健康経営
喫煙対策 2019/07/08

職場における「受動喫煙防止対策」は企業の重要な責務

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
今回は【職場における「受動喫煙防止対策」は企業の重要な責務】についてご紹介します。

受動喫煙の防止対策に対する関心が高まる中、企業の責務が問われつつあります。特に、2019年に入ってからは、改正された健康増進法や、各都道府県の受動喫煙防止条例などが続々と施行され、今後、違反者には罰金も課されるようになります。企業が受動喫煙防止対策を行うことは、時代の流れ上、重要な責務になります。

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受動喫煙の防止=労働者の健康を守る責務は、法律によっても規定されている

会社が従業員の心身の健康に配慮しなければならないということは、「安全配慮義務」とも呼ばれる労働契約法第5条において規定されています。具体的には、「使用者(経営者)は、労働契約に伴い、労働者(従業員)がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」というものです。この条文は、ケガをしないように従業員を危険から守るというだけではなく、従業員の肉体的・精神的な健康についても配慮するよう義務付けています。

さらに、今回改正された「健康増進法」では、経営者や施設の管理者は「望まない受動喫煙を生じさせることがない」ように配慮しなければならないとして、その義務が定められました。従業員向けに受動喫煙防止対策をすることは、近年健康増進法が改正されたこともあり、一企業の重要な責務となっています。

では具体的にどのようにすればよいか、簡単に見ていきましょう。

会社の受動喫煙対策、具体的には何をすべき?

受動喫煙対策のために会社がすべきことは、まずどのような従業員が働いているのかを知ることです。従業員の体質や体調を知ることで、より適切な対策を立てることができます。この点についてもう少し詳しく説明していきます。

現状はどうなっていますか?「特に配慮すべき従業員」や建物の状況について

「特に配慮すべき従業員」とは、妊婦や未成年、呼吸器や循環器系に疾患のある方や、タバコに対するアレルギーを持っている方などです。これらの方々が多い場合、敷地内全面禁煙にするなどの相応の配慮が必要になります。また、受動喫煙に対して全体の意識が低い場合は、研修などを開いてもよいでしょう。喫煙者の割合なども、参考となる数値です。

建物に関しては、賃貸物件かどうか、また消防法や建築基本法に照らし合わせてどうかという点を考慮する必要があります。ただ、そもそも喫煙は健康に悪いだけではなく、火災の原因にもなります。従業員の安全を考慮するのならば、全面的に禁煙にするのが望ましいといえるでしょう。

具体的な対策の方法より効果的な受動喫煙防止の対策を考えよう

受動喫煙防止対策の具体的な方法としては、敷地内全面禁煙の実施や、屋外喫煙所の設置などがあります。また、電子タバコをどうするかという観点も、議論になるでしょう。上記のような現状を踏まえることで、より効果的な受動喫煙防止対策を行うことができるようになります。しかし、そのためには上で述べたように現状を把握し、その上で対策を考案する人がいなければなりません。そこで、これらの対策を考えるために、まずは責任者や担当部署を決定することから始めてみましょう。その際には、受動喫煙に対する研修や、違反者に対する指導をどうするかなどを話し合っておく必要があるでしょう。

国の支援にはどのようなものがあるの?厚生労働省が行っている支援

さて、いざ対策をしようと思っても、金銭的な問題で対策が進まないといった事態も起きそうです。その場合は、厚生労働省が行っている支援を受けることを検討してみましょう。

たとえば、厚生労働省はすべての中小企業の事業主に、上限を100万円として喫煙場所設置費用の1/2の支援を行っています。また、無料で受動喫煙防止対策のための講師を派遣してくれたり、無料で空気環境の測定機器を貸し出したりしています。中小企業の方は、是非この制度を利用し、積極的に受動喫煙防止対策を打ち出すことが重要です。

※喫煙室や空気清浄機では、受動喫煙・三次喫煙による被害は完全には防げない?
「誤解しがちな喫煙対策の真実」はこちら
https://t-pec.jp/work-work/article/228

法律の改正や各都道府県の条例について知ること

さらに、最近ではオリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止対策に関する法律や条例が、国や各都道府県から打ち出されています。特にオリンピック・パラリンピックの開催地である東京都では、従業員が一人でもいる飲食店では、原則禁煙などより厳密な条例を発表しました。各都道府県にある企業が受動喫煙防止対策を行う場合は、国の法律がどうなっているかを含め、事業所のある地域の条例を把握し、対策をする必要があります。

受動喫煙防止対策をするということは、社会全体のタバコ離れが進む中では、従業員を確保するというメリットになります。また、クリーンな会社であるという良いイメージを世間に広めることもできるでしょう。上記のように、企業には従業員の健康を守るという義務があります。受動喫煙防止対策をすることは、このような義務を果たすことです。助成金を利用し、積極的に対策を講じることで、従業員の健康を考えた労働環境を作り上げていくことが、今求められています。

執筆:株式会社ダリコーポレーション 髙山善光(たかやまぜんこう)

<参考>
・厚生労働省「職場における受動喫煙防止対策について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/anzen/kitsuen/index.html

・厚生労働省「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/content/000524718.pdf

※当記事の内容は、弊社運営のWebサイト『禁煙の教科書』に2019年7月8日に掲載された当時のものです。(2022年4月更新 ※記事内の一部文言修正しました。)