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みんなの健康情報 2026/07/15

職場の熱中症死傷災害は過去最多に!事業者に求められる熱中症対策とは

職場の熱中症死傷災害は過去最多に!事業者に求められる熱中症対策とは

こんにちは。企業の健康経営(R)を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

近年、夏の暑さが一層厳しさを増す中、職場における熱中症による死傷者数(死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者の数、以下「死傷者数」という)も増加しています。厚生労働省の調査によると、2025年における職場での熱中症による死傷者数は1,803人と、統計開始以来、過去最多となりました。本記事では、「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況」から直近の傾向を整理するとともに、企業に求められる熱中症対策や、2026年3月に策定された「職場における熱中症防止のためのガイドライン」のポイントについて解説します。

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《目次》
1.熱中症の定義と主な症状
2.2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」の概要
3.事業者に義務付けられた職場の熱中症対策とは
4.「職場における熱中症防止のためのガイドライン」のポイント
5.まとめ

1.熱中症の定義と主な症状

熱中症は高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、体内の調整機能がうまく働かなくなることで体内に熱がこもり発症する障害の総称です。

【疑われる症状】
目まい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・倦怠(けんたい)感・意識障害・けいれん・手足の運動障害、高体温 など

2.2025年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」の概要

2025年における職場での熱中症死傷者数は、1,803人(前年比546人増・約43%増)、死亡者は19人(前年比12人減・約39%減)でした。死傷者数の増加は、6~8月の平均気温偏差※が統計開始以来最高の+2.36℃を記録したことが一因であると推測されています。
一方で死亡者数は減少しています。2025年労働安全衛生規則の改正・施行により、事業場における重篤化防止対策が進み、死亡災害の防止が一定程度図られたと推測されています。

※平均気温偏差の基準値(1991~2020年の30年平均値):気象庁

職場における熱中症による死傷者数の推移のグラフ

【出典】厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」p1より
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf

1)業種別発生状況(2021~2025年)

死傷者数の割合の1位は製造業19.1%、2位が建設業18.7%でした。この2業種で約4割を占めています。死亡者数の割合は1位が建設業39.7%、2位が警備業13.7%の順で多く発生しており、年によりばらつきがありますが、この2業種で約4割から7割を占めています。

熱中症による業種別死傷者数の割合と業種別死亡者数の割合(2021~2025年計)のグラフ

【出典】厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」p4より
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf

2)月別発生状況(2021~2025年)

死傷者数の約77%、死亡者数の約85%が7月または8月の2か月間に集中しています。夏季は、特に注意や配慮が必要です。

3)時間帯別発生状況(2021~2025年)

午前中や午後3時前後に死傷者数が最も多くなっていますが、日中のいずれの時間帯でも発生しています。一方、死亡者数の多くは午後の時間帯に発生しています。気温が下がった17時台や18時台以降に死亡に至るケースも散見し、日中には重篤な症状は見られなかったにもかかわらず、作業終了後や帰宅後に体調が悪化したケースが報告されています。

熱中症による時間帯別死傷者数(2021~2025年計)のグラフ

【出典】厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」p8より
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf

3.事業者に義務付けられた職場の熱中症対策とは

増加傾向にある職場の熱中症死傷災害を踏まえ、2025年6月1日、事業者に対し事業場の熱中症対策を罰則付きで義務付ける、労働安全衛生規則第612条の2が新設されました。
本規則が規定する主要義務は3点です。

1)熱中症の自覚症状がある作業者や熱中症のおそれがある作業者を見つけた者がその旨を報告するための「報告体制の整備」
2)重篤化を防止するための「措置手順の作成」
3)1)、2)の体制や手順の「関係作業者への周知」

