健康経営優良法人2026・健康経営銘柄2026の認定状況と今後の健康経営の方向性
こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
2026年3月17日に、経済産業省の「第5回 健康経営推進検討会」が開催されました。
健康経営優良法人2026・健康経営銘柄2026発表から間もなく行われた今回の検討会では、今年度の認定状況から、次年度(2026年度)の健康経営度調査、健康経営の今後について議論がなされました。本記事では、検討会の資料を中心に要点をピックアップして紹介します。
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≪目次≫
1.健康経営度調査回答数・認定数等
2.健康経営銘柄「Premier(プレミア)」を創設
3.企業価値向上に資するテーマ別の取組の評価について
4.中小企業への裾野拡大について
5.次年度の健康経営度調査について
6.「攻めの予防医療」実践に向けた段階的支援について
7.「健康投資額」の可視化
8.女性の健康効果検証プロジェクト
9.投資家に向けた非財務情報開示に関する調査事業(2026FY)
10.女性の健康・地域の健康経営推進事業(2026FY)
11.地方公共団体の認定状況
12.年間を通じた認定申請に関するスケジュール
1.健康経営度調査回答数・認定数等
2025年度の大規模法人における健康経営度調査の回答数は4,175件、また健康経営優良法人2026の認定数は、前年度より385件増えて3,765社となりました。認定数は2016年度の235件と比べて約16倍に増えています。
図表1 健康経営度調査回答数、健康経営優良法人(大規模法人部門)認定状況の推移
【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」P3
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
また、健康経営度調査の業種別回答比率を見ると、増加率が高いのは「水産・農林業」で、前年対比で133%となりました。加えて、上場企業に占める業種別回答比率を見ると、業界カバー率が高いのは「銀行業」でした。
図表2 業種別調査回答数の推移
【出典】健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和7年度健康経営優良法人認定の分析及びご報告」P5
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_03_00.pdf
都道府県別の大規模法人の回答比率を見ると、上位5県は山梨県、奈良県、島根県、香川県、大分県である一方、下位5県は青森県、栃木県、山口県、愛媛県、熊本県、宮崎県(熊本県と宮崎県が同率1位)でした。
図表3 都道府県別回答数及び認定数
【出典】健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社) 「令和7年度健康経営優良法人認定の分析及びご報告」P7
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_03_00.pdf
また、「健康経営銘柄2026」には、28業種44社が選ばれました。健康経営銘柄は、健康経営度調査の回答結果を基に、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人上位500位以内の上場企業から、1業種1社を基本として選定されます。
2.健康経営銘柄「Premier(プレミア)」を創設
現在の制度では、健康経営に継続的に取り組んでいる企業を十分に評価できていないことから、健康経営銘柄に繰り返し選定されている企業を対象とした新たな顕彰制度、健康経営銘柄「Premier(プレミア)」が創設されることになりました。
認定の要件は以下の通りです。
【認定の要件(案)】
要件① 健康経営銘柄に通算して10回以上選定されていること
要件② 当該年に健康経営銘柄に選定されること
要件③ 地域住民も含めた地域や取引先企業等のサプライチェーンに対し健康経営の普及活動を行っていること
※健康経営銘柄Premierは、ホワイト500の認定が外れない限り、当該年以降も称号を保有
そして、健康経営銘柄「Premier(プレミア)」に選定された企業は、健康経営銘柄の中でもリーディング企業であることを広く社会に発信できる位置付けとなります。
3.企業価値向上に資するテーマ別の取組の評価について
健康経営度調査票を基礎としながらも、各企業が主体的に自社に必要な健康経営を考え、取組を進めていくことが重要です。
そのため、企業が自由に取り組むテーマを選んで、その内容を総合的に審査・選定し、第三者による客観的な評価を行う必要性が示されました。
具体的には、大規模法人部門から10社を選定し、ベストプラクティス事例集として公表する予定です。
図表4 企業価値に資するテーマ別の取組と選定基準
【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」P10
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
4.中小企業への裾野拡大について
中小規模法人部門の認定数は23,085件となっており、2024年度の19,796件から大幅に増加しました。認定数が増加した背景には、慢性的な人材不足を受けて、従業員の健康保持・増進や職場環境の改善を通じて人材の確保を図ろうとする企業の意識の高まりがあると考えられます。
健康経営のアンケートによると、「従業員の健康状態の改善」(91%)、「組織の活性化」(79%)を実感したと回答する割合が高く、健康経営は今や中小企業の持続的成長を支える経営基盤として位置付けられています。今後、健康経営のさらなる裾野拡大に向けて、商工会・商工会議所等における情報提供や先進的な取組事例の紹介を強化するとともに、2026年度に設置予定の健康経営における女性の健康サポートデスクとの連携を図り、女性の多様な健康ニーズに対応した支援体制の構築を進めていくことが求められています。
5.次年度の健康経営度調査について
~ライフデザイン経営~
社員がキャリアとライフを両立し、充実したライフデザインを実現できる環境を整える「ライフデザイン経営」について、大規模法人部門の調査票にアンケート項目として、以下のような設問を新設することが検討されています。
【設問の案】
●ライフデザイン経営について知っていますか。
●ライフデザイン経営に関連する取組を実施していますか。
●ライフデザイン経営としてどのような取組を実施していますか。
・ライフデザイン支援に取り組むメッセージを経営層から発信している
・多様なライフデザインを実現したいという従業員が活躍できるような人材戦略が具体化できている
・管理職に向けて、従業員のライフデザイン支援に関する研修機会を設けている
