育休明けの女性7割が「つらい」と回答!?育休から職場復帰した女性従業員の苦悩とは
こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
近年、育児休業(以下、育休)から職場復帰を経験する方は、多くの職場で見られるようになりました。2025年の改正育児・介護休業法により「共働き・共育て」の推進や労働者の柔軟な働き方の支援が一層強化され、企業主体で育児と仕事の両立を目指した環境整備が進められています。一方で、実際に育休から職場復帰する女性従業員の方々は「ちゃんと仕事についていけるだろうか」「仕事と育児を両立できるだろうか」など、それぞれ復帰前後に不安や悩みを抱えていることも考えられます。
そこで今回は、20代〜40代の育休明けで職場復帰を経験した女性約600名を対象に、復帰前に感じていた不安や、復帰後につらいと感じたことなどについてアンケート調査を実施しました。本記事では、調査結果から見えてきたリアルな声や実態をご紹介します。職場のサポート体制の見直しや検討のヒントとして、ぜひ参考にしてください。
≪目次≫
調査結果(概要)
1.育休明けの職場復帰前に感じる不安の実態
2.職場復帰後のつらさのピークや具体的な要因
3.職場復帰後のストレスから生じる心やからだへの影響
4.育休明けから職場復帰する女性への企業の支援・サポート体制
5.まとめ
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査期間:2026年2月4日から2月6日
調査対象:全国の20~40代・女性・会社勤務(一般社員・管理職・派遣社員・契約社員)
※会社経営(経営者・役員)を除く
有効回答数:611名
※本調査では、育休から職場復帰を経験した女性を対象にアンケートを実施しました。なお、育休を複数回取得している場合は、直近の職場復帰時の経験について回答いただいています。
調査結果(概要)
今回実施した「育休から職場復帰を経験した女性に関する調査」から、以下5つの実態が明らかになりました。
●育休から職場復帰を経験した女性のうち、約8割が職場復帰に対して不安を感じている
●育休から職場復帰を控える女性の多くが、特に不安を抱えているのは「仕事・家事・育児の両立」ができるかどうか
●職場復帰後、約7割の女性が「身体的もしくは精神的につらいと感じる場面があった」と回答し、その具体的な要因の1位は「仕事・家事・育児の両立」
●職場復帰後のストレスからくる心やからだへの影響は、疲労感だけでなく、「イライラ」や「気分の落ち込み」といった、精神面の不調として現れるケースが多い
●職場復帰後のつらさについて家族や友人など周囲へ相談し乗り越えた人がいる一方で、我慢してやり過ごした人も一定数いる
これらの実態について、各セクションで詳しく見ていきます。
1.育休明けの職場復帰前に感じる不安の実態
まずは、育休から職場復帰を経験した女性611名に、職場復帰をすることに対してどの程度不安を感じたかを調査しました。
調査の結果、「非常に不安を感じた」(35.0%)、「やや不安を感じた」(43.7%)と回答した人の合計は、全体の78.7%にのぼりました。一方、「あまり不安を感じなかった」(7.9%)「全く不安を感じなかった」(1.6%)と答えた人は、全体のわずか1割程度にとどまっています。
この結果から、育休明けの職場復帰は、単に『業務に戻る』という言葉だけでは片付けられず、何らかの不安を抱えた状態で迎えている女性が多いことがうかがえます。
では、この結果を年代別に見ると、どのような違いがあるのでしょうか。
「非常に不安を感じた」と回答した割合は、20代(39.5%)・30代(33.7%)・40代(32.6%)の順で高い結果となっています。
なお、「非常に不安を感じた」と「やや不安を感じた」を合わせた割合で比較すると、20代(77.9%)に対し30代(82.4%)のほうが高いことがわかります。
背景にはさまざまな要因が考えられますが、30代は20代に比べて業務上の責任範囲が広がり、組織の中核として成果やマネジメントを求められる立場にある人も少なくないと考えられます。そのため、プレッシャーや不安を、より感じやすい傾向があるのかもしれません。
次に、育休明けの職場復帰について「非常に不安を感じた」「やや不安を感じた」と回答した481名に、具体的な不安要素を聞いてみました。
最も票が集まったのは「仕事・家事・育児の両立」(80.7%)でした。次いで、「職場での理解やサポートがあるのか」(52.6%)、「職場の雰囲気や人間関係の変化」(39.3%)となっています。
このグラフが示す通り、「仕事・家事・育児の両立」に対する不安が特に大きい一方で、「企業からの復職後のサポート」や「職場環境」など、復職後の働く環境に対して不安を抱える人も多いことがうかがえます。
同回答者に、職場復帰に関する具体的な不安を自由回答で尋ねたところ、上記の結果を裏付ける声が多く寄せられました。以下、その一部をご紹介します。
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◇育休中に業務内容や体制が変わっている可能性があり、仕事の進め方やスピードについていけるか、職場がどの程度サポートしてくれるのかも不安に感じてた。
