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みんなの健康情報 2025/03/18

「急性呼吸器感染症」(ARI)が2025年4月から5類感染症に!目的や変更点とは?

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

感染症法施行規則の改正により、2025年4月7日から急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection、以下ARIと略す)が感染症法上の5類感染症に追加され、指定医療機関による定点把握(定点サーベイランス)が始まります。
ARIは、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)または下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)を起こす病原体による症候群の総称です。インフルエンザ、新型コロナウイルス、RSウイルス、咽頭結膜熱などがARIに含まれます。
ARIが5類感染症に位置付けられることにより、今までと何が変わるのでしょうか。制度変更の概要と実務対応のポイントについて解説します。

<目次>
■感染症法における感染症分類のARIの位置付け
■ARIを5類感染症に位置付ける目的と運用方法
■患者や企業、健康保険組合に求められることは?
■まとめ

感染症法における感染症分類のARIの位置付け

感染症法では、感染症の感染力や重篤性によって、現在は以下のように感染症が分類されています。これらの分類は、感染症の予防や対策を効果的に行うために用いられます。

感染症の類型の図表

【出典】厚生労働省「類型から探す(感染症法)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/sagasu_ruikei.html

ARIが4月7日から5類感染症の定点把握疾患に位置付けられるのに伴い、各都道府県はARI定点となる医療機関を指定しなければなりません。この指定は、原則として既存のインフルエンザ/COVID-19(新型コロナウイルス感染症)定点および小児科定点を活用するように指示されています。したがって、インフルエンザ/COVID-19定点の多くはARI定点となり(「インフルエンザ/ COVID-19定点」の名称はなくなります)、インフルエンザ、COVID-19を含むARIに広く対応する定点が新設します。

ARIを5類感染症に位置付ける目的と運用方法

感染症の中でもARIは最も頻度が高い流行性疾患とされ、その中にはCOVID-19によるコロナ禍のように社会全体に深刻な影響を及ぼし、パンデミックを引き起こす感染症もあります。ところが、現行の感染症法では、インフルエンザやCOVID-19など特定の病原体ごとにサーベイランス(監視:全数把握や定点把握)が運用されてきたものの、包括的なARIという分類が存在せず、「未知の(病原体が同定されない)感染症が発生していても気付くことができずに対応が遅れる」という問題が指摘されていました。

問題解決のため、厚生労働省は急性呼吸器感染症全体を一体的に把握できる体制を整備するために「5類感染症」にARIを追加するという方針を打ち出しました。これにより、複数の呼吸器感染症を一元的に把握し、効率的な感染動向の監視を行うことでパンデミック等への早期警戒システムとすることを目指しています。
具体的には、全国約3,000か所のARI定点医療機関を設置し、定点から上がってくる受診者数データを基に、ARIの動向と特徴を継続的に監視する体制の構築を進めています。また、その一部の医療機関(ARI 定点/病原体定点)から提出された検体を遺伝子解析することにより、新たなウイルスや変異株の検索も持続的に行えるようになる予定です。

患者や企業、健康保険組合に求められることは?

ARIが5類感染症となることについて、患者や企業、健康保険組合の担当者等が新たに行うべきことについては、「従来と同じで構わない」といえるでしょう。
厚生労働省は、「ARIの5類への位置付けは、感染症の発生動向を把握できる体制を整え、国民や医療関係者の皆様へ情報提供するためのものです」とその趣旨を明確にしています。つまり、目的は感染症の発生動向の把握にあるのであり、医療行政的な措置を企図したものではないというわけです。

以下はその趣旨を裏付ける、厚生労働省のWebサイト「急性呼吸器感染症(ARI)に関するQ&A」の回答からの抜粋です。

・ARIを5類感染症に位置付けることによる、患者の皆様への影響はありません。診療上の扱いも何も変わりません。
・就業制限や登校制限の対象とはなりません。インフルエンザ等の個別の感染症について定められている運用についても変更はありません。
・基本的な感染症対策として、換気や手洗い・手指消毒、マスクの着用を含めた咳エチケットなどの実施について、国民に対し周知してきたところです。急性呼吸器感染症(ARI)が5類感染症に位置付けられることで、これら基本的な感染症対策の扱いを変更するものではありません。

まとめ

ARIの5類感染症への追加は、より効率的で持続可能な感染症対策の実現を目指すものです。企業や健康保険組合としては、新たなサーベイランス体制から得られる情報を活用しながら、従業員の健康管理と感染症対策の両立を図ることが求められます。従来と異なる対応を取る必要はありませんが、状況は今後も変化する可能性があるため、最新の情報を収集することが大切といえます。


原稿・社会保険研究所Copyright

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【出典】
・厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ari.html

・厚生労働省「第90回厚生科学審議会感染症部会」2024(令和6)年10月9日 資料2
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001314356.pdf

・厚生労働省「急性呼吸器感染症(ARI)に関するQ&A」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/ari_qa.htm

・厚生労働省「類型から探す(感染症法)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/sagasu_ruikei.html

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※当記事は2025年3月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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