メンタルヘルス・ハラスメント
メンタルヘルス 2024/02/02

メンタルヘルスと人事担当者の役割:企業の管理と対策の重要性【医師監修】

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

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企業の人事担当者は、採用活動や人員配置といった管理のほかにも、労働者のメンタルヘルスについて適宜対応していくことが求められています。しかし具体的に何をすればいいのか、わからない方も多いのではないでしょうか。この記事では、人事におけるメンタルヘルスの役割や対策の進め方についてご紹介します。本記事を読んで、従業員のメンタルヘルスケアで人事担当者が担うべき役割や職場での対策について学びましょう。 以下、医師監修による記事です。

<目次>
◆メンタルヘルスにおける企業人事担当者の役割とは
└なぜメンタルヘルスが関心を集めているのか?
└人事担当者の役割
◆職場におけるメンタルヘルス不調の要因と対策
└職場内でのメンタルヘルス不調発生の要因
└メンタルヘルス不調の兆候について
└職場のメンタルヘルス対策の実施
◆職場のメンタルヘルス対策の進め方
└心の健康づくり計画とは
└具体的な予防策
◆産業医との連携によるメンタルヘルスケア
└産業医の役割と期待される活動
◆従業員のメンタルヘルスサポートはティーペック
└健康相談窓口
└ストレスチェック・職場改善コンサルティング
└職場復帰サポート
└職場のヘルスリテラシー向上研修・セミナー

メンタルヘルスにおける企業人事担当者の役割とは

まずは、メンタルヘルスケアに関心が集まっている理由と人事担当者の役割について解説します。

なぜメンタルヘルスが関心を集めているのか?

厚生労働省の資料によると、仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、令和4年度で82.2%という状況です。これまでも50%前後の方がストレスなどによる悩みを抱えていたものの、令和4年度には急増しています。(※1)

【出典】
(※1)厚生労働省 「令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf


このようにメンタルヘルスの不調を訴える労働者は多く、放置していると労働力不足や生産性の低下、休職・退職リスクなどにもつながるおそれがあります。メンタルヘルスやケア方法などに関心が集まっている理由の1つだといえるでしょう。

人事担当者の役割

人事担当者は、人事採用や人事評価、人材配置、人材開発といった業務のほかにも、メンタルヘルスケアの体制を円滑に進めるためのサポートが求められます。

たとえば、従業員向けのセルフケア研修や、メンタルヘルスに関する情報提供の機会を提供するのも人事担当者の役割といえます。またラインケア(管理監督者によるメンタルヘルス対策)において管理監督者が従業員の管理やケアを適切に進めるためには、監督者向けの研修会も実施しなくてはなりません。

ほかにも、社内の相談窓口対応や産業医と連携および情報共有しながら、メンタルヘルスケア体制をつくる必要があります。

職場におけるメンタルヘルス不調の要因と対策

人事担当者は、メンタルヘルスケア体制にとって重要な役割を担っています。しかし、メンタルヘルス不調の要因やサインについてよくわからず、悩んでいる担当者もいらっしゃるでしょう。

続いては、職場におけるメンタルヘルス不調の要因とサイン、対策について解説します。

職場内でのメンタルヘルス不調発生の要因

厚生労働省の資料によると、職場におけるメンタルヘルス不調の主な要因は、以下のとおりです。(※2)
●業務量過多
●仕事における失敗や責任
●仕事の質
●職場での対人関係
●会社の将来性
●顧客や取引先からのクレーム対応
●配置転換や昇進、昇格といった地位の変化に伴うストレス
●雇用の安定性

【出典】
(※2)厚生労働省 「令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf


とくに、業務量や仕事の失敗などによって強いストレスや不安感を覚える方の割合は30%台で、ほかの項目よりもやや多い傾向です。業務量が多ければ、その分残業しなければいけないケースがあり、また失敗するとその責任を負わなければいけません。

ついでストレスを感じる要因は、対人関係や仕事の質といった項目です。職場でのハラスメントをはじめ、上司・同僚と性格や価値観が合わない、コミュニケーション不足などでメンタルヘルス不調をきたすケースもあります。

また仕事の質に関しては、たとえば自身のスキルを大幅に超える仕事内容など、能力を発揮できない状況に陥ると、悩みや不安につながる原因になります。こうした原因をできる限りつくらないためにも、人事による業務量の調整・配置の適正化が重要です。

