特集
withコロナ 2021/02/19

コロナ禍で「死にたい」と訴えるメンタルヘルス相談件数は前年比1.7倍に増加~企業が従業員のメンタルヘルス不調サインを見極めるポイントとは?~

2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大で日常生活が劇的に変化した1年でした。環境の変化や行動の制限により、気が付くと緊張状態が続いており、ストレスを感じている方も多いのではないでしょうか。

ティーペックの電話・Webによるメンタルヘルス相談では「死にたい」と口にする相談が増加しました。また、相談件数だけではなく内容も時期ごとの変化がありました。
本記事の前半では、相談件数の推移と相談を受けている心理カウンセラーの考察をご紹介します。

コロナ禍では身体やこころの健康が改めて注目されており、企業は今まで以上に従業員が健康で働きやすい環境を整える「健康経営」が求められています。後半では、リモートワークなど働き方の変化によって企業に求められる従業員のメンタルヘルスケアのポイントもご紹介します。

「死にたい」など、自傷他害をほのめかす相談が急増

ティーペックの電話・Webによるメンタルヘルス相談から、「死にたい」など、自傷他害をほのめかす相談件数※の推移をまとめました。前年と比較すると8月以降は顕著に増加したことがわかります。

自傷他害を口にする相談件数の推移

※データは、ティーペックに寄せられた電話・Webによるメンタルヘルス相談から、死にたい、自分を傷つけたい(リストカットや、過量服薬したいなど)、誰かを傷つけたい(虐待含む)などの訴えを抽出した件数です。

2020年コロナ禍における自傷他害をほのめかす相談の傾向について

相談傾向を時系列でみると、長引く自粛生活で、誰しもが少なからずストレスを抱えており、メンタルヘルス不調になる可能性があることがわかります。緊急事態宣言や新規感染者数・死亡者数増加などのニュース、著名人の死亡や自死のニュースなどに感情が左右される傾向も見受けられたことから、予めストレスケアの方法やメンタルヘルスの相談先を確保しておく必要があります。

【2020年1月から12月までのメンタルヘルス相談傾向】

1-3月

相談内容として、精神疾患や健康状態によるもの、ギャンブルによる借金や、体調不良などで働けないことからくる経済的困窮、高齢者の独り暮らしなど社会的孤立、夫婦関係の悪化や職場での対人関係の問題など、通年訴えられる相談がほとんどであった。コロナ感染の報道が徐々に増えてきた時期ではあるが、メンタルヘルスへの問題として潜在化していた時期といえる。なかには「コロナに罹って死にたい」との相談もあった。

4-6月

従来の対人関係や経済的困窮などの相談よりも、精神疾患の悪化による相談が多く見受けられるようになった。4月に緊急事態宣言が発出され、感染の不安や生活環境の変化などのストレスがかかることにより、もともと抱えていたメンタルヘルスの不調や身体的な症状に関する不安などがより顕在化してきた時期と考えられる。相談の中では、自傷他害の訴えの有無に関わらず、「自粛によりストレス発散ができない」という話が多く出た。さらに、「大量服薬をした」「ベランダの手すりの上に立ってみた 」「ロープをかけてみた」「包丁を胸に当ててみた」など、自傷に関する具体的な方法を示す相談も増えた。

7-9月

在宅勤務の普及や、自粛生活長期化により休日も自宅で過ごす時間が増えたことなどから、家族とのトラブルが増え、その結果、希死念慮を抱く相談が増加したと考えられる。受診のための外出ができないことから、症状が悪化して自殺企図(具体的に自死のための行動を図る)に至ったケースもあった。ご本人の命を守るために、警察通報を行う相談も散見されるようになった。カウンセラーの所感では、自傷他害の相談内容は軽度と重度に二極化し、重度の内容はより深刻化したような印象があった。9月後半には著名人の自死による影響を受けたと思われるケースも複数あった。

10-12月

うつ病など精神疾患や発達障害が要因となっているケースや、経済的困窮、社会的孤立、仕事上でのトラブルなど、主な相談内容は通年みられるものがほとんどだが、それに加えて「コロナによりストレス解消ができない」など、長期化するコロナ禍による疲弊がみられた。また、9月から引き続き、著名人の自死に関して言及したケースが複数見受けられた。同じ相談者が同月に複数回リスク相談をするケースも散見された。

年間を通じて、コロナによる不安や社会的閉塞感に加え、著名人の相次ぐ自死などがリスクケース増加の要因となった可能性が考えられる。

▼具体的な相談事例や心理カウンセラーの対応内容を紹介している資料は、こちらからダウンロードしていただけます。
『いま求められるメンタルヘルス対策とは?~「死にたい」などを訴える相談件数が1.7倍に増加~』
https://t-pec.jp/work-work/article/199

Withコロナ時代、企業に求められる従業員のメンタルヘルスサポート リモートワークで従業員の「心身の不調」に早めに気付くポイントは?

