健康経営銘柄2025、健康経営優良法人2025の申請開始!~令和6年度の施策および健康経営度調査等の方向性~
こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。
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2024年8月19日より「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付が開始されています※1。令和6年度の健康経営度調査等の方向性については、2024年7月23日に開催された、経済産業省の第12回「健康投資ワーキンググループ※2」(以下、「WG」という)で議論が進められました。本記事では、その議論のベースとされた第12回健康投資WG事務局説明資料から要点をピックアップして紹介します。
※1 経済産業省『「健康経営銘柄2025」及び「健康経営優良法人2025」の申請受付を開始しました』
https://www.meti.go.jp/press/2024/08/20240819001/20240819001.html
※2 健康投資ワーキンググループとは、健康投資の促進等について専門的な検討を行うために経済産業省によって設置された組織です。健康経営度調査や顕彰制度といった健康投資の促進等について議論が行われています。
目次
■目指すべき姿の実現に向けた令和6年度の施策の方向性
1.健康経営の可視化と質の向上
2.新たなマーケットの創出
3.健康経営の社会への浸透・定着
■令和6年度の健康経営顕彰制度(1)改訂のポイント
■令和6年度の健康経営顕彰制度(2)スケジュールおよび要件設定
目指すべき姿の実現に向けた令和6年度の施策の方向性
「目指すべき姿」とは、健康経営が日本経済社会を支える基盤になることです。その実現のために「令和6年度の施策の方向性」として、以下の3本柱に基づいて「健康経営度調査票等の内容、制度設計の在り方等を見直すとともに、支援産業の事業環境を整えていく」こととしています。
1.健康経営の可視化と質の向上
2.新たなマーケットの創出
3.健康経営の社会への浸透・定着
1. 健康経営の可視化と質の向上
◆健康経営のあるべき姿(ガイドブックの改訂)
健康経営度調査を開始してから10年が経過しました。その間、企業における人的資本の重要性はさらに高まり、人的資本経営やウェルビーイング経営、サステナビリティ経営、コラボヘルスの浸透など、健康経営を取り巻く環境は大きく変化しました。この変化に合わせ、新たな時代の健康経営の意義や効果検証等の在り方などを取りまとめ、「健康経営ガイドブック」と「健康投資管理会計ガイドライン」の改訂版を策定します。
2. 新たなマーケットの創出
◆OECDにおける国際PR
OECD64か国が参加する中小企業・起業家専門会合、およびOECD医療専門家会合で健康経営について各国から高い関心を得ました。OECDの中小企業向けのブログ「COGITO」に日本の健康経営に関する記事を掲載しましたが、こうした活動は健康経営の国際認知度向上に役立つとみられ、今後もPR活動を展開していきます。
◆民間事業者間の成果連動契約方式の導入支援
健康経営の推進とヘルスケア産業育成の同時支援の観点から、企業や健康保険組合等が連携して保健事業等の発注主体となり、成果と連動して報酬を支払うPFS(Pay for Success)事業組成・伴走支援が検討されています。
◆メンタルヘルス関連サービス選択支援ツール
メンタルヘルス関連サービス選択支援ツールは、雇用主がWeb上で自社のニーズ・課題に対するサービスの選択肢を知り、自社の課題に応じて適切なサービス選択を支援することを想定したものです。社会実装に向けて、体制や運営ルール、開示情報の質の担保等に関する議論を今年度実施します。
3. 健康経営の社会への浸透・定着
◆健康経営の情報を開示する上場企業の時価総額
令和5年度健康経営度調査の回答結果によれば、東京証券取引所において、健康経営に関する情報を社外に開示している企業の時価総額の比率は71%を占めています。開示企業数は、前年度より228増えて2,466法人となり、健康経営の情報を開示する企業が増加しています。
◆英語表記変更
海外へ情報発信する際に、現行の英語表記である「Health and Productivity」では健康経営の概念が伝わりにくいという指摘があったため、英語表記を「KENKO Investment for Health」に変更します。
