新型コロナウイルスに関する電話によるメンタルヘルス相談件数と内容の推移を公開

電話によるメンタルヘルス相談のうち、2020年3月1日から2020年5月12日の期間で「新型コロナウイルス」をキーワードに抽出した相談件数と内容の推移を公開します。
新型コロナウイルス関連電話によるメンタルヘルス相談件数
3月より、当社の電話によるメンタルヘルス相談の中から「新型コロナウイルス」をキーワードにして抽出しました。


4月7日の緊急事態宣言の後で、件数が増加し、4月22日から4月28日は相談に占める割合が40%以上となりましたが、国内の新規感染者数の増加が緩やかになってきたことに伴い、相談件数も徐々に減少しています。
新型コロナウイルス関連電話によるメンタルヘルス相談内容の推移

緊急事態宣言発令後の4月中旬より家庭内暴力(DV)発生や悪化など相談内容の深刻さが増しています。ご相談の中には、新型コロナウイルスの影響による失業など大きなストレスによって、自殺のリスクが高まっているご相談もありました。孤独感が高まっていると一層リスクが高まりますので、相談先の確保が大切であることが示唆されます。
緊急事態宣言期間が延長となってからは、感染の不安や心身の不調に関する相談に加え、宣言解除の見通しが持てないことによる自粛疲れや収入減や失業など経済的な不安に関する相談が増えています。
また、新しい取り組みとして、オンライン形式での業務や会議、授業への不慣れさや疲労に関する相談も散見されます。家庭内暴力(DV)や、自殺リスクのある相談は、継続しているため、引き続き支援が必要です。
ゴールデンウィークの連休明け以降、国内の新規感染者数の増加が緩やかになってくると、相談の内容の広がりも落ち着いてきています。
主な相談内容について内容と考察

(1)メンタルヘルス不調の悪化・感染の不安
ストレスがかかることにより、元々持っていたメンタルヘルスの不調や身体的な症状に関する不安などがより表に現れてきています。さらに、ウイルスは目に見えず、感染者がどこにいるかも分からないため、「自分も感染してしまうのではないか」と不安に思う気持ちも多く語られています。
また、今までできていたストレス発散の方法が、特に「3密」になりやすい趣味や気分転換を中心にできなくなる、または制限がかかることにより、ストレスが溜まりやすくなっていることがうかがえます。
電話によるメンタルヘルス相談では、新型コロナウイルス問題はいつまで続くか不明確なので、現状でできるストレス発散の方法について、新たに見つけたり、既存の方法を工夫したりして、自分のストレス解消法のレパートリーを増やすことも重要とお伝えをしています。
(2)家族間の問題・孤独の問題
家族間の問題では、問題があってもこれまでは物理的な距離を取ることで、感情的にぶつかり合うことを避けてきた家族においては、外出自粛により夫婦・親子・親戚間の問題が表面化してきているようです。さらに外出自粛が長期化するにつれ、葛藤が積み重なり、イライラ感が増加している状況と考えられます。
また、これまで問題を抱えていなかった家族においても、感染症に対する受け止め方、感染症への家庭での対策についてなど、価値観の差が明らかになることにより、もめごとが増えている様子が見られています。

一方、一人暮らしの方から、孤独の問題が発生、もしくは悪化している相談も増加しています。これは、今までであれば外出して気分転換を図っていたところ、今は気軽に外出できないことや、友人や趣味を共有する仲間との交流を得る機会が乏しくなっていることが要因と挙げられます。
(3)経済的な問題による不安や自殺のリスク
緊急事態宣言発令による自粛要請が長期化するにつれ、収入の減少や失業など経済的な問題が顕在化してきています。収入の減少により、日々の生活、住宅ローンの返済や子どもの学費の支払いへの影響を不安に感じる気持ちが多く語られています。
特に、事業主や非正規労働者の方の相談は、失業や失職の危機に直面し、切迫している様子がうかがえます。失業や失職は、自殺リスクとの関連性も示唆されているため、メンタルヘルスのケアに加え、適切な相談先を用意することが重要であると考えられます。
(4)ハラスメントに関する問題
ハラスメントに関する相談の中で、新型コロナウイルス関連の内容の相談は、全国的に、会社や教育機関(大学など)の在宅勤務がはじまった4月から急激に件数が増えていました。
在宅勤務になり、同僚同士の自発的な情報共有のグループに入れてもらえないなど、対人関係の問題の表面化、および改善のための行動が起こし辛いことが影響する例も散見されます。

おわりに
新型コロナウイルスによるメンタル不調は、ストレスが多くかかる(入ってくる)だけでなく、自粛等の制限により、今までできていたストレスを発散する行動(出す)ができなくなり、ストレスが非常に溜まりやすくなることが特徴です。
今後、今の状況が長期化するにつれて、どのような方でもメンタルヘルスの不調をきたす可能性が高まることが考えられます。そのため、適切な相談先をもつことが重要となります。
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提供元:
T-PEC Channel
新型コロナウイルスに関する電話によるメンタルヘルス相談件数と内容の推移を公開
https://t-pec.jp/ch/article/458
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※当記事は2020年6月時点のT-PEC Channel(https://t-pec.jp/ch/article/458)で作成されたものを元に、データやイラストのみ一部修正したものです。