冬季うつ~日照時間と健康の関係~
メンタルヘルスカウンセリング等の健康経営支援サービスを提供するティーペックで、メンタルヘルス相談・カウンセリング業務を担当している心理相談カウンセラー(臨床心理士、公認心理師等)から、こころの健康を保つためにお役立ていただける情報をお届けします。今回は、「冬季うつ」に関する参考情報に加え、「日照時間と健康の関係」についてご紹介します。※注1
「冬季うつ」とは?
「冬季うつ」は多くの場合、秋や冬から気分の落ち込みや気力の減退がおこり、春や夏になると元の状態になることを繰り返します。また、季節性の出来事によるストレス(例えば季節性の失業や学校の行事)とは無関係に気力が減退します。
「うつ」と聞くと不眠や食欲不振をイメージされる方もいるかもしれませんが、「冬季うつ」の場合は、過眠や過食が多いといわれています(※厳密には「うつ」の場合であっても過眠や過食の症状が出る場合があります)。
「冬季うつ」の原因
「冬季うつ」の原因は、日照時間と体内時計の変化が関連していると推定されています。季節に影響を受けたり、高緯度(低緯度より日照時間が短い)ほど、「冬季うつ」が増加したりすることから示唆されます。また、医師の管理の下で、高照度光療法(強い光の照射30~60分間を毎日朝方に行うこと)で改善することからも光の影響が大きいと考えられています。
日照時間と健康の関係
「冬季うつ」だけでなく、日照時間が短いことで健康に影響を及ぼす場合があります。
そのひとつが、朝日を浴びる時間が少ないことにより人間の体内時計(概日リズム、生体リズムとも)が乱れ、心身に不調をきたすというものです。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、人間には体内時計があります。この体内時計は約25時間で、地球の1日約24時間とズレがあります。このズレを修正するタイミングが朝日の光を目に十分浴びることです。冬は夏と比較して日光が弱く、日照時間が短いので光を十分に浴びることができず、その結果、体内時計のズレの修正が上手くいかなくなり、乱れ易くなります。
どうすれば良いかというと、「起床後2時間以内に30分以上、朝日の光を目から取り入れる」という方法です。※注2
また、併せて、睡眠と食事の時間を一定にすることも体内時計の調整に役立ちます。食事の場合は、特に夕食から8時間以上空けて朝食をとることが推奨されています。
人間の身体は自然のリズムを上手く使いながら機能していることが窺えます。現代は日々の生活を送る上で、どうしても自然に触れる機会が少なく、自然のリズムを取り入れにくい面があります。取り急ぎ、朝日を浴びていないようでしたら、日焼けにご注意の上、日光浴を楽しんでも良いかもしれません。
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※注1:このコラムは病気に関する正確な情報を示しているものではございません。あくまでも参考情報です。そのため正式な病名は使わず「冬季うつ」としています。正確な病気の情報および診断は高度な専門知識・技術を要するものですので、ご自身で判断せず、必ず医師による診察・助言を受けてください。
※注2:太陽を直接見るのは避けてください。日光浴程度という意味です。また、日光を浴びることで体調が悪化する特定の病気があります。持病をお持ちの方は、主治医にご相談の上、実施の判断をしてください。
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自分自身のからだ・こころの声に耳を傾けることは、忙しい日々の中では後回しにしてしまいがちですが、定期的に自分を振り返る機会を持つことをお勧めします。
そこで、「あれ?」と違和感を覚えたときは、早めに専門家に相談しましょう。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※当記事は、2022年12月に作成されたものです。