義務化された熱中症対策の趣旨は「早期発見」と重篤化防止の「措置」です。対象は「WBGT値(暑さ指数)28℃以上、または気温31℃以上の環境下」で「連続1時間以上、または1日4時間を超える作業」に従事する者と事業者となっています。WBGT(湿球黒球温度:Wet Bulb Globe Temperature)値とは、気温に加え、湿度、風速、輻射(ふくしゃ)(放射)熱[日射しを浴びたときに受ける熱や、地面、建物、人体などから出ている熱のこと]を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数を指します。

1)「報告体制の整備」…報告すべき者(責任者)の事前決定、職場巡視やバディ制の採用など、双方向での定期連絡などにより、熱中症おそれのある作業者を積極的に把握し、報告する体制を整備することなどが挙げられます。
2)「手順等の作成」…事業場における緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先および所在地等の掲示・周知を事前に行い、熱中症の恐れのある作業者を把握した場合には、作業離脱や身体冷却、医療機関への搬送など、重篤化防止に必要な措置の実施手順を作成、関係作業者へ周知すること、などが挙げられます。

4.「職場における熱中症防止のためのガイドライン」のポイント

2026年3月に策定された「職場における熱中症防止のためのガイドライン」では、「早期発見と措置」に加え、「発症の予防」に重点が置かれています。同ガイドラインから、人事・労務担当者が対応すべきポイントを解説します。

■熱中症リスクの把握と評価

WBGT値の具体的な管理を明確化しています。測定には、JIS B7922:2023に適合した黒球付きの機器を用い、評価結果に基づき、WBGT基準値を超える場合には、適切な熱中症防止対策を実施します。

<参考>身体作業強度(代謝率レベル)等に応じたWBGT基準値

身体作業強度(代謝率レベル)等に応じたWBGT基準値を示した図

※暑熱順化:体が暑さに慣れること。暑くなる前から体を徐々に暑さに慣らすことで熱中症を防ぐ。
【出典】厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドラインを参考に熱中症を効果的に防止しましょう!」パンフレットp4より
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001704760.pdf

■熱中症リスクに応じた措置

熱中症リスクに応じた措置として、下記の対応が求められています。

1)労働衛生管理体制の確立
事業場の熱中症防止対策を検討する際には衛生委員会等を活用し、労使で話し合い、重篤化防止措置の手順等を整備し、周知する。事業者によっては、「熱中症予防管理者」を選任する など

2)作業環境管理
暑熱環境を改善するために、発熱体と作業者を隔てる遮蔽物や日光・照り返しを防ぐ屋根等を設備する。また、脚を伸ばして横になれるよう、冷房等の設置された休憩所を設備する など

3)作業管理
WBGT基準値からの超過度合いによって、作業時間の短縮や計画的な暑熱順化、作業開始前・休憩時に体温を下げておくプレクーリングを検討する。水分・塩分の定期的な摂取の推奨 など

4)健康管理
健康診断等で異常所見があると診断された場合には、医師の意見に基づき適切な措置を行うこと。作業当日の作業者の健康状態及び暑熱順化の状況等を確認する など

5)労働衛生教育
熱中症予防管理者向け労働衛生教育、職長等向け教育、作業従事者向け教育の推奨 など

その他、スポットワーカーや短期雇用者等へも同様の熱中症対策を行うことが明確化されました。

5.まとめ

事業者が適切な熱中症重篤化防止対策を実施し、実効性のある予防対策を講じることは労働災害を防止し、従業員や作業者の生命と健康を守ります。また、生産性を向上させるためにも、早期発見・迅速な対応がスムーズに行われる体制と熱中症にならない職場環境づくりが重要です。

原稿・社会保険研究所Copyright

<事務局より>
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【出典】
・厚生労働省「2025年(令和7年)職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001705024.pdf

・厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf

・厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドライン」
https://neccyusho.mhlw.go.jp/pdf/2026/r8_neccyusho_guidelines.pdf

・厚生労働省「職場における熱中症防止のためのガイドラインを参考に熱中症を効果的に防止しましょう!」パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001704760.pdf

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※当記事は2026年7月時点で作成したものです。
※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

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