◇突然の早退や残業免除に対する現場の理解と、キャリアアップへの影響が不安だった。
◇育児休業中は、子どもにあわせた生活で、職場のスピード感についていけるのかとても心配だった。
◇産休に入るか前と復帰したあとで人が入れ替わっていること、業務に遅れができてしまうこと。自分の場所がなくなっていること。
◇家庭との両立、子どもの急な体調不良での休みや呼び出しの対応、業務を短時間勤務でこなせるか。
◇復帰後の担当業務が育休前の担当業務と違うことで新しく覚えないといけないことが多く不安だった。家庭と仕事の両立がうまくできるか不安だった。
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上記の結果から、育休明けの職場復帰を控える女性の多くが、仕事をしながら家事・育児をこなしていけるか、という「仕事と家庭の両立の不安」を抱えていることがわかります。あわせて、両立を実現させるための環境があるのか、という職場の理解やサポートへの不安、そして「自分の居場所がなくなっているのではないか」「周囲に負担をかけてしまうのではないか」といった、人間関係や職場環境の変化への不安も見受けられました。
特に、半数以上が不安を抱える「職場での理解やサポート」の点は、職場復帰する女性従業員だけでコントロールできる部分ではありません。復職前の不安を軽減するために、企業・組織側が率先して、復職者が安心して働ける職場環境づくりや周囲の理解を促進する取り組み・サポートを行うことが重要であると考えられます。
2.職場復帰後のつらさのピークや具体的な要因
次に、育休を経て職場復帰した後、身体的もしくは精神的につらいと感じる場面があったかを調査したところ、約7割(69.4%)の方が「ある」と回答しました。
上の設問で「ある」と回答した方に対し、職場復帰後の疲労感やストレスのピークに達した時期について伺いました。
「職場復帰から1~3か月目」(40.1%)が最も多く、次いで「職場復帰直後(~1か月)」(27.1%)となっています。
職場復帰後1か月程度は、業務を覚えたり思い出したりしながら、保育園への送迎や子どもの急な発熱、家事との両立など、新たな生活リズムへの適応に追われる時期です。
家庭環境も仕事も慣れないままのスタートで、日々の対応に精一杯になり、疲労感やストレスを感じる余裕がないまま過ごしている人が少なくないのかもしれません。
職場復帰から1か月を過ぎる頃には、生活や業務に少しずつ慣れ始める反面、それまで気づかないうちに蓄積していた疲労やストレスが表面化し始めるケースも考えられます。
こうした背景から、「職場復帰から1~3か月目」に疲労感やストレスのピークを迎えたと感じる人が多いことがうかがえます。
次に、職場復帰後、身体的もしくは精神的につらいと感じた具体的な要因について聞いてみました。
当てはまるものをすべて選んでもらったところ、「仕事・家事・育児の両立」(78.3%)が1位で、次いで2位が「子どもの体調不良等による欠勤や早退」(41.7%)、3位が「業務量・時間的な余裕のなさ」(35.1%)という結果になりました。
注目すべきは、「職場での人間関係」(27.8%)や「職場の理解やケア不足」(27.1%)にも、一定数の票が集まっている点です。復職後は、以前と部署やチームが変わる方も多く、人間関係の構築も一からスタートしなくてはならない方もいることから、少なからずストレスを感じている可能性が見てとれます。
また、職場復帰後は、子どもの体調不良による急な欠勤や早退が避けられない場面も多く、そうした状況に対する職場の理解やケア不足も、女性従業員の心理的な負担につながっていることが考えられます。
同回答者を対象に、職場復帰をしてから実際に「つらかった」「しんどかった」と感じた具体的なエピソードを自由回答で尋ねました。以下、実際に寄せられたコメントの一部をご紹介します。
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◇まだしっかりと仕事に関して調子を取り戻していないのに、転勤があり今までと全く違う環境に置かれることになった。人間関係も一からだし、忙しくない地域で自分が用なしになったような気持ちに陥った。
◇復帰直後は子どもの体調不良で急な欠勤や早退が続き、そのたびに職場へ申し訳なさを感じていた。時短勤務のなかで仕事を終わらせなければならず、思うように進まない業務に焦りを感じることも多かった。帰宅後は育児と家事に追われ、自分の休む時間がほとんどなく、常に疲労感が抜けない状態が続いたのが特につらかった。
◇子どもの体調により半月しか働けないこともあったり、時短勤務ではあるものの時間にゆとりはなくとにかくバタバタ。旦那は自営業のため帰りが遅いことも多くほぼすべて自分で双子の世話と家のことを少ない時間のなかでするのはとても大変だった。自分の時間もなかった。
◇時間に余裕が持てず毎日がいっぱいいっぱいになって子どもに当たってしまった。
◇仕事での悩み、保育園での悩み、家事育児での悩みと、考えることが多すぎて大変。
