特集
管理職の悩みQ&A 2022/04/27

高ストレス者を多く抱える部署、どう改善していけばいい?~管理職の悩みQ&A~

こんにちは。企業の健康経営を支援する「わくわくT-PEC」事務局です。

どんな職場にもよくある管理職の悩みについて、事例をご紹介します。
今回は「ストレスチェック後の部署への対応」についてのご相談です。健康経営支援サービスを提供するティーペックでは、メンタルヘルス相談・カウンセリング業務を担当している心理カウンセラー(臨床心理士、公認心理師等)が回答しています。

記事の最後では、「事例のポイント」も併せてご紹介いたします。皆様ならどう対応するかを、一緒にお考えください。

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管理職の方からのご相談

ストレスチェック後の集団分析結果にて、高ストレス者割合が50%を超えてしまった部署があり、その部署の職場環境を改善することも求められ、1ヶ月前に異動してきました。ストレスチェックでは、従業員のストレスの原因として、特に「職場での対人関係のストレス」の項目が悪い状況です。

部下から挙がった話としては、ストレスチェックを実施した時の管理職は、指導の仕方が厳しく、部署内に相談のしにくい雰囲気があったとのことでした。また、部下はほとんど外回りに出ているため、顔を合わせること自体、週に1度しかなく、もともとコミュニケーションが取り辛い部署ではあります。

会社からは高ストレス者の割合を減少させるために職場を改善していくよう指示されているものの、何から手をつけてよいか分かりません。次回のストレスチェックの結果が改善されるかどうかが心配です。

※厚生労働省が想定している高ストレス者割合は概ね全体の10%程度。

課題の整理

ストレスチェックの集団分析結果を受けて、責任を感じる管理職の方がいらっしゃいますが、ストレスチェックの目的は悪者探しをすることではありません。弱みだけでなく、強みも含めたその部署の特徴を理解し、それを活かすことで、よりよい職場としていくことが本来の目的となります。

また、それぞれの従業員の主観的な判断であるという点、受検した時点での状況によって数値が大きく左右するという点があるため、そもそもストレスチェック自体に限界があることも理解する必要があるでしょう。ストレスチェックの結果のみで判断する危険性もあります。

そのため、対応としては、現在、部下はどのようなことが負担となっているかを具体的に整理していく必要があります。まず、部下から個別にヒアリングを実施しましょう。

本事例では、ヒアリングの結果、「部署内が相談し辛い雰囲気」「帰り辛くて残業時間が増えてしまう」「部屋の中が汚い」「申請書類が煩雑」などの課題が出てきました。

対応策の検討

部署内の課題が整理されたら、次にその課題を解決するために、どのような取り組みができるかについて整理していく必要があります。その際に、管理職が担う役割は2つあります。1つが、職場内のストレッサー(ストレスの原因となるもの)を減らしていくこと、もう1つは、管理職が部下にとってのサポートとなるよう関わることです。

(1)職場内のストレッサーを低減する

部下へのヒアリングの結果、明らかになったストレッサーを減らすために、職場内の物理的環境を改善したり、部下の仕事の量や質を見直したりすることが1つ目の取り組みになります。ストレッサーを減らすためにどのような取り組みができるかについて管理職の方と話し合ったところ、ここでは、下記のような対応策が挙げられました。

●「部屋の中が汚い」⇒「業務時間内に部署内の掃除を行うこととし、担当者は週ごとの当番制にする」「作業の導線を見直し、オフィスのレイアウトを変更する」

●「申請書類が煩雑」⇒「オンライン上で申請できないかシステム部に相談する」「紙で申請するものは、申請内容ごとに色分けしたボックスで管理する」

●「帰り辛くて残業時間が増えてしまう」⇒「終業時間にチャイムを鳴らし、終礼を行う」「月の残業時間の目標値や、ノー残業デーなどを設け、残業を当たり前とする雰囲気を変える」

(2)管理職が部下のサポート資源として機能する

次に、部下のサポート資源として機能するということは、管理職が部下への声かけや関わり方を工夫することで、部下の負担を軽減していくことです。部下にとってのサポートとなるために、どのような取り組みができるかについて管理職の方と話し合ったところ、ここでは、下記のような対応策が挙げられました。

●「部署内が相談し辛い雰囲気」
⇒「部下からの関わりを待つのではなく、上司から積極的に声をかけ、業務の進捗を確認したり雑談を投げかけたりする」
⇒「上司の席の近くに椅子を1脚置き、いつでも落ち着いて相談できるようにする」

事例のポイント

1. ストレスチェックの結果、高ストレス者割合が50%を超えた部署の職場環境を改善させることを会社から求められ異動となった。
2. 部署内では「相談し辛い雰囲気」がある。
3. 高ストレス者割合が減らなかった場合、管理職の責任が問われるのではと考えると不安。

管理職の視点

1. ストレスチェックの結果を唯一の指標とせず、部下のヒアリングを行い、部署内の課題を整理する。
2. 職場内のストレスの原因となるものを低減するための具体的な取り組みを検討する。
3. 管理職が部下にとってのサポート資源として機能するために、部下への日々の関わり方について具体的に検討する。

※「健康経営(R)」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
※当記事は、2022年4月に作成されたものです。
※本事例は、ご利用者のプライバシーを保護しつつ、簡潔にまとめる目的の範囲内で情報の編集・加工を行っています。