◆さまざまな領域との連携(白書等への記載)
各省庁の報告書にも、健康経営についての記述が増加しています。今後も、各省との連携により、さらなる健康経営の浸透を図ります。
[記載のあった白書等]
女性版骨太の方針2024(内閣府男女共同参画局)/健康日本21(第三次)(厚生労働省)/令和6年版 男女共同参画白書(内閣府男女共同参画局)/令和5年度 食育白書(農林水産省)/令和5年版 自殺対策白書(厚生労働省)
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令和6年度の健康経営顕彰制度 (1)改訂のポイント
今年度施策の方向性を踏まえ、健康経営度調査および申請書は下記事項を改訂します。
【1.健康経営の可視化と質の向上】
【大規模】PHR(パーソナルヘルスレコード)の活用促進(新設)
【大規模】40歳未満の従業員に関する健診データの提供
【大規模】質の向上に向けた意識醸成(配点バランスの修正)
【大規模】柔軟な働き方の促進(小項目追加)
【中小規模】ブライト500申請法人フィードバックシート公開
【中小規模】新たな顕彰枠の拡大
【2.新たなマーケットの創出】
【大規模】海外法人を含めた健康経営推進に関する実態把握 (アンケート)
【3. 健康経営の社会への浸透・定着】
【大規模】【中小規模】育児・介護と就業の両立支援(設問分離)
【大規模】常時使用しない非正社員等を対象に含めた企業の評価(新設)
【大規模】若年層からの健康意識の啓発 プレコンセプションケア(アンケート)
【中小規模】小規模法人への特例制度の導入(認定要件緩和)
【中小規模】健康宣言事業未実施の国保・共済組合等加入法人への対応
※【大規模】については令和6年度健康経営度調査を改訂予定。
【中小規模】については健康経営優良法人2025(中小規模法人部門) 認定申請書を改訂予定。
以上の改訂のポイントについて、さらに具体的な案が以下のように示されました。
【1.健康経営の可視化と質の向上】
◆【大規模】PHRの活用促進(新設)
今年度からPHRの活用に向けた環境整備状況全般について新たに問うことが検討されています(SQは現状把握を目的とし、評価はしない)。
◆【大規模】40歳未満の従業員に関する健診データの提供
主な健保組合等保険者への健診データの提供に関する設問について、 40歳未満の従業員に関する健診データの提供を今年度から加点事由とします。 40歳以上の従業員に関する健診データの提供は認定要件のまま変更はありません。
◆【大規模】質の向上に向けた意識醸成(配点バランスの修正)
健康経営が持続的に効果を生むには、取り組みの意義や質の向上への意識を常に持ち続けることが重要です。また限られたリソースを効果的に投資していく必要があります。そのことを踏まえ、調査票の配点バランスの修正が検討されています。修正方針は以下の2点です。
(1) 配点全体を見直し、健康経営推進に重要な設問に重みを付ける(経営レベルの会議等)
(2) 自社の状況を把握した上で、結果・成果を意識した取り組みを推進するため、プロセスの多寡ではなく、アウトプット指標側への配点を高める
(1)、(2)に従って具体的な調査票の変更案や配点案が以下のように示されています。
(1)【大規模】経営レベルの会議での議題・頻度
健康経営の意義や効果検証等について経営レベルで議論することは、質の高い健康経営を実践していくために重要です。取締役会と経営会議等で取り上げる議題の違いがあることを踏まえ、項目を分割するとともに、議題として取り上げる内容の選択肢をより具体化し、経営層の関与を評価します。また、「経営会議等」で健康経営を議題として取り上げていることをホワイト500の認定要件とします。
(2)アウトプット指標のみへの配点案
成果や結果に結び付きやすい方法を自社の状況に応じて検討すべきという主旨が明確に伝わるよう、重点的な取り組みのアウトプッ ト指標を評価していきます。
◆【大規模】柔軟な働き方の促進(小項目追加)
ICT環境が急速に変化し、新たな働き方が広まっています。従業員が心身共に健康に働ける環境整備という観点から、事由を問わない在宅勤務・テレワークの導入状況を含め、柔軟な働き方を確保するための企業の取り組みを評価します。また、心身の不調等に早期に対処しやすい環境を整備する観点から、通院等を理由として取得できる有給の特別休暇制度等の選択肢を追加していきます。
◆【中小規模】ブライト500申請法人フィードバックシートの公開
