メンタルヘルス・ハラスメント
ハラスメント 2026/03/18

企業におけるハラスメント対策とは?義務化の内容や具体的な対策案を解説 【専門家監修】

企業におけるハラスメント対策とは?義務化の内容や具体的な対策案を解説  【専門家監修】

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

ハラスメント対策は、法令遵守としてだけでなく、離職防止や生産性向上といった経営課題そのものにも直結するものです。しかし、対策を講じても「規程は整備したが運用が回らない」「相談が上がってこない」など、運用がうまくいかないケースもあるでしょう。本記事では、企業におけるハラスメント対策義務化の要点を整理し、予防から発生時の対応などについて解説します。(以下、専門家監修による記事です)

目次
1.ハラスメント防止法とは
2.防止を義務化されているハラスメントの種類
3.ハラスメントが起きる要因は?
4.ハラスメントが従業員と企業に与える影響
5.具体的な防止策は?教育と相談窓口を軸に設計しよう
6.ハラスメントが起きた場合の対応方法
7.ティーペックができること|ハラスメント事案の発生予防~事後対応~再発防止や心身のケアまでトータル支援
8.無理なく続けられる体制を整え、リスクを最小限に

1.ハラスメント防止法とは

ハラスメント防止法(正式名称:労働施策総合推進法)は、職場でのパワーハラスメント(以下、パワハラ)を防ぐための対策を企業に義務付ける法律のことです。2025年時点で、すでに中小企業を含む全企業でパワハラ防止措置が義務化されています。

さらに、社外関係者からのハラスメント、カスタマーハラスメントが社会課題化していることを背景に、2025年6月にはカスタマーハラスメント対策を企業に義務付ける法律が成立しました。2026年10月より、すべての企業でカスタマーハラスメント防止措置が法的義務となります。そのため、企業はカスタマーハラスメント対策への強化を視野に入れておく必要があります。

1-1.ハラスメント対策が重要な理由

各種ハラスメント対策への遅れは、従業員側のメンタルヘルス不調や休職、離職につながる可能性があるものです。また、採用難や法的リスクの増加、企業ブランドの毀損などを招くこともあります。

また、ハラスメントは個人の資質だけで引き起こされるものではありません。業務過多や人員不足、役割のあいまいさやマネジメント不全など、職場の体質や体制によって発生することもあります。個別事案の対応のみにとどめてしまうと、同じような事案が発生し続ける可能性があります。企業は、将来にわたってハラスメントが発生しづらい環境をつくるためにも、予防と早期把握の仕組みを整え、運用し続けることが重要です。

2.防止を義務化されているハラスメントの種類

法律で防止措置が求められるハラスメントの代表例には、パワハラ、セクハラ(セクシュアルハラスメント)、マタハラ(妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント)が挙げられます。これらのハラスメントに対して、企業は相談体制の整備や再発防止を含む措置を講じなければなりません。

パワハラは、職場での優位な立場を利用して、「業務の適正な範囲」を超えた苦痛を与え、働く環境を悪化させる行為のことです。

セクハラには大きく分けて対価型セクハラと環境型セクハラの2つがあります。対価型セクハラでは、性的な言動を拒否したことで解雇や降格など、仕事上の不利益を受けるものです。環境型セクハラでは、性的な言動によって精神的苦痛を感じ、仕事に支障が出てしまいます。

マタハラは、妊娠・出産や育児休業などの制度利用を妨げる言動や、解雇、降格・減給などの不利益な取り扱いを示唆する言動など、就業継続を困難にするものが論点となります。

3.ハラスメントが起きる要因は?

前述したとおり、ハラスメントは個人の要因だけで起きるものではありません。職場の体質や環境によって、より発生しやすい状況を生んでしまうことがあります。各種ハラスメントが発生した際、特定の人物の問題として片付けると、類似事案の再発が懸念されます。

これらのことから、ハラスメント対策においては、個人による要因と会社による要因を分けてとらえることが重要です。

個人による要因としては、指導と攻撃の境界を理解できていない、コミュニケーション不足によるすれ違い、怒りや焦りのコントロール不足などが挙げられます。特に管理職による指導が行われる際、その伝え方があいまいであったり、強い口調・言葉を使ったりすることでパワハラと認定されるリスクが高まる可能性があります。

会社による要因としては、業務過多や人員不足、役割・権限のあいまいさ、評価制度のゆがみ、相談しにくい風土などがあります。例えば、極端な納期の短縮やそれに伴う圧力、属人的な業務設計は、強い言動が正当化されやすい空気を生むことがあるため注意が必要です。

これらを踏まえると、ハラスメント対策としては個人への注意喚起だけでなく、組織として制度変更なども視野に入れ設計していく必要があります。

4.ハラスメントが従業員と企業に与える影響

ハラスメントが発生する環境をそのままにしておくと、さまざまなリスクが発生する可能性が高まります。従業員側では、メンタルヘルス不調や休職・離職、エンゲージメントの低下などが起きやすくなります。企業側から見ると、生産性の低下や訴訟・行政対応リスク、採用難、企業ブランドの毀損などが顕在化しやすくなります。

実際にハラスメントが発生した際には、初動の遅れによって負の影響が波及する可能性があります。例えば、相談者への二次被害や周囲への不信感の連鎖などによって、組織の立て直しにかかるコストも大きく膨れ上がるでしょう。

従業員からの相談を受け止める体制と、是正まで進めるフローをあらかじめ整えておくことは、結果的に企業の損失を最小化することにつながります。

5.具体的な防止策は?教育と相談窓口を軸に設計しよう

では、具体的にどのようにして防止策を講じていけばよいのでしょうか。ハラスメント対策は、何かあったときに対応できる状態をつくるだけでは不十分です。予防と早期把握のサイクルを回し、問題が大きくなる前に収束させられる設計にしておくことが重要です。

