健康・予防・両立支援
健診・二次健診 2022/11/16

健康診断結果が会社に届いたら|届いた後の流れや会社がすべきことを解説

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

この記事では、健康診断の実施に従事している企業人事、健康保険組合の担当者などに向けて、健康診断結果が会社に届いてからの流れを解説します。会社がすべきことや健康診断を実施する方法についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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<目次>
会社の健康診断はなぜ必要なのか
会社が実施すべき健康診断の種類と内容
会社で健康診断を実施する方法
健康診断結果が会社に届いてからの流れ
健康診断結果が届いた後の注意点
健康診断における賃金の支払いは必要なのか
健康診断を拒否された場合の対処法
まとめ

会社の健康診断はなぜ必要なのか

会社は、自社の従業員に対して健康診断を実施する必要があります。健康診断の実施については法律による定めがあり、義務を果たさなければ罰金が課される可能性があります。

健康診断の対象となるのは、正規雇用の従業員だけに限られているわけではありません。一定の条件を満たす雇用期間の定めがある従業員やパート労働者なども該当します。

従業員に対して健康診断を実施すれば、法律で定められた義務を果たせるだけでなく、従業員の健康管理も可能になります。それにより効率的な働き方を実現できるため、健康診断にかかる費用を「投資」と捉える会社も増えてきました。

会社が実施すべき健康診断の種類と内容

会社が行う健康診断としては、一般健康診断と特殊健康診断があります。ここでは、健康診断の種類とその内容について解説します。

一般健康診断

一般健康診断は、健康診断が必要だと定められているすべての従業員が受診します。すべての会社において、「雇用時の健康診断」と「定期健康診断」を行わなければなりません。また、40歳以降の従業員に対しては、「特定健診」も実施する必要があります。特定健診とは、生活習慣病の予防や早期発見のために行う健康診断です。

一般健康診断の内容は年齢や労働条件によって異なるため、注意しましょう。

特殊健康診断

特殊健康診断は、法律で規定されている有害業務に従事する従業員が必ず受診する健康診断です。業務で扱う有害な物質が従業員の心身に悪影響を及ぼさないようにすることを目的としています。

特殊健康診断は定期的に行わなければなりません。雇用時や配置替え時だけでなく、半年ごとに1回の健康診断が必要です。ただし、じん肺健診は、管理区分に合わせて1~3年以内ごとに1回の頻度で実施します。

必要な特殊健康診断を実施していない場合、労働基準監督署から指摘や指導が行われます。

会社で健康診断を実施する方法

会社で健康診断を実施するには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、健康診断の方法を具体的に解説します。

1.健康診断の対象者を決める

健康診断の対象となるのは、一定の条件を満たす従業員です。正規雇用の従業員は必ず健康診断を受診します。また、無期契約もしくは契約期間が1年以上の有期契約で、週所定労働時間が、正規雇用の従業員の4分の3以上働いているパート従業員も健康診断の対象です。

対象者の業務の予定に合わせて健康診断のスケジュールを組みましょう。

2.医療機関で予約する

会社が選択した医療機関に健康診断の予約を入れます。対象者が受診しやすいよう、健康診断の期間には少し幅を持たせることが大切です。

なお、健康診断に対しては、加入している健康保険組合から年度内に1人につき1回まで、受診料金の補助金が出る可能性があります。あらかじめ金額を確認しておきましょう。

3.対象者へ健診の実施日を通知後、受診してもらう

健康診断を予約した日時を対象者へ通知します。健康診断の実施日の通知は、一般的にメールや書面などで行っている会社が多い傾向です。口頭ではなく書面で通知すると履歴に残るため、伝達ミスや勘違いなどが少なくなります。

健康診断結果が会社に届いてからの流れ

健康診断の結果は会社に届きます。ここでは、健康診断結果が届いた後の対応の流れを解説します。

健康診断結果を受診した従業員に通知する

健康診断結果を受け取ったら、それぞれの従業員に対して結果を通知しましょう。個人票を作って結果を記載します。個人票のフォーマットは、厚生労働省の『労働安全衛生規則関係様式』のページからダウンロード可能です。個人票の内容は5年間保管する義務があります。