ブライト500の取り組み内容が公開されることで、よりいっそうの取り組みの充実や裾野拡大につながることが期待されます。そのため今年度より、ブライト500申請法人に対して、フィードバックシートの公開を求めます。ただし、フィードバックシートを公開する条件を選択できる問いを設けることで各法人の意向を確認します(健康経営度調査における意向確認と同様の設計)。
◆【中小規模】新たな顕彰枠の設定
通常の認定からのステップを明示する目的で、ブライト500と通常認定の間に新たな冠 (ネクストブライト1000)を設け、ブライト500、ネクストブライト1000、通常認定の3 層構造とします。
【2.新たなマーケットの創出】
◆【大規模】海外法人を含めた健康経営推進に関する実態把握
グローバルにおいて健康経営の推進状況をより具体的に把握するため、健康経営に力を入れている国と、その国での健康経営の実施方針について問うこととします(ただし、グローバルに展開していない回答企業も多くあるため、少なくとも今年度は配点しない)。
【3.健康経営の社会への浸透・定着】
◆【大規模】【中小規模】育児・介護と就業の両立支援(設問分離)
介護と就業の両立支援が進んでいないという調査結果を踏まえ、大規模については介護と育児それぞれに設問を分離し 、中小規模については2025年度以降に認定項目とすることで取り組みをいっそう促進します。「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」 の「企業が取り組むべき介護両立支援のアクション」を参照し、選択肢を拡充・整理します。SQでは引き続き実態を聴取し、施策実効性を図るため、今年度より研修への参加率を評価したいとしています。
◆【大規模】常時使用しない非正社員等を対象に含めた企業の評価(新設)
企業における常時使用しない従業員・ 派遣社員などへの健康施策の実施等を評価していきます。
◆【大規模】若年層からの健康意識の啓発 (プレコンセプションケア)
プレコンセプションケアは、男女ともに、若い世代から健康意識を高めてもらうための身近なテーマといえます。プレコンセプションケアについて、企業側の認識を問うためにアンケートとして新設します。
◆【中小規模】小規模法人への特例制度の導入(特例内容)
小規模法人に対する健康経営優良法人の申請間口を拡大します。従業員数の少ない法人に対して、取り組みの実態に合わせた健康経営の推進を促すに当たり、認定要件を低減した特例を設けていきます。
◆【中小規模】小規模法人への特例制度の導入(対象法人)
特例制度の対象は、中小企業基本法における小規模事業者およびその他法人格における従業員数5人以下の法人に限定します。特例制度は試験的な導入とし、3年以内に見直すものとします。
◆【中小規模】健康宣言事業未実施の国保組合・共済組合等加入法人への対応
健康宣言事業を実施していない一部国保組合・共済組合等の加入法人において、 自治体での宣言事業実施の有無にかかわらず自己宣言を認めることとします。
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令和6年度の健康経営顕彰制度 (2)スケジュールおよび要件設定
「健康経営銘柄2025」および「健康経営優良法人2025」のスケジュールは、例年通りを予定しています。
【大規模】 健康経営度調査の申請受付期間 8月19日~10月11日
【中小規模】健康経営優良法人認定申請書の申請受付期間 8月19日~10月18日
また、大規模および中小規模法人の認定基準は、下記の通りです。
原稿・社会保険研究所 Copyright
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【出典】
・経済産業省「健康・医療新産業協議会 第12回健康投資WG事務局説明資料」
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/kenko_iryo/kenko_toshi/pdf/012_02_00.pdf
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※当記事は2024年8月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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