説【医師監修】

ストレスとは?言葉の意味や原因、症状、対処法をわかりやすく解説【医師監修】

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

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ストレスとはもともと物理学で使われていた用語で、「外部からの圧力によって物体に歪みが生じた状態」、転じてヘルスケアにおいては「外部刺激などで身体に生じる反応」を指します。本記事ではメンタルヘルスケア・ストレスマネジメントの観点からストレスの意味や原因、対処法についてまとめました。精神的な健康管理は仕事の生産性にも関係するので、企業の人事や管理職の方も、ぜひ従業員向けの情報提供用として活用してください。以下、医師監修による記事です。

<目次>
◆ストレスとは何かを簡単に説明
└「ストレス」という言葉の本来の意味
└心理学的・医学的な「ストレス」の考え方
◆ストレスの原因(ストレッサー)の種類
└社会的な原因
└心理的な原因
└身体的な原因
└物理的な原因
└化学的な原因
◆外部刺激に対する反応(ストレス反応)はストレスのサイン
└心理的なストレスのサイン
└身体的なストレスのサイン
└行動的なストレスのサイン
◆ストレスのかかった状態が続くことによる悪影響
◆ストレスと上手に付き合う方法・対処法
◆企業における従業員のメンタルヘルス対策は社会的な課題でもある
◆ストレスの原因は多岐にわたる|不調のサインを見逃さず、早めに対処することが重要

ストレスとは何かを簡単に説明

厚生労働省のe-ヘルスネットによれば、ストレスとは「外部からの刺激などによって体の内部に生じる反応のこと」(※1)と説明されています。もともとストレスは物理学や工学の分野で使われていた用語ですが、心理学や医学の分野、一般においても使用されるようになりました。

以下ではストレスという言葉の本来の意味、心理学・医学的におけるストレスの考え方について説明します。過度なストレスは体調不良の原因になったり、集中力の低下を招いたりもします。

「ストレス」という言葉の本来の意味

物理学の分野においてストレスという言葉は、「外部からの圧力によって物体が歪んだ状態」を意味します。また、その歪みを生じさせる圧力や応力を指すケースもあります。

精神的な緊張を意味するようになったのは、アメリカの生物学者ウォルター・B・キャノン(Walter Bradford Cannon)やカナダ人の生理学者ハンス・セリエ(Hans Selye)の影響です。セリエは「ストレス学説」を提唱し、「ストレス学の父・ストレス研究の父」と呼ばれています。

心理学的・医学的な「ストレス」の考え方

心理学や医学的な観点からは、ストレスは「原因」と「原因に対する反応」に分けて説明されます。ストレスの原因は「ストレッサー」と呼ばれ、ストレッサーに対する生体反応(ストレス反応)として、身体やこころ、行動にさまざまな変化が表れます。

このようなストレッサーとストレス反応の関係は、風船やゴムボールの例で説明されることが多いです。空気の入った風船を指で押すと、力を入れた分だけ風船は歪みます。この場合、風船を押す指が「ストレッサー」であり、力によって変形した風船が「ストレス反応」になります。また力をかけられても、もとの形状に戻ろうとする弾力を「ストレス耐性」と呼ぶこともあります。

ストレスの原因(ストレッサー)の種類

ストレスの原因であるストレッサーは、刺激の種類によっていくつかに分類することができます。以下ではストレッサーの種類について説明していきます。

社会的な原因

社会的ストレッサーとは、社会生活を営むうえで発生・直面するものを指します。職場での人間関係や責任、家庭での問題、経済状況、環境の変化、将来への不安などが社会的ストレッサーに該当します。

心理的な原因

心理的ストレッサーとは、怒りや不安、焦り、緊張感などのネガティブな感情を伴うようなストレスの原因のことです。前述の社会的な原因とまとめて「心理・社会的ストレッサー」と表現されるケースも多く、現代人の抱えるストレス・職場におけるストレスのほとんどを占めます。

身体的な原因

身体的ストレッサーとは、身体的な疲労や不調などを原因とするものです。たとえば、睡眠不足や病気、けが、肩こり、過度な運動、空腹などが身体的ストレッサーになります。また、妊娠や月経なども含まれ、生理的ストレッサーと呼ばれるケースもあります。

物理的な原因

物理的ストレッサーとは、生活・職場環境や自然環境において発生する外部刺激を原因とするものです。具体的には、気温(温度)や湿度、明るさ、騒音、混雑などが物理的ストレッサーに分類されます。

化学的な原因

化学的ストレッサーとは、化学物質による刺激が原因となるものです。たとえば、薬物や空気中に含まれる有害物質、酸素欠乏、公害物質などです。加えて、アルコールやタバコ、ホコリ、食品添加物なども化学的ストレッサーに含まれます。

外部刺激に対する反応(ストレス反応)はストレスのサイン

強いストレッサーの影響を受けたり、長い間ストレッサーにさらされたりすると、自分を守るために身体の内部にさまざまな反応が生じます。このことを「ストレス反応」と呼び、身体やこころの不調、行動の変化となって現れてしまうのです。

