健康・予防・両立支援
みんなの健康情報 2021/08/10

マスク専門家・飯田裕貴子先生へインタビュー1 正しく使わないと効果不十分?~マスクの正しい使い方~

インフルエンザや風邪の予防、花粉症対策などで、日常生活にマスクは役立つものです。感染症の予防や拡散防止など、さまざまな性能を持つマスクですが、正しい使い方をしないとその効果は十分に発揮できません。

今回はマスクの役割や正しいつけ方などについて、マスクの専門家である株式会社環境管理センターの飯田裕貴子先生にお話を伺いました。

マスクの基本と正しいつけ方

―――マスクはどのような目的で着用し、どのような役割があるのでしょう?

市販されているマスクの目的は大きく2つです。浮遊している小さなホコリやウイルスなどの侵入を防ぐことや、自分が風邪などにかかっている場合は外にウイルスや細菌などを出さないのが目的です。あとは保湿効果によりのどを乾燥させないという効果もプラスアルファであります。この3つがマスクを着用する目的であり、マスクの役割です。

―――マスクの正しいつけ方を教えてください。

どのタイプのマスクも、顔とマスクのあいだにフィルターを通さずに空気が入るすき間がないようにつける、というのが基本です。

まずマスクの上下と表裏を確認し、マスクの表面を外側にして両端を合わせて半分に軽く折ります。それからプリーツを開いて、鼻を覆うようにしてマスクを顔に合わせます。

続いて下まぶたの際(キワ)までマスクを上げ、ノーズクリップ(ノーズフィッター)を鼻に押しつけて形を作ります。この時プリーツはあごの奥までマスクが届くように広げ、マスクのフィルター部分と顔のすき間をふさぐようにしましょう。こうすると話をした時にあごが抜けることがなくなり、顔にフィットして空気も抜けづらくなります。

あとはマスクを顔に馴染ませて、横の部分が開かないように手で押さえてください。そして最後に、強めに息を吸ったり吐いたりして空気が漏れていないか確認してください。

※上記「【わくわくT-PEC】マスクのつけ方」のPDFは、ログイン後にダウンロードいただけます。

また、マスクはいろいろなタイプのものが販売されています。不織布マスクでもプリーツタイプのもののほか、立体的なものなどがあります。プリーツタイプの場合は、最初にプリーツを開いてから顔に合わせる、立体マスクであれば、顔に置く位置を決めてノーズクリップで留めるなどの手順が必要です。

また、マスクが大きすぎたり横の部分にすき間ができたりするようなら、マスクのひもを縛る・クロスにするなどして調整しなければなりません。

顔は一人ひとり違い、メーカーによってマスクも違うので、自分なりに工夫してすき間がないように調整することが大切です。

―――マスクの上下と表裏はどのように見分けたらよいのでしょうか?

マスクの上下については、ノーズクリップの位置で判断しますので、ノーズクリップが上です。

次にマスクの表裏ですが、プリーツタイプのマスクは通常、プリーツにホコリなどがたまらないように表側のプリーツが下を向いています。そして、だいたいどのマスクもプリーツが広がって顔にフィットするように、カップ型になりやすいようにできているはずです。実はマスクは雑貨なので細かい取り決めがなく、メーカーによって異なるのです。ですから、説明書やパッケージの裏を見てメーカー指定の表裏を確認してください。ただ、たまに逆に作られているマスクもあって・・・(笑)。

基本はノーズクリップが上、表裏はプリーツがホコリを受けない方が表側ということです。

他にも真ん中が一番高く、上下にプリーツが開くタイプなどがあります。これらは開いた時にマスクがカップ型になるようにプリーツが折られ、人の顔の輪郭に沿いやすいように工夫されています。このタイプは、くぼんだ方が顔(裏)、出っ張った方が外(表)になります。

このようにマスクにはさまざまな種類があります。各メーカーで不快感がなく着用できるようにさまざまな工夫がされているので、説明書などをよく確認しましょう。

意外と知らないマスクをはずして~捨てるまでのエチケット

―――マスクのはずし方と捨て方、捨てるタイミングはどうでしょうか?

マスクのはずし方ですが、マスクの表面にはウイルスや細菌が付いている可能性があります。ですからマスクの表面は触らずに、耳のひもを持ってはずすのが正しいはずし方です。意識していないと表面を触ってしまうので、ここは注意が必要です。

次に、不織布マスクの捨てるタイミングについてですが、基本は家に帰ったら玄関ですぐにはずして、捨てます。

使い終わったマスクには、ウイルスや細菌が付いているかもしれないので、捨てる際はマスクの表面が内側になるように巻4つ折りにし、さらに横に半分に折って、ひもでクルクルと縛って捨てるとよいでしょう。すぐに捨てずに置いていたりすると、子どもが触ってしまうことも心配です。

また、自分が風邪をひいている場合には、この逆になります。裏(顔に接する)面を内側になるように折って捨てるわけです。

要するにマスクの表面が汚れて(汚染されて)いるのか、裏面が汚れているのかによるということですね。

また、風邪をひいているなどがはっきりしているのであれば、使い終わったマスクはポリ袋に入れて口を縛って捨ててください。

※上記「【わくわくT-PEC】マスクのはずし方・捨て方」のPDFは、ログイン後にダウンロードいただけます。

不織布マスクの場合、一回はずしたら捨てなければと思われるかもしれませんが、その日のうちでしたら再利用は可能です。

たとえば昼食など、食事の時などはいったんはずすことになりますしね。ただし一日の中でも、汚れたかな?と思うタイミングがあれば交換するのがよいと思います。

―――布マスクの場合、新しいマスクに買いかえるタイミングはありまか?

布マスクの場合ですが、メーカーが使用回数を決めています。おおよそ30回程度のものが多いと思います。使用回数で値段を割ると、不織布マスク1枚の値段に近くなると思います。

ポリエステルのマスクもメーカーごとに若干違いがありますが、使用回数は20〜30回が一般的です。

手作りのマスクも、ヘタって形が崩れてきたら交換時期ですね。洗うたびに捕集性(微細粒子を捕らえる能力)も下がってきます。

―――マスクのつけ方やはずし方にも、それぞれ正しい方法があるのですね。ありがとうございました。

次回は、自分に合ったマスクの選び方などをお伺いしたいと思います。

※当記事は2021年8月に作成したものです。