メンタルヘルス不調の兆候について

メンタルヘルス不調の兆候は、「行動」「こころ」「身体」の3つのパターンで出てきます。まずは行動面における主な不調の兆候を紹介します。

●身なりに気をつかわなくなる
●人と会うのが億劫になる
●仕事での単純ミスが増える
●会話や報告が減る

こころの不調に関する主なサインは、以下のとおりです。
●憂鬱な気分になる
●少しのことでイライラする
●理由もなく涙が出てくる
●やる気が出ない

また、身体に出てくるサインは、以下のとおりです。
●眠れない、もしくは過眠
●頭痛や肩こり
●腹痛、便秘や下痢
●動悸がする

人事担当者は、従業員から相談を受けた際にメンタルヘルス不調の兆候が出ていないかチェックし、産業医への相談を促したり情報提供したりするなど、早期対処に努めることも大切です。

職場のメンタルヘルス対策の実施

現在では中間管理職の減少によって、相対的に管理監督者の責任が大きくなっています。管理職は従業員を監督する重要な責任を持っていますが、一方でメンタルヘルスの不調にかかわりやすい人事の領域においてもその責任が求められます。異動や職場での対人関係、職場配置などといった要因はメンタルヘルスの不調に関係するケースが多く、人事担当者の支援も必要不可欠なのです。

したがって従業員のメンタルヘルスケアにおける責任は、管理監督者は現場の対処とその環境改善に、人事担当者は職場全体にかかわる労働条件や配置などの側面からの環境改善、休職・復職などにかかわる人事におかれます。

またメンタルヘルス対策においては、予防と早期発見のフェーズにあたる支援を厚くすることが大切です。具体的な対策については、次の項目で紹介します。

職場のメンタルヘルス対策の進め方

メンタルヘルス対策を進める際は、事業者や管理監督者、産業医などに加えて人事担当者もさまざまな業務に取り組みます。ここからは、職場のメンタルヘルス対策の進め方を紹介します。

心の健康づくり計画とは

メンタルヘルス対策を始める際は、厚生労働省から示されている「心の健康づくり計画」に沿って、計画を進めていきましょう。

「心の健康づくり計画」とは、労働衛生安全法で事業者に義務付けられているメンタルヘルスケアに関する計画のことです。策定にあたっては、事業者や産業医、衛生管理者などで構成された衛生委員会などによる計画内容の調査審議を行うことが大切です。

同計画で盛り込むべき内容は、以下のとおりです。(※3)
●事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
●事業場における心の健康づくりの体制の整備に関すること
●事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
●メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
●労働者の健康情報の保護に関すること
●心の健康づくり計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関すること
●その他労働者の心の健康づくりに必要な措置に関すること

【出典】
(※3)厚生労働省「職場における心の健康づくり」https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf
を加工して作成

心の健康づくり計画において事業者が対応すべきとされている対策は、セルフケアとラインケア、事業場内産業保健スタッフなどによるケア、事業場外資源によるケアの4つがあります。人事担当者は各ケアにも携わるので、計画づくりと推進方法のいずれも覚えておきましょう。

具体的な予防策

人事担当者が取り組むべきメンタルヘルス不調の予防策は、主に3点です。

1つは、相談体制の整備です。人事担当者は、従業員からメンタルヘルスに関する不調および関連する内容を相談されたとき、面談等でヒアリングし、産業医と連携を取りながら対処方法を探ったり医療機関への受診をすすめたりする必要があります。しかし、人事担当者の他にも専門の相談窓口があるとよりスムーズです。

2つ目はこうした相談があった場合、速やかに職場配置や人事異動、業務時間の改善などによって従業員の不調の原因を取り除くことです。

3つ目は、産業保健スタッフや管理監督者などからメンタルヘルスケア対策の一環として職場環境の改善を求められたとき、連携して労働条件や配置などを調整することです。また安全衛生法に基づくストレスチェックの実施推進、休職者に対するケア、職場復帰を円滑に進められるための支援なども人事担当者に求められる場合があります。

ただし、ストレスチェックの関連業務やメンタルヘルスにかかわる個人情報については、該当の従業員の人事権を持つ担当者が直接扱うことがないように注意する必要があります。産業保健スタッフとうまく連携して業務を分けながら遂行しましょう。

