ティーペックの健康付帯サービスは次のステージへ―メディカル・ファイナンスの専門家と連携で病気になった後のQOLサポートを強化
ティーペック株式会社(以下、ティーペック)では、近年、ますます多様化する健康・医療に関する悩み・不安に対応すべく、2021年12月に社外の専門家5名、専門サービス提供企業6社とパートナー契約を締結、QOL向上のためのサポートを強化、時代に合った健康相談事業の発展を目指しています。
(参考)T-PECパートナーシップ一覧 https://www.t-pec.co.jp/partnership/
このたび、パートナー契約を締結した専門家のうち、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を伝えるメディカル・ファイナンスの専門家・黒田尚子さん(黒田尚子FPオフィス代表)をお招きし、当社の代表取締役・鼠家和彦と「病気とお金の悩み」とその解消のためにティーペックができることについて、意見を交わしました。
<ご紹介>
(写真左)鼠家 和彦/(写真右)黒田 尚子さん
患者さんの抱えるお金の問題に応えるファイナンシャル・プランナー(FP)―パートナー契約を締結の経緯
鼠家:
ティーペックでは、平成元年の創業以来、ご相談者から受ける健康・医療に関する悩み・不安の解消を目指し、「24時間健康相談サービス」「セカンドオピニオン手配サービス」をはじめ、様々なサービスを提供してまいりました。
社内には看護師や公認心理師・臨床心理士など多くの医療専門職を抱え、社外には専門医療機関や専門医のネットワークを構築し、満足度の高いサービスを実現していると自負しているのですが、近年はライフスタイルの変化や医療技術の進化により相談内容のニーズの多様化が進んでいると感じています。
特に、がんなど、その後の生活の質に大きな影響を与えかねない病気では、本人の希望・置かれている環境などが一人ひとり異なるため、相談内容は非常に個別性が高いものとなります。今後は、「医療に近い領域」にとどまらず、幅広く患者さんの不安に寄り添っていく必要があると考えています。
患者さんの悩みや不安は多岐にわたりますが、なかでも患者さんにとって深刻と思われるのが「病気とお金の問題」です。この分野の不安を受け止める体制を強化するために、幅広い経験・実績を持つメディカル・ファイナンスの専門家である黒田さんにご協力をお願いしました。
黒田さん:
ティーペックさんを知ったのは、FPとして保険会社主催の付帯サービスの勉強会や見学会に参加したのが最初です。その後、ご縁があって、砂原会長(当時社長)にインタビューさせていただいたことがきっかけでT-PEC Channelなどで協力させていただいたりして、もう10年近い、お付き合いになります。
はじめに砂原会長のお話を聞き、サービスに取り組む「熱意」がとても印象的で、ぜひ一緒に何か取り組みたいと思っていました。今回、保険会社の付帯サービスや企業の福利厚生として広くサービスを浸透させたティーペックさんが「病気とお金」の分野にもサービスを拡充したいというお話を頂戴した時、これまで以上に多くの人たちの悩みや不安を解消できるのではないかと思い、パートナー契約を結んだ次第です。
鼠家:
黒田さんは、医療機関で「患者さんの経済的な問題」に関する相談を受けていますが、ニーズはやはり高いと感じていますか。
黒田さん:
病気の治療にはお金がかかりますし、治療を受けることで仕事が思うようにできず、収入が減る可能性があります。そのため経済面で不安や悩みを感じている人は多く、そのストレスが治療に影響を及ぼすことも少なくありません。
その一方でファイナンシャル・プランナーが、そうした相談に対応していることがあまり知られておらず、経済的な不安を抱えて困っていても「どこに相談したらいいのか」また「どんなFPにでも相談できるのか」と思うようで、患者さんにとって相談自体のハードルが高いというのが現実です。一度利用してもらうとリピーターになってくれる人は多いのですが。
鼠家:
黒田さんが医療機関で行っているような対面での相談だけではなく、電話相談やオンライン相談などもっと手軽な仕組みを作れば、相談する人も増えるのではないかと思い、それをティーペックのサービスで実現しようと準備を進めているところです。
黒田さん:
確かに、ティーペックさんの保険の付帯サービスに、「FPが病気とお金の悩みの相談を受ける」という仕組みを導入してもらえれば、より多くの人の悩みに対応できますね。同時に、患者さんが抱えるお金の問題に対し、FPがお役に立てるということも世間に広く認知してもらえるのではないかと期待しています。
オンライン相談なら相談の地域格差も埋められますし、コロナ禍でも安心なので仕組みの整備はうれしい限りです。
メディカルFP育成は課題―必要なのは病気に関する専門知識ではなく「その後の影響」に関わる情報
鼠家:
