健康経営
健康経営 2025/02/18

2024年度 健康経営度調査等の状況報告と今後の方向性~後編:健康経営の波及効果と目指すべき姿、推進施策の進捗状況~

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

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2024年12月19日、第1回 健康経営推進検討会(従来の「健康投資ワーキンググループ」は、当検討会に再編されました)が開催され、健康経営度調査(以下、調査という)等の報告が行われました。
後編では、検討会で議論された「健康経営の波及効果と目指すべき姿」、「推進施策の進捗状況」について要点をピックアップし、お伝えします。(前編記事はこちら>>

《目次》
Ⅰ 健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)
Ⅱ 推進施策の進捗状況
 1 健康経営の可視化と質の向上・・・女性の健康施策、民-民PFS等
 2 新たなマーケットの創出・・・支援サービスマッチング、海外での認知度向上等
 3 健康経営の社会への浸透・定着・・・業界団体との連携

Ⅰ健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)

図表1は、健康経営の目指すべき姿として示された概念図です。

図表1 健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)

Ⅱ 推進施策の進捗状況

1. 健康経営の可視化と質の向上・・・女性の健康施策、民-民PFS等

◆女性の健康施策の効果検証プロジェクト(来年度実施)
「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」は年間約3.4兆円と見られています。性別にかかわらず、だれもが生産性高く働ける環境を整備するためには、働く女性の健康課題に対するさまざまな支援や仕組みが必要です。
経済産業省では女性の健康課題に関する取組について、現状を把握し、効果を測ることで、各社が環境整備を進められるように、「女性の健康施策の効果検証プロジェクト」への参加法人を2024年12月20日から募集しています。

図表2 女性の健康施策の効果検証プロジェクト

また、経済産業省では図表3に見られるように、女性の健康づくりを支援する幅広い施策を用意しています。「どこから始めていいかわからない」、「施策の利用率が低い」など、各法人の悩みに合わせたプログラムを提示し、効果を測定するとしています。

図表3 女性の健康施策の全体像

◆女性の健康課題に対する先進的な取組事例集の公開
経済産業省では、より質の高い健康経営の実践に向けて、女性特有の健康課題に対応する企業の取組事例集を2024年度中に公表する予定です。 大規模法人・中小規模法人の取組を公表することにより、法人規模や業種に応じた取組を見える化するとともに、明日から始められる事例も紹介するとしています。

◆民-民PFS始動
成果に連動して対価を支払うPFS※方式の導入によって、コラボヘルスを推進する仕組みが始動します。企業、健康保険組合それぞれが保有する情報や資源を一元化して、健康課題の解決を目指すとしています。

※PFSは「Pay for Success」の略。外部のサービス提供者に委託等して実施する事業のうち、企業・健康保険組合が解決を目指す健康課題に対応した成果指標を設定し、サービス提供者に支払う額等が、当該成果指標値の改善状況に連動する方式。

2 新たなマーケットの創出・・・支援サービスマッチング、海外での認知度向上等

◆可視化するサービス領域|メンタルヘルスサービス
健康経営を実践している多くの法人が、自社の健康課題に対し、エビデンスに基づいた質の高いサービスを受容できる環境整備を求めています。今後、健康経営でニーズが高いメンタルヘルスやコンサルティングサービスの領域から 、一定の評価軸に基づきサービスを選択できる仕組みづくりを行います。
一例としては、2023年度より検討・開発されてきた「ウェルココ~職域における心の健康関連サービス選択支援ツール~」を2025年度後半より本格運用する見込みであり、2024年12月17日にはサービス提供事業者向けに説明会を実施しました。

図表4  ウェルココ運営体制イメージ(各主体が役割を担うコンソーシアム形式を想定)

◆海外での認知向上|OECD Health Working papers
わが国の健康経営の状況や、職域における健康増進施策の効果等が、経済協力開発機構(OECD)が公開したレポート「職場での健康と生産性を向上させるためのデジタル・革新的なツール」(2024年8月14日公開)において紹介されました。注目されたポイントは以下のとおりです。

(1)健康経営銘柄・健康経営優良法人認定制度
・日本では、健康経営の顕彰制度は職域でのデジタルヘルスサービス市場の形成に寄与している。
・日本では健康経営銘柄に選定された企業の株価は東京証券取引所の平均株価を上回った。
また、 日本の研究では企業利益は定期的な運動を行う労働者、非喫煙者、十分な睡眠をとる労働者の割合と相関がある。

(2)職域での健康増進施策の効果
・日本においては専門的な教育、ケア、投薬へのアクセスを促進する職場の女性の健康プログラムの導入が女性従業員の生活の質を改善するのに役立ち、欠勤や生産性にもプラスの効果をもたらすことがわかった。
・日本に拠点を置く企業の従業員を対象とした研究では、Alベースのアプリのユーザーは3か月で平均1.8 kgの減量に成功した。

◆健康経営に関する国際標準化
日本が世界に先行している健康経営について、国際標準化を主導することを目的に、2020年にWellbeing国内委員会 を設立しました。そして、2021年には日本からの提案でISO/TC 314(高齢社会)に新たなワーキンググループ(WG 4 Wellbeing)が設立され、2024年11月12日(日本時間)に、国際標準としてISOから発行されました。今後、健康経営のエッセンスを世界標準とすることで、世界的に健康経営の実践を促進させるとともにヘルスケアサービスを提供する日本企業のビジネス拡大を目指します。

図表5  健康経営の国際標準化

3 健康経営の社会への浸透・定着・・・業界団体との連携

◆業界団体との連携
健康経営の取組は、交通・運輸分野などさまざまな業界にも広まってきています。例えば、公益社団法人全日本トラック協会の「貨物自動車運送事業安全性評価事業」 (Gマーク制度)において、健康経営優良法人の認定取得が加点対象になりました。また、PHRをうまく活用して、ドライバーの健康管理を行う事業者もみられます。今後も業界団体と連携して、広報誌やメルマガ、セミナー等において情報発信を行っていくとしています。


健康経営推進検討会では、今後も健康経営の推進に必要な政策的な方向性を定め、健康経営度調査票の見直しなど、制度のあり方や運営に随時反映していくとしています。

原稿・社会保険研究所Copyright

前編「2024年度 健康経営度調査等の状況報告」についてはこちら >>

貴社での健康経営の施策・取り組みの検討にお役立ていただけるセミナーレポート『健康経営の価値を向上させるための本質理解』を読む>>

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<出典・参考文献>

・経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課 「第1回健康経営推進検討会事務局説明資料②」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/health_management/pdf/001_03_00.pdf

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※当記事は2025年2月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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