健康経営
健康経営 2026/08/12

2026年度健康経営度調査票の改訂ポイントと今後の健康経営の方向性

2026年度健康経営度調査票の改訂ポイントと今後の健康経営の方向性

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

2026年7月14日に、経済産業省の「第6回 健康経営推進検討会」が開催されました。
今回の検討会では、同年8月から申請受付開始となる2026年度健康経営度調査票の改訂内容と、今後の健康経営の方向性について議論がなされました。本記事では、検討会の資料を中心に要点をピックアップして紹介します。

《目次》
1.「攻めの予防医療」や「日本成長戦略」等が切り開く新たな健康戦略
2.健康経営銘柄「Premier(プレミア)」の創設
3.2026年度健康経営度調査票等の改訂方針・ポイント
4.経済産業省の政策との連動を踏まえた改訂ポイント
 (1)睡眠の質向上に向けた取り組み促進
 (2)PHRデータの利用促進
 (3)仕事と介護の両立支援
 (4)テーマ別ベストプラクティス【アンケート新設】
 (5)企業の健康投資額【アンケート新設】
 (6)ライフデザイン経営【アンケート新設】
5.「健康経営銘柄2027」および「健康経営優良法人2027」のスケジュール
6.健康経営推進施策強化の方向性

1.「攻めの予防医療」や「日本成長戦略」等が切り開く新たな健康戦略

「攻めの予防医療」は、健康寿命の延伸を図り、国民が元気に活躍できる社会を実現するとともに、持続可能な社会保障制度の構築を目指す高市内閣の重要政策の一つです。政府は「性差に由来する健康課題等への対応を推進するための論点整理」を示し、その中で「企業・保険者等における対応の推進」を柱の一つに掲げています。具体的には、中小企業等における健康経営を推進するとともに、企業と保険者が一体となってコラボヘルスに取り組み、健康寿命の延伸を支える体制づくりを進める考えです。さらに、エビデンスに基づくヘルスケアサービスの創出・拡大や、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を活用したヘルスケアサービスの導入等についても後押しするとしています。

こうした方向性は、「日本成長戦略」や「官民投資ロードマップ」で示されている官民連携による成長投資の考え方とも重なります。とりわけ「日本成長戦略」では、企業・保険者による健康投資額を2025年の約1兆円から、2040年までに約2倍に拡大する方針が示されています。また、「女性版骨太の方針2026」では、女性の生涯にわたる健康支援の充実や企業・保険者等における対応の推進が掲げられており、今後は性差に由来する健康課題等への対応も含め、地域の課題に応じた健康経営をより戦略的に進めるとしています。

図表1 目指すべき全体像(案)

図表1 健康経営の目指すべき全体像(案)

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P11
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

2.健康経営銘柄「Premier(プレミア)」の創設

これまでの検討会でも議論されてきたとおり、健康経営銘柄に継続して選定されている企業をさらに層別化する新たな枠組みとして、「健康経営銘柄Premier(プレミア)」が創設されました。本制度は、健康経営Premierとしてのブランドを明確化することで、健康経営の質のさらなる向上を促すとともに、他企業のロールモデルとなる優れた取り組みを広く社会に発信することを目的としています。新たなロゴやPR資材の提供に加え、優先的な事例紹介などを通じて、健康経営銘柄の中でもリーディング企業であることを対外的に発信します。これにより、投資家をはじめとするステークホルダーからの認知や評価の向上につなげることが期待されています。
なお、「Premier(プレミア)」の具体的な認定要件は、図表2「制度の概要」に示されている通りです。

図表2 健康経営銘柄Premier(プレミア)選定企業のメリットおよび制度の概要

図表2 健康経営銘柄Premier(プレミア)選定企業のメリットおよび制度の概要

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P13
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf


健康経営銘柄2027の選定スケジュールについては、例年と同様、以下の流れで実施される予定です。

図表3 健康経営銘柄2027の選定スケジュール

図表3 健康経営銘柄2027の選定スケジュール

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P14
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

3.2026年度健康経営度調査票等の改訂方針・ポイント

2026年度は、さらに多くの企業に健康経営に取り組んでもらうために、健康経営度調査票において「回答負担の軽減を図る」とともに、評価項目の見直しが行われます。
具体的には、派遣社員等や従業員の家族への健康支援を評価項目に加えたほか(ホワイト500認定要件)、設問を再構成して「組織体制」の評価項目に「従業員への健康経営の理解・促進」(ホワイト500認定要件)が追加されました。さらに、「健康経営の方針等の社内外への発信」を問う設問については、従来のQ18SQ4(健康経営の目的と体制の開示媒体)から、Q18SQ5(健康経営の推進について一元的に記載している媒体とURL)へ変更されました。
また、「適切な働き方の実現と長時間労働者に対する取り組み」は、「ワークライフバランスの実現に向けた取り組み」と「長時間労働の予防と事後対応」に再構成され、評価項目名も変更されました。

図表4 2026年度健康経営優良法人認定に関する改訂ポイント

図表4 2026年度健康経営優良法人認定に関する改訂ポイント

【出典】健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和8年度健康経営有料法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」P5
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_s01_01.pdf

4.経済産業省の政策との連動を踏まえた改訂ポイント

(1)睡眠の質向上に向けた取り組み促進
睡眠に関する取り組みは、これまで「従業員の生産性低下防止」に関する設問の一項目として扱われていましたが、2026年度からは独立した設問となる予定です。設問は「従業員の睡眠の質向上のために、どのような取り組みを行っていますか」とし、選択肢には、睡眠改善を目的としたウェアラブルデバイスの配布などを追加する案が示されています。
なお、睡眠が重視されるようになった背景には、「経済財政運営と改革の基本方針2026(原案)」において「睡眠対策を含む健康経営の推進」が明記されたことに加え、2026年6月から医療機関が「睡眠障害」を診療科名として掲げられるようになったことなどがあります。

