メンタルヘルス・ハラスメント
こころの専門家コラム 2022/05/11

ストレスとの付き合い方~ストレス・コーピングって何?~

健康経営支援サービスを提供するティーペックで、メンタルヘルス相談・カウンセリング業務を担当している心理カウンセラー(臨床心理士、公認心理師等)から、こころの健康を保つためにお役立ていただける情報をお届けします。

今回は、「ご自分のストレスとの付き合い方」についてご紹介します。ご自分で日頃の考え方や行動を思い浮かべながら、お読みください。

ストレス対処法

ストレス要因に対処することを「ストレス・コーピング」と言い、次のようなものが挙げられます。

(1)ストレス要因を除去・軽減する(業務量を調整する、異動する)
(2)ものの見方を柔軟にする(別の視点から捉えてみる)
(3)ストレス反応を鎮める(腹式呼吸、リラクセーションを行う)
(4)社会的なサポートを得る(誰かに相談する)

上記の例から、(2)「ものの見方を柔軟にする」、(3)「ストレス反応を鎮める」方法について、今回は具体的にお伝えいたします。

ものの見方を柔軟にする

<状況>朝の出勤時、会社のエレベータ前で上司へ挨拶したが、無視された。

このような場面で、例えば「自分のことが嫌いなんだ」と捉えると、上司との会話にストレスを感じるようになり、自分からコミュニケーションを避けるようになる可能性も出てきます。

そこで、上記の状況を別の視点から捉えてみます。例えば、「上司も考え事をしていたのかもしれない」「相手が自分でなかったとしても同じような態度だったかもしれない」といった具合です。

そして別の捉え方をしてみた時に、自分の感情がどのように変化するのかを自分の中で振り返り、ストレスに感じる具合を確かめていきます。「嫌いなんだ」と捉えると、怒りや不安が強まりますが、別の捉え方をしてみることで怒りや不安も弱まるのではないでしょうか。

ポイントは、すでに浮かんでいる考えを全て否定するのではなく、今浮かんでいる考えはそのままにしながらも、別の捉え方にも思考の幅を広げてみることです。そうすることで、嫌われているという不快な考え以外にも、適応的な思考や感情が芽生える可能性が高まります。

また、「○○さんならこの状況をどう考えるだろう」と他の人の立場に立って考えたり、「もしも大切な友人が同じ体験をしたとしたら、自分は何と声をかけるだろう」と別の視点から考えてみたりすることも、思考の幅を広げる方法のひとつです。

ストレス反応を鎮める

ストレスにより緊張した気持ちや体をゆるめていくことで、リラックスさせる対処方法です。これには、気持ちをリラックスさせる方法と、身体をリラックスさせる方法があります。

(気持ちのリラックス)腹式呼吸

息を吸った時に腹部が膨らんでくるのを味わいながら、ゆったりと大きく深呼吸を繰り返す。回数の目安としては、1分間に数回~5回くらい。へその周りに手を当てると、腹部が膨らむ感覚を捉えやすい。

(身体のリラックス)リラクセーション(筋弛緩法)

身体にリラックスした状態を味わわせるため、意図的に、身体の一部に(肩、首、腕、足など)数秒力を入れたままの状態を保ち、ゆっくりと力を抜く。力を抜いた時、抜けていく感じを「味わう」ことがポイント。

対処法のレパートリーを増やすことがポイント

上述のように、ストレスの対処法は様々に分けることができますが、大切なことは、「1つの対処法のみに頼らない」ことです。ものの捉え方を柔軟にする対処法を身に付けたとしても、ストレスに感じる状況がこれまでにないくらい辛いものだった場合、ものの捉え方の対処だけでは済まず、辛さを抱え込むこともあり得ます。そのような時に、「一度その場を離れ、腹式呼吸をする」「信頼できる誰かに相談する」など、他の対処法を試みることが有効です。

同様に、日頃の生活から、気分転換になる方法のレパートリーを増やしておくことも大切です。例えば、趣味の旅行が気持ちをリフレッシュさせる唯一の対処法という場合、忙しくて旅行にいけないような状況になると、かえってストレス要因を溜め込む結果になり、心身の状態や、業務や日常生活に支障をきたすことも、少なくありません。

「まとまった時間を使って取り組んでいけること」「仕事帰りなど日頃のちょっとした時間で取り組めるようなこと」といった視点から、自分にとっての新たなストレス解消法を見つけていけるよう、身近な物事にアンテナを張ってみるのもひとつの方法です。

自分自身のからだ・こころの声に耳を傾けることは、忙しい日々の中では後回しにしてしまいがちですが、定期的に自分を振り返る機会を持つことをお勧めします。
そこで、「あれ?」と違和感を覚えたときは、早めに専門家に相談しましょう。


※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※当記事は、2022年5月に作成されたものです。