ストレスに早めに対処するためには、ストレスのサイン・兆候を理解することが大切です。ストレスを受けたときにどのような反応が起こるのか、「心理的」「身体的」「行動的」なサインに分けて説明していきます。

心理的なストレスのサイン

ストレッサーに対する心理的反応としては、以下のような感情の変化が挙げられます。

●不安感
●いらいら・怒り
●恐怖
●気分の落ち込み
●緊張感
●孤独感
●疎外感
●無気力・無関心

また、これらのような精神的な変化の影響を受けて、集中力や思考力、判断力などの低下が起こるケースもあります。

身体的なストレスのサイン

ストレスを受けたとき、すぐ思い浮かぶのは心理的なものが多いでしょう。しかし、身体的な変化として影響が出るケースもあります。たとえば、以下のようなものがストレッサーに対する身体反応として挙げられます。

●動悸や息切れ
●めまい
●立ちくらみ
●発熱
●頭痛
●疲労感
●食欲や性欲の減退
●下痢
●腹痛・胃痛
●睡眠障害

心理的なストレス反応同様、ストレス反応自体がストレッサーになるため、悪循環に陥りやすいです。悪循環にならないためにも、自身のストレスを正しく認識して対処する必要があります。

行動的なストレスのサイン

ストレスに対する反応が行動として現れるケースもあります。

●攻撃的な言動
●拒食や過食
●幼児退行
●飲酒や喫煙量の増加
●引きこもり
●身だしなみを気にしない

心理的・身体的なストレス反応に比べて、行動的なストレス反応は、他者も認識しやすいです。そのため、周囲の人が抱えるストレスに気付くきっかけにもなります。

職場においてはミスや欠勤・早退の増加といった形で、ストレス反応が表れることもあります。職場でこのような変化を見かけたときは、適切なケアを受けられるよう、サポートしてあげることが大切です。

ストレスのかかった状態が続くことによる悪影響

ストレスが軽度で一時的なものであれば、ひとりでうまく適用できるケースも多いです。しかしながら、ストレスが許容できる範囲を超えていたり、ストレスのかかった状態が長く続いたりすると、不適応反応として身体やこころに疾患が現れることもあります。

【ストレスが関係する身体疾患の発生】
ストレスが関係する身体疾患は「高血圧」「消化性潰瘍」「気管支喘息」など多岐にわたり、身体のいたるところに影響が出ます。「円形脱毛症」や「メニエール症」なども、聞いたことがある方も多いでしょう。

病気の発症・経過にストレスなどの心理社会的な要因が関係し、器質的・機能的な障害を伴うものを「心身症」と呼びます。こうした各症状は、対応する診療科を受診するケースも多いですが、心身症そのものは心療内科などが専門になります。

【ストレスによる精神障害の発生】
ストレスはうつ病を始めとするさまざまな精神障害の原因になります。「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」や「急性ストレス障害」「強迫性障害」なども、ストレスにうまく対処できなかった場合に起こる障害として挙げられます。

ストレスと上手に付き合う方法・対処法

ストレスはさまざまな原因で感じるものであり、現代で生活する人は、ストレスをゼロにすることは難しいです。ストレスに自然と適応できる方もいますが、ストレスを放置することで、気付かないうちに身体やこころに悪影響が及んでいることもあります。

ここからはストレスと上手に付き合うための方法、ストレスをうまくコントロールするためのポイントについて説明していきます。

自分なりのストレス解消法を用意しておく

ストレスの原因やストレスの感じ方に個人差があるように、ストレスの解消法も人によって合う・合わないがあります。自身のストレスを認識した場合に、すぐに実践できるような解消法をいくつか用意しておきましょう。複数の解消法を用意しているというだけでも、こころに余裕が生まれます。

またそれほどストレスを感じていなくても、定期的に発散しておくことでメンタルヘルスを健全に保ち、心身症などの予防にもなります。

主なストレスの解消法としては以下のようなものが挙げられます。
【主なストレス解消法】
●適度に運動する
●ストレッチを行う
●音楽を聴く
●歌う
●腹式呼吸を行う
●人と話す
●よく笑うようにする
●仕事と無関係な趣味の時間を作る
●ゆっくり入浴する

ただし、暴飲暴食や喫煙、飲酒、ギャンブルなどは新たなストレス要因となりやすく、逆効果になるケースもあるので注意してください。食事を楽しんだり、適度に飲酒※したりする分には問題ありませんが、量や頻度によってはかえってストレスを増やすことになります。

※アルコールの健康障害についてはこちらをご参照ください。
「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を読む >>

普段から睡眠と休養をしっかりとる

睡眠不足・栄養不足のときは、しっかりと睡眠や栄養をとれている状態に比べてストレスに弱くなります。普段から十分な睡眠・栄養をとるようにしましょう。

睡眠や食欲はストレスの影響を受けやすいです。人によってはストレス反応として「眠りの質が落ちる」「食欲が湧かなくなる(必要以上に食べてしまう)」といった状態になるケースもあります。不眠や拒食・過食は、ストレスと相互に悪影響を与え、悪循環になりやすいのでとくに注意してください。