図表5 睡眠の質向上に向けた取り組みの設問案

図表5 2026年度健康経営度調査(大規模法人部門)における睡眠の質向上に向けた取り組みの設問案

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P17
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

(2)PHRデータの利用促進
PHRについては、中小企業においても利用促進が求められています。健康経営優良法人2027(中小規模法人部門)認定申請書のアンケート項目として、「PHRの導入状況を問う設問を新設してはどうか」との案が出ています。また、大規模法人部門と中小規模法人部門で設問・選択肢を一致させるため、設問・選択肢を改訂しました。

(3)仕事と介護の両立支援
仕事と介護の両立支援については、2025年度健康経営度調査において、大規模法人部門・中小規模法人部門のいずれでも認定項目として設定されました。2026年度も引き続き関連する設問を設けて、企業による介護実態の把握等を促す方針です。

(4)テーマ別ベストプラクティス【アンケート新設】
2026年度健康経営度調査において、評価には反映されないアンケート項目(Q77)として新設されました。テーマは以下の5つで、先進的かつ実効的な取り組み内容を収集し、大企業10社・中小企業40社を選定・公表する予定です。エントリーには、健康経営優良法人の認定が条件となっています。

【テーマ】
[1]女性の健康保持・増進に向けた取り組み
[2]仕事と介護・治療・子育ての両立支援の取り組み
[3]睡眠の質向上に向けた取り組み
[4]高年齢従業員に配慮した健康づくりや職場環境整備の取り組み
[5]その他([1]~[4]に当てはまらない取り組み)

図表6 テーマ別ベストプラクティス選定の設問案

図表6 2026年度健康経営度調査におけるテーマ別ベストプラクティス選定の設問案

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P27
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

(5)企業の健康投資額【アンケート新設】
(4)と同様に、2026年度健康経営度調査では、評価には反映されないアンケート項目として、「健康経営の推進に係る投資額」(Q76)を記入する設問が新たに設けられました。同設問は大規模法人を対象としており、政策的な観点から健康経営への投資実態を把握することを目的としています。回答にあたっては、「人件費」「設備投資に係る減価償却費」「外注費」など、費用の内訳を記載します。

(6)ライフデザイン経営【アンケート新設】
「ライフデザイン経営」は、「社員がキャリアとライフを両立し、充実したライフデザインを実現できる環境を提供することで、人材の能力を最大限に引き出し、企業価値向上につなげる経営のあり方」として注目を浴びています。2026年度健康経営度調査(大規模法法人)では、ライフデザイン経営の認知度、必要性や取り組み内容を確認します(Q81~83)。

図表7 ライフデザイン経営に関する設問案

図表7 2026年度健康経営度調査(大規模法人部門)におけるライフデザイン経営に関する設問案

【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」P30
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

5.「健康経営銘柄2027」および「健康経営優良法人2027」のスケジュール

「健康経営銘柄2027」および「健康経営優良法人2027」のスケジュールは以下の通りです。大規模法人部門の健康経営度調査期間は、2026年8月17日~10月9日、中小規模法人部門の健康経営優良法人認定申請期間は、2026年8月17日~10月16日となっています。

図表8 スケジュール

図表8 「健康経営銘柄2027」および「健康経営優良法人2027」のスケジュール

【出典】健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和8年度健康経営有料法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」P24
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_s01_01.pdf

6.健康経営推進施策強化の方向性

健康経営をより推進するため、今後は以下の5つの取り組みを強化していく予定です。

(1)タイにおける健康経営顕彰制度の実施
2026年度中に、在タイ日系企業等を対象に健康経営顕彰制度を実施する。

(2)「人的資本可視化指針(改訂版)」における健康経営
同指針に、「従業員の健康」と「女性活躍の推進」が健康経営に関連する重要な取り組みとして盛り込まれたため、今後は健康経営の取り組みを社内外にいっそう積極的に発信し、人的資本経営の観点からその成果を可視化していく。

(3)健康経営に関する情報開示の指針(仮称)の策定
現在、健康経営に関する情報は認定取得のみが開示されているため、投資家の投資判断に十分に活用されていない状況にある。そのため、年内を目途に情報開示に関する指針の策定を目指す。

(4)中小企業への裾野拡大
健康経営に関心のない企業に対しては普及啓発を行うとともに、健康経営に取り組みたい企業に対しては、民間事業者のアプローチ機能を活用しながら、自治体や公的機関等が健康経営を推進する専門家の個別支援をコーディネートするなど、経済産業省が主体となり、健康経営優良法人認定まで切れ目のない支援体制を構築する。また、中小企業における健康経営の裾野拡大を図るため、健康づくり機関・経営支援機関を対象に、担当者向けの支援教材を8月までに作成する。

(5)若年層への健康経営の理解促進・定着に向けた取り組み
経済産業省は学生向け座談会や学生・保護者向けセミナーを実施する。また、これらのセミナーが若年層の就職等に与える影響を分析するとともに、今後、各地域において若年層と健康経営優良法人とのマッチングを促進する方策についても検討する。


こうした健康経営普及への動きは、高市内閣の重要政策と連動してより加速していくことが考えられます。また、健康経営の実現を目指す企業にとっては、健康経営に関する最新の動向に常にアンテナを張ること、そしてエビデンスに基づいた施策の検討がさらに求められると考えられます。


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<出典・参考文献>
・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第6回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度施策及び調査等の方向性について)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_02_00.pdf

・健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和8年度健康経営有料法人認定事務局の活動及び申請認定に関するご報告」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/006_s01_01.pdf
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※当記事は2026年7月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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