しかし、FPであれば誰でも病気とお金に関する相談に対応できるわけではないですよね。
黒田さん:
おっしゃる通りです。現在(2021年7月時点)、資格者でいえば、AFP(FP普通資格)は約16万人(※)、CFP®(FP上級資格)は約2万人以上いますが、私の把握している限り、医療機関と提携して、定期的有償で患者さんの相談に対応しているFPは全国で10人程度だと思います。とにかく人材が不足しているのです。
※特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会HP「データで見るFP資格」
https://www.jafp.or.jp/aim/fpshikaku/data/
分野が医療ということもあって、敬遠されがちなのかもしれませんが、私個人の考えでは、そこまで病気自体の専門知識に詳しくなくても対応できると考えています。一番重要なのは、病気の影響により今後の仕事がどうなるのか、つまり収入の見通しを立てることです。そのために代表的な治療の内容や期間、副作用など仕事に影響を及ぼす情報や知識は把握しておく必要があります。
相談員の育成は本当に課題ですので、ティーペックさんに協力いただき「医療とお金に強くなるFP講座」という動画を作成しました。
(参考)医療とお金に強くなるためのFP講座【がん編】 https://naokokuroda.stores.jp/
鼠家:
私も動画を拝見しましたが、非常に中身が濃く、大変勉強になりました。FPだけではなく、がん保険・医療保険を提案する保険代理店の方にもお勧めの内容ですね。
黒田さん:
知っておきたいがんの知識や最新の情報、相談事例やアドバイス、相談を受ける側に必要なスキルを網羅した内容となっていますので、保険の営業職の皆さまにも紹介していただきたいですし、その他にも、患者さんからの相談を受ける立場であるFPはもちろんのこと、社会保険労務士、医療者、保険代理店の募集人の皆さまなど、いろんな業種の方が観てもいろいろと役立つはずです。最近では介護職の方からも「いい教材ですね」とコメントを寄せてもらいました。
病気になるとメンタルが不安定になりがちです。これは当たり前のことです。体調が必ずしも良い時ばかりではありません。以前、私が相談を受けた患者さんの中には、面談のはじめの時には非常に不機嫌だった方が、お話をお聞きして、丁寧にご説明していくうち、最後は笑顔で帰られたことがありました。これは、病気への理解や情報をもって接しているからこそ、信頼感が生まれる結果ではないでしょうか。患者さんにとって、治療中の貴重な時間、「FPに相談してよかった」と思ってもらいたいと常に思っています。
ティーペックの専門家ネットワークの可能性―患者さんと専門家、専門家同士のハブとしての役割に
鼠家:
当社は、医師や医療機関をはじめ医療関係者、企業・健保・自治体・保険会社などあらゆる方に支えられ助言をいただきながら成長してきました。今後は、患者支援という立場で活動をされている方々とも協力をしながら「繋ぐ」をキーワードに社会に貢献できる会社を目指していきます。その想いから2021年より、創業以来、「コールセンター」と呼んでいた名称を「コンタクトセンター」と改名しました。
昨年12月に、黒田さんとパートナー契約を結びましたが、同様にアピアランスケア、老後のライフプラン設計、がんサバイバーのサポート、ツアーナース派遣など様々な分野の専門家や、専門的なサポートを提供している会社と提携し、ネットワークを強化しています。これらのニーズの高まる分野において、当社がハブとなって患者さんと専門家をつないでいき、患者さんやそのご家族の助けになるようなサービスを展開していきたいと思っております。
黒田さん:
病気とお金の問題で相談に来た人が、同時にアピアランスや心の問題も抱えているというように、ひとりの患者さんが持つ悩みが様々な分野に渡っている場合も多くあります。実際に、アピアランスサポートの場で、「お金やこれからの生活のことが不安であれば」と、FP相談の情報をもらって、相談にくる方もいます。各専門家同士の情報共有の場があり連携できれば、がん患者さんのサポートはさらに進むと思います。
ぜひ、他の分野の専門家の方々と交流の機会もいただけたらと思います。
鼠家:
専門家同士の協力や連携の場としても、当社が役立てればと考えていますので、交流の場も実現したいです。
引き続き黒田さんにご協力をいただきながら、患者さんやご家族のQOL向上につながるようなサービスを構築すべく力を尽くす所存です。今後ともどうぞよろしくお願いします。
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ライティング・写真:瀬田 尚子
※当記事は2022年3月時点で作成されたものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。