※出典:厚生労働省『労働安全衛生規則関係様式』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei36/index_00001.html

なお、健康診断結果が従業員の自宅に直接届くケースもあります。その場合は、従業員からコピーを提出してもらい、会社が状況を把握できるようにしてください。

異常がある従業員には再検査を受けてもらう

健康診断で異常が見つかった従業員には、詳しい再検査を受けてもらいましょう。具体的には、結果に「要所見」や「要再検査」などの記載がある場合に再検査が必要です。

ただし、従業員に再検査を受けさせることは会社の義務ではありません。とはいえ、健康の問題の原因が労働環境にある場合、それが改善されないと安全配慮義務違反などの責任を追求される可能性もあります。再検査となった従業員に対しては、できる限り再検査を受けるよう促すことが大切です。

産業医と共に就業判定や事後措置を行う

健康診断で異常が見つかった従業員がいるときは、産業医から意見を聴取する必要があります。通常勤務、就業制限、要休業の区分を決め、就労判定を行いましょう。就業制限や要休業の区分になった従業員については、今後の具体的な措置についても確認します。措置については一方的に判断せずに、従業員本人の意見も取り入れることが重要です。

なお、常時雇用する従業員が50人未満の事業場は、地域産業保健センターで無料のサポートも受けられます。例えば、労働安全衛生法で定められている保健指導を受けることが可能です。

健康診断結果が届いた後の注意点

健康診断の結果について医師の意見を聴取する必要がある場合、3か月以内に実施しなければなりません。

常時雇用する労働者が50人以上いる事業場は、労働基準監督署に対して定期健康診断結果報告書も提出します。また、特殊健康診断を実施した場合も、定期健康診断結果報告書の提出が求められます。遅滞なく提出する必要があるため、忘れずに対応してください。

健康診断結果は個人情報なので、結果を確認できる人の範囲や扱い方については、明確なルールを定めましょう。

健康診断における賃金の支払いは必要なのか

健康診断に対して賃金を支払う必要があるかどうかは、健康診断の種類によって異なります。一般健康診断は実施義務・費用負担の義務が会社にありますが、賃金の支払いについては労使間の協議によって決定しなければなりません。

一方、特殊健康診断は業務の遂行そのものに関係する健康診断であり、労働時間とみなされます。そのため、特殊健康診断については、基本的に賃金の支払いが必要です。

取り決めの内容や健康診断の種類を確認し、適切に賃金の支払いの必要性を判断しましょう。

健康診断を拒否された場合の対処法

従業員に健康診断を拒否された場合、どうすればよいのでしょうか。ここでは、健康診断を拒否された場合の対処法を解説します。

健康診断を受けたくない理由を把握する

対処法を考えるには、まず健康診断を拒否する理由を把握することが大切です。理由を知ったうえで、従業員の気持ちに寄り添う対応を考えましょう。従業員の状況によっては、業務が多忙で健康診断を受けるための時間の余裕がない可能性もあります。理由によって対処法は異なるため、個別によく検討してください。

健康診断を受けるメリットを説明する

健康診断を受診するとさまざまなメリットがあるため、その内容を具体的に示すことも大切です。例えば、健康診断において業務に支障をきたす病気が発覚すれば、それを考慮して仕事内容を変更したり勤務時間を調整したりできます。また、健康診断は福利厚生として会社が費用を負担する点も、従業員にとっては大きなメリットです。

健康診断は法的義務であることを伝える

会社で実施する健康診断は、法律で定められている義務です。そのことを伝えれば、従業員自身が健康診断の必要性を理解しやすくなります。健康診断結果は個人情報として徹底的に保護されることも明確に示しましょう。雇用契約を結ぶ段階で説明を行うと、よりスムーズに周知できます。

まとめ

会社は条件に応じて従業員の健康診断を実施する義務があります。今回解説した内容を参考にし、適切に健康診断を実施しましょう。

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参考

・厚生労働省『労働安全衛生規則関係様式』
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/anzeneisei36/index_00001.html

・厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう~労働者の健康確保のために~』
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000103900.pdf

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※当記事は2022年11月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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