・外部サービスの活用や専門家による相談等を含め、ライフデザインに関する相談先や公的窓口の紹介等を行っている 等
~プレコンセプションケア~
プレコンセプションケアの浸透について、大規模法人部門では「内容を知っている・聞いたことはある」と回答した企業は64.5%に達しており、昨年から12.3%増加しました。その中で、健康経営の一環として取組を実施している法人は全体の17.8%となり、具体的な取組として「全従業員向けの研修や相談窓口の設置」が多く行われていました。
6.「攻めの予防医療」実践に向けた段階的支援について
政府で検討されている「攻めの予防医療」の方針に合わせて、女性特有の健康課題や睡眠対策、プレコンセプションケア等について、中小企業でも無理なく始められる取組として整理し、段階を踏みながら実際の行動につなげる支援策として展開していくことが求められています。
図表5 攻めの予防医療に向けた性差に由来するヘルスケアに関する副大臣等会議での有識者の意見など
【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」P24
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
7.「健康投資額」の可視化
健康投資額とは、健康経営の一環として企業が実施する健康保持・増進に関する施策等に要する支出額を整理したものです。
投資額を可視化することは、健康経営にどの程度取り組めているかを分かりやすく示す目安になるといえます。
今後、健康投資を促進するために健康経営度調査等を活用して、健康投資額を可視化していくことが検討されています。具体的には、ストレスチェック、ジム、健康セミナー、検診、人間ドックや病気からの復職支援等にかかるコストを開示する案が示されています。
8.女性の健康効果検証プロジェクト
経済産業省では、女性の健康に関する取組を実施したい・実施している法人に対し、共通の評価指標を用いてその効果を測定し、可視化する「女性の健康効果検証プロジェクト」を行いました。
プロジェクトからは、これまで女性の健康に関する施策を実施していなかった企業(Group1)や一定程度実施していた企業(Group2)において、まず理解促進に関する取組を行う企業が多く見られたこと、また取組が進んでいる企業(Group3)ほど、投資や働き方の調整など、施策の幅が広がる傾向が見られることが分かりました。女性の健康に関する施策を社内に浸透させるためには、正しい理解を広げ、健康を大切にするという風土を醸成することが重要になるといえます。
9.投資家に向けた非財務情報開示に関する調査事業(2026FY)
経済産業省は、2026年度から健康経営に取り組む企業が投資家向けに非財務情報として情報開示を行う際の参考となるガイドブックを作成するとしています。健康経営はこれまで、普及・啓発認定・顕彰(健康経営優良法人、健康経営銘柄)を中心に進められてきましたが、今後は企業価値向上につながる“投資”として評価できるようにすることをめざしています。
10.女性の健康・地域の健康経営推進事業(2026FY)
この事業は、女性の健康課題への対応を軸に、地域全体で健康経営を広げていくことを目的に、2026年度から開始される取組です。具体的には、地域の民間事業者が自治体や業界団体等と連携し、健康経営に取り組んでいない企業等に対して、地域の課題に応じた支援を行う実証事業を全国2~3カか所で実施します。地域・自治体・関係機関との連携を重視している点が特徴です。
図表6 地方公共団体の認定状況
【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」P35
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
11.地方公共団体の認定状況
新たに、健康経営優良法人に認定された地方公共団体は8団体です。今後は、これらの先行事例を参考にしながら、地方公共団体においても健康経営の取組をさらに広げていくことが期待されます。
図表7 国及び地方公共団体の認定状況
【出典】経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」P37
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
12.年間を通じた認定申請に関するスケジュール
令和8年度の認定申請に関するスケジュールについては、概ね令和7年度と同じ流れになる予定です。
令和8年度の方向性としては、これまで進めてきた取組を継続しながら、健康経営の申請に至っていない法人等について、より細かな分析を行い、その結果を踏まえた新たな施策を展開していくとしています。また、保険者や行政、健康経営支援団体/事業者などとより緊密に連携して、健康経営のみならず健康宣言の普及啓発にも取り組むとともに、申請者の負担を低減する仕組みづくりや、健康経営に関する事務局からの情報発信の一層の分かりやすさの向上を図るとしています。
図表8 認定申請に関するスケジュール
【出典】健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和7年度健康経営優良法人認定の分析及びご報告」P16
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_03_00.pdf
こうした取組を通じて、健康経営をより多くの法人等へと広げていくことがめざされています。企業規模や地域の特性に応じた支援を強化しながら、健康経営を企業価値向上や持続的成長につなげていく動きは、今後さらに重要性を増していくといえます。
こちらもチェック>>産業医科大学の森教授と、先進的な女性の健康施策を推進する野村HD様が登壇した貴重なセミナーをレポート化!『産業医科大・森教授×野村HD×T-PECが事例から紐解く、成果につながる戦略と目標設定』を読む
原稿・社会保険研究所Copyright
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<出典・参考文献>
・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課「第5回 健康経営推進検討会事務局資料(今年度の認定状況と今後の方向性について)」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_02_00.pdf
・健康経営優良法人認定事務局(日本経済新聞社)「令和7年度健康経営優良法人認定の分析及びご報告」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/005_03_00.pdf
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※当記事は2026年3月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