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自由回答からもわかるように、仕事・家事・育児の両立による負担だけでなく、周囲への気遣いや職場での人間関係など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、復職後の負担につながっている様子がうかがえました。
3.職場復帰後のストレスから生じる心やからだへの影響
続いて、職場復帰後の『身体的もしくは精神的につらいと感じた具体的な要因』が、あなたの心やからだにどのような症状で現れたかすべて選んでもらいました。
1位は「イライラ」(56.8%)、次いで2位「気分の落ち込み・憂鬱」(55.0%)、3位が「疲労感」(37.3%)という結果になりました。そのほか、集中力の低下やモチベーションの低下にも、比較的票が集まっています。
「仕事・家事・育児の両立」が思うようにいかず、また職場での環境がストレスとなり、イライラや気分の落ち込みといった、心への影響が多いことが見えてきます。次に、職場復帰後のつらさをどう乗り越えたかを調査しました。
「家族・パートナーに相談した」(48.1%)が最も多い結果となりました。次いで、「友人やママ友に相談した」(25.5%)と「我慢してやり過ごした」(25.5%)が同率2位となり、「上司や先輩に相談した」(16.3%)と続いています。
周囲に相談する人がいる一方で、だれにも相談せずに自分のなかでやり過ごしている実態もうかがえます。
今回の調査からは、育休明けの復職後のストレスからくる心やからだへの影響が、疲労感だけでなく、「イライラ」「気分の落ち込み・憂鬱」といった精神面の不調として現れるケースが多いことが見えてきました。
また、こうしたつらさを家族や友人など周囲へ相談する人がいる一方、「我慢してやり過ごした」と回答した人も一定数いました。
育休明けから職場復帰する女性の心身への負担を軽減するためには、一人で悩みや負担を抱え込まないためにも、職場における相談・支援体制の充実が求められているといえそうです。
4.育休明けから職場復帰する女性への企業の支援・サポート体制
育休明けの職場復帰では、仕事と家庭の両立への不安や、復帰後のストレス・疲労など、さまざまな課題が存在することがわかりました。こうした課題を改善するためには、企業による支援やサポート体制が重要になると考えられます。
そこで、育休から職場復帰を経験した女性611名に、職場復帰の際、実際に利用した会社のサポートについて伺いました。
利用したサポートとしては、「時短制度」(50.4%)が最も多く、「フレックス/在宅」(20.8%)が続きました。また、「サポートはなかった・サポートはあったが利用しなかった」(30.6%)を回答した人は、全体の約3割を占めています。
時短勤務やフレックスタイムなどの勤務制度はある程度活用されていることがうかがえるものの、一部の企業ではサポート体制がない、もしくはサポート体制はあっても利用してもらえるような仕組み化や組織風土ができていない可能性が考えられます。
また、これまでの調査結果から、復職者が抱える課題は、勤務時間や働く場所のサポートだけでは解決されない「育児の悩み」や「メンタルヘルス」など、心理的な側面にも及ぶことが見えてきました。
そこで、先ほどの設問で「からだやメンタルヘルスに関する相談窓口(社内・社外)」を利用していない人のうち、「そのようなサービスがあれば利用したい」と回答した291名に、どのような相談をしたいかを尋ねました。
「育児に関する相談」(64.6%)が最も多く、次いで、「ご自身のメンタルヘルスへの相談」(59.8%)、「健康に関する相談」(31.6%)という結果になりました。
からだやメンタルヘルスに関する相談窓口が支援として存在した場合、育児やメンタルヘルスに関する相談を希望する人が一定数存在することからも、育休から職場復帰する女性の支援を行ううえでは、勤務制度の整備とあわせて、気軽に育児やメンタルヘルスに関する相談ができる環境の整備も必要なのではないでしょうか。
5.まとめ
今回の調査で、育休明けに職場復帰を経験した多くの女性が復職前に不安を感じていることがわかりました。また、復帰後も、疲労感やストレスによる心身への影響を感じる人も多く、一人で悩みや負担を抱え込まないためにも、職場における相談・支援体制の充実が重要だと考えられます。
そのため、時短勤務やフレックスタイム制度などの「時間のサポート」に加え、育児やメンタルヘルスに関する悩みを気軽に相談できる環境づくりも求められるでしょう。また、管理職や周囲のメンバーの理解を深め、仕事と育児を両立しやすい組織風土を醸成していくことも大切です。
こうした支援体制や職場環境を整えることは、復職者の心身の不調の軽減だけでなく、継続的な活躍や離職防止にもつながり、結果として組織全体のエンゲージメントや生産性の向上にも寄与することが期待されます。
本調査が、育休明けから職場復帰する従業員への支援・サポート体制を見直すきっかけとなれば幸いです。
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※当記事は2026年6月に作成されたものです。
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