健康・予防・両立支援
みんなの健康情報 2021/08/10

マスク専門家・飯田裕貴子先生へインタビュー3 正しく使って快適マスクライフ~シーン別マスクマナー~

第1回第2回に引き続き、今回もマスクの専門家である株式会社環境管理センターの飯田裕貴子さんに、マスクの使い方に関わることをお聞きしていきます。

最終回の今回は、夏場の暑さへの対処法やレストランでのマスクマナーなど、シーン別のマスクの取扱い方についてお話しいただきます。

マスクの暑さ対策

―――暑い時期のマスク着用についての対策を教えてください。

まず屋外の場合、2メートル以上離れていればマスクをする必要はありません。ただし社会的には許されない環境もありますよね。

現実的な対処方法として、夏場はスポーツマスクのように息苦しくないものを使うのがよいでしょう。飛沫を止められれば、屋外ではほとんど問題はありません。

不織布マスクしかないという場合には、フィッティングを緩めるというのも一つの手です。マスクが顔に密着すればするほど空気がこもり、暑くなります。大げさに言うと「屋外では飛沫だけ止めればいい」という気持ちでもよいと思います。プリーツを閉じたままでも飛沫は止められます。ただし屋内では正しくつけてくださいね。状況に合わせて使い分けることが大切です。

特に、呼吸が苦しい時には注意が必要です。夏場の暑い時に息苦しいのを我慢してマスクをつけていると、呼吸が十分にできずに身体に悪影響をきたす危険もあります。少しでも息苦しさを感じる時には、マスクをはずしてください。

特に子どもは、息苦しくても頑張ってマスクをつけていようとしてしまうので、学校などでもこの件について指導して欲しいと思います。繰り返しになりますが、人との距離を保てれば屋外ではつける必要はありません。

外食時のマスクマナー

―――レストランなど、外出での食事の時に注意するマスクに関するマナーなどはありますか?

レストランでは、食べる時にはマスクをはずしますが、会話をする時にはマスクをつけるのがルールです。面倒ですがこれしかありません。

はずしたマスクはテーブルの上に紙ナプキンやハンカチなどを敷いて、マスクの表面が上になるように置いてください。これは、空気中のホコリは上から下に落ちるからです。

一時的にはずしたマスクをどこに置くのか迷う方もいるようですが、テーブルやイスの上、カバンの中などどちらでも構いません。肝心なのは、どこに置くかというよりもマスクを直に置かないようにすることです。外出先でのテーブルや椅子の上などは、誰が触っているかわかりませんからね。

また、自分が風邪をひいているかもしれない時には、はずしたマスクを直に置くと風邪のウイルスや菌などをテーブルに付けてしまうことになります。

そして再びマスクを着用する時は、マスクのひも、もしくは端を持ってつけてください。

―――今はマスクケースなども出回っていますが、一時的にマスクをはずした場合、これらは使った方がよいのでしょうか?

一時的にはずしたマスクをマスクケースに入れておけば、マスクケースの中は汚れるかもしれませんが、カバンの中などは汚れません。つまり、汚れている場所を限定できます。もし、使用したマスクを入れた後のケースに新しいマスクを入れるのであれば、消毒用アルコールでケースの中を消毒しておきましょう。

マスク着用時のメガネのくもり対策

―――マスクをするとどうしてもメガネがくもります。対処法はありますか?

特に、マスクをつけているとメガネがくもるのは、要するに鼻とマスクのあいだにすき間があるということです。

このような場合、なるべくマスクを上げて、メガネの縁でマスクを押さえるようにするとくもりを防ぐことができます。ただし、動いたり話したりするとマスクがズレるかもしれません。

多くの方はどうしてもマスクをする位置が低くなりがちなので、なるべく高い位置(下まぶたの際)までマスクをあげてつけるようにしてください。

―――最後になりますが、マスクをつけることでの感染症対策についてどのようにお考えですか?

当たり前のことかもしれませんが、感染症の予防として一番確実なのは、人の多いところに行かないということです。

ただし、学校や会社などに行かなければいけない時はもちろんあると思います。そのような時にマスクを正しくつけることで、自分が感染しない、そして感染させないための行動になります。

医療用の高性能マスクでもウイルスや細菌などを完全に防ぐことはできません。それが一般用のマスクの効果となればさらに低下してしまいます。また、ウイルスや細菌が付着したものに触れた手を介して感染することもあり得ます。

マスクの着用による感染症の予防に「絶対安心」ということはありません。ただし、みんなでマスクを着用することにより、全体としてウイルスや細菌などを出す量や吸い込む量は抑えられます。正しいつけ方やはずし方・捨て方、さらにシーンに応じた着用ルールを守って、感染症の拡大防止に努めていきましょう。

―――飯田先生、このたびはインタビューをお受けいただき、たいへんありがとうございました。

※当記事は2021年8月に作成したものです。