リラックスできる時間を確保し、身体やこころをゆっくり休める機会をつくるよう意識してみてください。

家族や友人、専門家に相談する

ストレスを自分ひとりで抱え込む必要はありません。メンタルヘルスケアの基本はセルフケアですが、ひとりで処理できない問題や悩みは、誰かに話すことで小さくなることがあります。

また、「家族や友人に話してもこころが軽くならない」「周りに相談できる相手がいない」という場合は、専門家に相談することも検討してください。職場によっては企業内に産業医などの専門家への相談窓口を設置していたり、会社の外部相談機関と契約していたりします。また地域の医療機関や公的な相談窓口(保健所や保健センターなど)も利用可能です。

<事務局より>
ティーペックの健康相談窓口では、保健師や心理カウンセラーなどの経験豊富な専門家が、こころと一緒に身体の健康もケアすることで潜在的なメンタルヘルス不調者をサポートします。詳細はお気軽にお問い合わせください。

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企業における従業員のメンタルヘルス対策は社会的な課題でもある

2024年10月、厚生労省労働基準局による検討会(※2)で、これまで従業員数50名以上の事業場に対して義務付けていた「ストレスチェックの実施」を50名未満の事業場にも義務付ける方針が決定されました。

労働者のメンタルヘルスケアにおいて企業に求められる役割は、時代とともに変化しています。ストレスケアは働いている個人の問題ではなく、会社・組織単位で取り組むべき課題という認識が強まっています。

ストレスチェックが義務化された背景のひとつは、メンタルヘルスの不調を原因とした労働災害の増加です。厚生労働省の「過労死等の労災補償状況(令和5年度)」(※3)によれば、精神障害の労災補償状況(請求件数)は前年度から892件増加の3,575件で、年々増加傾向にあります。

また、令和5年の「労働安全衛生調査(実態調査)」の個人調査(※4)では、82.7%の労働者が「現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある」と回答しています。主なストレスの原因としては「仕事の失敗・責任の発生」「仕事の量」「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」などが挙げられていて、多くの労働者が何かしらのストレスを抱えていることがわかります。

職場で発生するストレスの要因を放置することは、労働者のモチベーションの低下や休職、離職などを招きます。生産性や経営の安定性にも悪影響を与えかねません。こうしたリスクを回避するためにも、従業員のメンタルヘルスをケアして、ストレスの少ない職場環境を作ることは重要だといえるでしょう。

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ストレスの原因は多岐にわたる|不調のサインを見逃さず、早めに対処することが重要

ストレスの原因(ストレッサー)は多岐にわたります。先述したとおり、仕事や人間関係において生じるものだけでなく、環境の変化や病気・けがなどもストレスの原因になります。原因や感じ方には個人差があるものの、ストレスは誰もが少なからず抱えているものです。

ストレスにうまく対処するための第一歩は、ストレスの存在を認識することです。早い段階でストレス反応に気付き、すぐに対処できれば症状が悪化する可能性も下がります。ストレス耐性にかかわる睡眠や食事、運動などの生活習慣を見直すとともに、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。また、ひとりで解決できない悩みは、家族や友人、専門家に相談することも有効です。

大きなストレスや慢性的なストレスは、身体疾患や精神障害を引き起こすケースもあります。精神障害による労災の請求件数は増加傾向にあるというデータもあり、個人だけでなく、従業員を雇用する企業にとってもメンタルヘルス対策が重要だということがわかります。職場で発生するストレスは生産性などにも影響するので、企業としても労働者のメンタルヘルスケアを推進するようにしましょう。

<事務局より>以下より、従業員のメンタルヘルスの実態について解説している資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

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【引用】
※1 e-ヘルスネット「ストレス」(西 大輔、安間 尚徳)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-031.html

※2 厚生労働省「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会 第7回資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44232.html

※3 厚生労働省「令和5年度 過労死等の労災補償状況」(精神障害の労災補償状況)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_40975.html

※4 厚生労働省「令和5年 労働安全衛生調査(実態調査)」(個人調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r05-46-50.html

【出典】
文部科学省CLARINET「第2章 心のケア 各論」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/clarinet/002/003/010/003.htm

e-ヘルスネット「ストレスと食生活」(北岡 和代)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-001.html

厚生労働省「休養・こころの健康」
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b3.html

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◆監修者プロフィール

監修者である大西良佳さまのプロフィール写真

●名前
大西良佳
●科目
産業医、公衆衛生、ペインマネジメント、麻酔科、漢方内科、美容皮膚科
●所属学会・資格
公認心理師
産業医
麻酔科専門医
ペインクリニック専門医
公衆衛生修士
温泉療法医
緩和ケア研修修了
ICLSプロバイダー
●メディア出演実績
テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」
宝島社
東京スポーツ新聞
小学館

※当記事は、2024年11月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の医師は関与しておらず、またサービスの監修もしていません。

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