そのための柱として、教育・研修、相談窓口の設置、職場環境の改善の3つに取り組んでいきましょう。

5-1.教育(研修)で予防する

ハラスメントに関する研修は、全員に同じ内容のものを実施するだけでは不十分です。職場内の役割や責任に合わせて、階層別に設計することがポイントです。

管理職向けには、適正な指導とパワハラの境界についてや、相談を受けた際の初動対応の方法、部下の不調のサインへの気づきなど、現場で使える論点に絞った研修が有効です。管理職は指導の責任を負う立場でもあるため、現場での判断を安定させるためにも、どのようなものがリスクになりうるのかを研修で理解できるようにしておくとよいでしょう。

一般社員向けには、無自覚な加害の予防や相談の促進、周囲とのかかわり方に関する研修などを実施しましょう。

また、研修は一度きりではなく定期的に行うこと、内容を更新していくことが大切です。接点を設計して繰り返し触れることで、制度が定着しやすくなります。

5-2.相談窓口で早期把握する

相談窓口は、問題を早期に拾い上げ、深刻化する前に介入するためのインフラとして機能します。相談が上がる仕組みがない場合、初動の遅れから調査や是正に多くの時間とコストがとられる可能性が高まります。

相談窓口を設置する際には、社内窓口だけでなく、社外窓口の併用も検討してみましょう。社内窓口のみの場合、匿名性や報復への不安から相談が上がりにくく、深刻な問題ほど潜在化しやすい傾向があります。

社外窓口を併用することで、第三者に相談できる安心感により、相談の心理的ハードルが下がりやすくなります。社内窓口と社外窓口を併用するなど、より相談しやすい環境を整えて、問題が深刻化する前に相談できる場をつくることが重要です。

5-3.職場環境を改善する

職場環境の改善においては、ストレスチェックなどの結果や相談の傾向を改善策に落とし込む運用が有効です。業務量や配置、役割分担の方法、権限の設計、マネジメント体制、コミュニケーションの取り方など、ゆがみや過大な負荷が生じていないかチェックしてみましょう。

自社にある課題を把握し、それを解消する施策を講じることが再発防止につながります。

6.ハラスメントが起きた場合の対応方法

どれだけ予防策を講じても、ハラスメントが発生してしまう可能性はあります。重要なのは、適切な初動対応で早期解決を目指せる体制を構築することです。

初動対応では、相談者の安全確保とプライバシー保護を最優先して、二次被害を防ぐ体制を取りましょう。事実確認では、中立性を保ちながら、必要な範囲で関係者から聴取します。記録した聴取内容をどこまで共有するかの範囲をコントロールして、うわさや憶測など、二次被害につながる行動が起きないようにしましょう。

また、ハラスメントの相談を行った従業員に対して、解雇や減給など不利益な取り扱いを行うことは禁止されています。これはパワハラ、セクハラ、マタハラいずれの場合も同様です。是正と再発防止は個人処分で終わらせず、マネジメントや業務設計など職場環境の改善につなげていきましょう。

7.ティーペックができること|ハラスメント事案の発生予防~事後対応~再発防止や心身のケアまでトータル支援

ティーペックは、公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士、シニア産業カウンセラーなどの有資格者によるハラスメント相談窓口を提供しています。電話相談に加え、Webからの受付にも対応し、相談者の希望があった場合に限り企業へ相談内容を報告します。

ハラスメント事案の発生予防から事後対応、そして再発防止まで、関連サービスを含んだパッケージプラン「ハラスメント総合プログラム」も選択可能です。

例えば、予防面では階層別集合研修や、再発防止の面でハラスメント行為者向けA-I-Dプログラムも用意しています。

ティーペックの「ハラスメント総合プログラム」

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相談窓口には、「ハロー健康相談24(R)」や「こころのサポートシステム(R)」など、身体とこころの相談に対応するサービスもあります。これらは、必要に応じて組み合わせることができます。

また、ハラスメント総合プログラムとは別に、各社員の課題に沿った研修を実施したい企業様にも、職場のヘルスリテラシー向上研修でコミュニケーションやハラスメントなどの研修を提供します。対面研修、オンライン研修、動画コンテンツなど、職場の状況に合わせた方法での提供が可能です。

このように、さまざまなサービスを組み合わせて教育と相談を一貫して実施することで、運用負荷を下げながら予防から再発防止までのサイクルを回しやすくなります。

ティーペックの「こころとからだの健康サポート(EAP外部相談窓口)」について詳しく知りたい方はこちら>>

ティーペックの「職場のヘルスリテラシー向上研修」について詳しく知りたい方はこちら>>

8.無理なく続けられる体制を整え、リスクを最小限に

ハラスメント対策は、従業員を守り、リスクを最小化するための投資とも言い換えられます。教育と相談窓口の両輪で予防と早期把握を進め、万が一に備えて対応フローを整えておきましょう。

とはいえ、自社だけで抱え込んでしまうと、担当者に大きな負担をかけてしまうこともあります。ティーペックのハラスメント総合プログラムのような外部支援の活用も含めて、実効性のある体制づくりを検討することが重要です。

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<監修者プロフィール>
村井真子(むらい まこ)

監修者である村井真子先生のプロフィール写真

社会保険労務士/キャリアコンサルタント

総合士業事務所での実務経験を経て、2014年に愛知県豊橋市にて独立開業。中小企業の労務問題・ハラスメント対応、人事制度構築を手掛ける。著書『職場問題グレーゾーンのトリセツ』ほか執筆企業研修講師、労務顧問として活動している。
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※当記事は2026年2月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の専門家は関与しておらず、またサービスの監修もしていません。

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