メンタルヘルス相談のきっかけとして、「眠れない、食欲がない」などの体調の変化を感じて相談する方もいますが、「上司や同僚から勧められて相談をした」という方もいます。このように、共に仕事をしている同僚や上司などは、メンタルヘルス不調者に早く気付き、適切な支援へと繋ぐことができる可能性があります。

上司が従業員のメンタルヘルス不調に気が付くポイントは「普段の様子との違い(変化)」です。今までは勤務態度、遅刻、表情や服装の乱れなどから感知できたことも、リモートワークだと気付かないこともあります。リモートワークの導入で今までのような対面でのコミュニケーションが難しい場合は、メールなどの文章や成果物などのアウトプットに注目しましょう。
締め切りが守れなくなる、文章にミスが増えるなど、今までできていたことができなくなったり、以前の様子と比べて違和感があったりする場合は注意が必要です。

コロナ禍では特にきめ細かなラインケアが求められています。文字だけのテキストコミュニケーションでは限界がありますので、オンラインで顔を見ながら話す機会を意識的に増やすなど、管理職からも気付ける機会を増やしましょう。

「普段の様子」がわからない新入社員の対応は? 従業員にとって使いやすい相談窓口の設置を

コロナ禍で入社した新入社員は「これまで」や「普段の様子」がわかりません。さらに、例年であれば新入社員オリエンテーションや新入社員研修を通して、同期入社同士のコミュニティを築くことができ、同期の仲間で助け合い、愚痴を言ったり、励ましたりといったコミュニケーションをとることができました。しかし、コロナ禍で入社した新入社員は、そのようなコミュニティを築くことができず、同期とのコミュニケーションがとりづらくなっていることが想定されます。新入社員はコロナ禍の入社で社内文化がわからないこと、人間関係も築けていないことから、ストレスの影響を受けやすい状態であると認識して対応することがよいでしょう。

また、今までは会議の前後や移動時間など、雑談できる「のりしろ時間」があり、これが息抜きやコミュニケーションの場になっていたと感じている方も多くいます。オンライン会議では「のりしろ時間」がなくなっているので、企業が従業員のコミュニケーションを推進させる時間を設けることも有効です。

従業員同士の相談(メンター制度など)も有効ですが、プライベートな悩み事は社内では話しにくいこともあります。
社内だけでなく、専門の外部相談窓口を導入して、従業員が社内外どちらも選べる相談しやすい体制を整えることが、メンタルヘルスサポートを行う上で有効な手立てです。
また、企業がサポート体制を強化しても社員が知らない場合も多々あります。実際に、「社員全員が相談窓口の存在を知っている」状況を作り上げるためには、人事労務担当者からの定期的な社内周知が必要です。

▼Withコロナ時代に「組織がとるべき3つの対策」を紹介している資料は、こちらからダウンロードしていただけます。
『いま求められるメンタルヘルス対策とは?~「死にたい」などを訴える相談件数が1.7倍に増加~』
https://t-pec.jp/work-work/article/199

コロナ禍のメンタルヘルス問題をサポート! ティーペックのメンタルヘルス対策サービスのご紹介

①オンラインにも対応!従業員のメンタルヘルス問題を未然に防ぐ研修サービス

ティーペックでは、各種メンタルヘルス研修サービスをオンライン対応でご提供しております。
部下の不調に気付き対応するためのラインケア研修や、自身のメンタルを強く保つためのセルフケア研修は、コロナ禍でリスクの高まったメンタルヘルス対策として効果的です。
さまざまなニーズに対応した約20種類の研修メニューをご用意しております。また、企業ごとの課題に合わせた研修内容設計のご相談も承っております。

【メンタルヘルス研修サービスの一例】
・在宅勤務者向け 在宅勤務時のセルフケア研修
・新入社員向け 新入社員に重要な働く上でのストレス対処基礎研修
・管理職/リーダー職向け リモートラインケア基礎~不調者の早期発見と対処~
・全従業員/管理職向け 2020法施行対応!ハラスメント研修~職場の価値基準~

新たに開発した研修メニューもお勧めです。
【withコロナ時代に成果を上げるリモートワークとは?】~成功の鍵は「ソフト面」にあり~

②電話・Webによる相談実績100万件以上!心理専門職によるメンタルヘルス相談窓口サービス

メンタルヘルスに不調をきたした方やその予備軍はもちろん、すべての従業員やそのご家族の「こころのケア」に、ティーペックの日本最大級のメンタルヘルスカウンセリングネットワークが対応します。
臨床心理士、公認心理師やシニア産業カウンセラーなどの「心理専門職」が、電話、Web、面談から自由に選べる相談方法で幅広く支援し、『早期予防』から『早期回復』と『治療開始』を促すことで、従業員のこころの問題をサポートします。(面談はオンラインにも対応。)
健康経営の取り組みの一環としても、多くの企業のメンタルヘルス対策に利用されています。

そのほか、「ハラスメント対策」に関するサービスや、「ストレスチェック」の関連サービスなどもご提供しております。ご関心のあるご担当者様は、お気軽にご相談ください。

Withコロナ時代にあたり、感染を防止する取り組みに加えて、従業員のこころの健康を保つ環境も整えていきましょう。

<サービスに関するお問い合わせはこちら>
電話 :03-3839-1100(代) メール : is-group@t-pec.co.jp
※営業担当者よりご連絡します

▼コロナ禍の相談傾向から具体的相談事例、組織がとるべき対策までわかりやすくまとめた資料はこちらからダウンロードしていただけます。
『いま求められるメンタルヘルス対策とは?~「死にたい」などを訴える相談件数が1.7倍に増加~』
https://t-pec.jp/work-work/article/199

<本記事に関するお問い合わせはこちら>
https://ws.formzu.net/dist/S47191770/

※健康・医療の相談などは受付けておりません。
※こちらのページでのセールス行為などはご遠慮願います。
※お問い合わせ内容により、お応えできない場合がございますので、予めご了承ください。

※当記事は2021年2月に作成されたものです。
※「健康経営(R)」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です。