産業医との連携によるメンタルヘルスケア

メンタルヘルスケアには、産業医との連携が欠かせません。ここでは、産業医の役割と期待される活動について紹介します。

産業医の役割と期待される活動

産業医は、ストレスチェックの集団分析の結果を踏まえた職場環境改善への提言、高ストレス者面談、従業員からの相談対応といった個別のサポートを行います。

産業医の助言と支援のもと、人事担当者が職場環境の改善、社内全体のメンタルヘルスケアに関する導線を整備するといった連携をします。

主治医と連携して休職者の復職へ向けたサポートや、一度休職した従業員が再び休職することがないよう定期的な面談をおこなうことなども産業医の役割です。産業医と連携し、人事担当者は休職者が復帰するための配置などを整備することになります。

従業員のメンタルヘルスサポートはティーペック

ティーペックは、24 時間健康相談、医師手配、メンタルヘルスカウンセリング等をはじめとした健康経営支援サービスを提供しております。

健康相談窓口

ティーペックが2023年7月に行った、18~25歳の入社3年未満の若手社員1,000名を対象にした「若手社員のメンタルヘルスに関する調査」では、若手社員の約半数が仕事に関するストレスを抱えていることがわかりました。

さらにストレスの原因について詳しく調査したところ、最も多かったのが「同僚や上司との人間関係」、続けて「仕事の内容や質」「仕事の量」という結果が得られました。

グラフ 若手社員の過半数が仕事に関するストレスを抱えている
グラフ 若手社員の仕事に関するストレスの原因

社内の人間関係に関する相談、また、若手社員の年代ならではの悩み・多様な人生観をもつ若手世代への適切な対応が求められていることから、専門家が対応する社外の相談窓口が効果的であると考えられます。

ティーペックの健康相談窓口では、常勤の医師や、ヘルスカウンセラー(保健師・助産師・看護師・ ケアマネジャーなど)、心理カウンセラーが、24 時間・年中無休でこころとからだの健康に関するお悩みについてお応えいたします。

『約半数は社内に相談相手がいない?!入社3年未満の若手社員に聞いた!若手社員のメンタルヘルスに関する調査』 資料をダウンロードする>>

ストレスチェック・職場改善コンサルティング

ストレスチェックの目的は、従業員自身に自己のストレスについての気づきとケアを促すことですが、個々のデータを集め「集団分析」することも大切です。「集団分析」をすることで、役職や部署・課ごとのストレスの特徴や傾向などをつかむことができます。

ティーペックのストレスチェック・職場改善コンサルティングでは、ストレスチェックをやりっぱなしにせず、結果をしっかりと活用できる、充実した職場環境改善サポートサービスをご提供いたします。

職場復帰サポート

ティーペックのこころの専門医ネットワークでは、精神科・心療内科の専門医による復職セカンドオピニオンを手配し、意見書を通して復職可否判断を支援いたします。無理のない復職判断および復帰後の業務計画を立てることで、復職時の負担軽減および再休職の予防につなげます。

職場のヘルスリテラシー向上研修・セミナー

社内リソースでは対応し切れない従業員教育。ティーペックの研修・セミナーは健康領域を中心として、ニーズに合わせた効果的なコンテンツを提案します*。


【研修テーマ例】
・ラインケア研修
・セルフケア研修
・職場改善ワークショップ など

*依頼内容によってはご要望に沿えない場合があります。不明点はお問い合わせください。


<事務局より>以下より、従業員のメンタルヘルスの実態について解説している資料をダウンロードいただけます。ぜひご活用ください。

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<出典>

・厚生労働省 「令和4年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156170.pdf

・厚生労働省 「職場における心の健康づくり」
https://www.mhlw.go.jp/content/000560416.pdf


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◆監修者プロフィール

●名前
大西良佳
●科目
産業医、公衆衛生、ペインマネジメント、麻酔科、漢方内科、美容皮膚科
●所属学会・資格
公認心理師
産業医
麻酔科専門医
ペインクリニック専門医
公衆衛生修士
温泉療法医
緩和ケア研修修了
ICLSプロバイダー
●メディア出演実績
テレビ朝日「林修のレッスン!今でしょ」
宝島社
東京スポーツ新聞
小学館

※当記事は、2023年12月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の医師は一切関与しておらず、またサービスの監修もしていません。