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事務局いちおし 2021/08/31

セカンドオピニオンのメリットとやり方、注意点を解説(医師監修)

セカンドオピニオンは、患者自身が納得のいく、最善の治療方法を見つけるための手段のひとつです。セカンドオピニオンのメリットとやり方、注意点を、医師の渡邊宏行先生が解説します。(以下、医師監修による記事です。)

≪目次≫
◆セカンドオピニオンとは、病気の診断や治療方針について求める第2の意見のこと
◆セカンドオピニオンを受ける際の注意点
◆セカンドオピニオンを受ける流れ
◆セカンドオピニオンを受ける医療機関の探し方
◆セカンドオピニオンは、最善の治療方法を見つける手段

セカンドオピニオンとは、病気の診断や治療方針について求める第2の意見のこと

セカンドオピニオンとは、患者自身が納得のいく治療方法を選べるように、主治医とは違う医療機関の医師に、病気の診断や治療方針について求める、「第2の意見」のことを指します。 セカンドオピニオンを聞くことで、それぞれの医師の意見をもとに、患者自身が病気や治療への理解を深め、最善の治療方法を選択できるのです。

なお、転院や担当医を代えること、患者が満足のいく結果がでるまで、さまざまな病院を渡り歩く、ドクターショッピングとは異なります。

どのようなときに、セカンドオピニオンを受けるのか?

セカンドオピニオンは、どのようなときに受ければいいのでしょうか。一般的にセカンドオピニオンを受けるきっかけについて見ていきましょう。

<セカンドオピニオンを受けるきっかけの例>
・ほかの治療方法の可能性がないかを聞きたいとき
・主治医の診断について、ほかの医師の意見を聞きたいとき
・主治医の説明に納得のいかない部分があるとき
・主治医の説明について別の角度から検証したいとき
・治療方法を選ぶ際のアドバイスが欲しいとき

これらの要望は、特にがんや進行性の難病など、治療方法が高度で、長期化する病気の場合によく発生します。セカンドオピニオンは、こうした要求を解決し、患者が良質な医療を受けられるように認められている権利です。
ただし、セカンドオピニオンは、絶対に受けなければいけないものではありませんので、上記のような要望を解決する手段のひとつとして覚えておきましょう。

セカンドオピニオンのメリット・デメリット

セカンドオピニオンを受けるメリットは、主治医とは異なる治療方針が示された場合に、選択肢が広がることです。ただし、専門的ながん医療の提供を行う、がん診療連携拠点病院では、現在の最良の医療である標準治療を取り入れているため、診断結果が大きく異なることは考えづらいでしょう。
選択肢が広がらなくても、同じ結論だからこそ納得できたり、説明方法が違うのでわかりやすかったりすることがあります。このように、病気や治療への理解が深まることで、治療に専念しやすくなることもセカンドオピニオンのメリットといえます。

一方、セカンドオピニオンのデメリットは、医療費の負担が増えることです。セカンドオピニオンに必要な費用は、公的医療保険制度が適用されない自由診療扱い(全額自己負担)になるのです。
また、受診する手間や治療までに時間がかかりますので、病気の種類や進行状況によっては、迷っているあいだに病状が進行してしまうことも考えられますので、ご注意ください。

セカンドオピニオンを受ける際の注意点

続いては、セカンドオピニオンを受ける際に、注意しておきたいポイントをご紹介します。 セカンドオピニオンを行う際にぜひお役立てください。

主治医の診断結果や治療方針をしっかりと理解する

まずは、主治医の診断結果と治療方針について、理解する必要があります。わからないことがあれば臆さず質問して、理解するように努めましょう。
医療に関する説明は、医師がどれだけわかりやすく話そうと配慮しても、専門用語が出てきて理解しづらいことや、診断結果のショックで話がきちんと聞けないことがあります。診断結果を聞く際には、家族や信頼できる人といっしょに話を聞いたり、メモをとって後から見直したりすることも有効です。

主治医に内緒にせず、セカンドオピニオンを受けることを相談する

主治医を信頼していないようにとられたり、気を悪くして今後の治療に影響が出たりしないかが気になって、セカンドオピニオンを受けることを主治医に言いづらいと思う人がいます。しかし、多くの医師は、セカンドオピニオンについて肯定的です。
特に、がん治療において、セカンドオピニオンは珍しいことではないため、話がスムーズに進むことも多くあります。主治医に率直に相談し、専門の医療機関への紹介状やこれまでの検査データを用意してもらいましょう。

セカンドオピニオン受診後、最後は自分で決断する

セカンドオピニオンが主治医と異なる見解だったために、どちらの病院や治療方法にすればいいかわからないということが起こるかもしれません。そのような場合は、家族や信頼できる人とも相談しながら検討したり、セカンドオピニオンの結果を主治医に報告し、病院や治療方法を検討したりしましょう。
ただし、受診する病院や治療方法の最終的な判断は、自分自身で行うこととなります。的確に判断するためにも、なぜセカンドオピニオンを受けたいのかという思いを整理してから、受けることをおすすめします。

医師以外の医療ソーシャルワーカーや看護師の意見を聞いてみる

セカンドオピニオンを受けるか悩んでいる場合は、医療ソーシャルワーカーに相談してみるのもひとつの手です。医療ソーシャルワーカーは、保険医療機関において、患者の抱える心理的、経済的な問題の解決や調整を行う役割があり、社会福祉支援を行う専門スタッフです。
ほかにも、看護師や病院の相談窓口、がん診療連携拠点病院の相談支援センターなどに相談することも可能ですので、気軽に聞いてみましょう。
なお、医師以外の医療従事者は、診断や治療に関しての相談は専門外となりますので、ご注意ください。

セカンドオピニオンを受ける流れ

セカンドオピニオンの注意点を理解した上で、実際にセカンドオピニオンを受ける際の流れを見ていきましょう。セカンドオピニオンは主に、下記の6つの流れで行います。

<セカンドオピニオンを受けることを決めてからの流れ>
1. 主治医の意見をよく聞いて理解する
2. セカンドオピニオンを受ける医療機関を決める
3. 主治医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介状、検査結果のデータを用意してもらう
4. セカンドオピニオンを受ける
5. 主治医に、セカンドオピニオンを受けた医師から受け取った書類を渡して結果を伝え、相談する
6. 治療する医療機関や治療方針を決め、主治医に自分の出した結論を伝える

セカンドオピニオンは、自分にとって最善の治療方法を得ることが目的です。疑問点は、医師や医療ソーシャルワーカー、看護師などに積極的に聞いて解消しておきましょう。
また、家族や信頼できる人に付き添ってもらうなど、落ち着いて話を聞く状態を作ることも大切です。セカンドオピニオンを受ける際には、前述した注意点もぜひ参考にしてください。

セカンドオピニオンを受ける医療機関の探し方

セカンドオピニオンを受ける医療機関を探すには、主治医からの紹介に加え、下記のような方法もあります。最後に、医療機関の探し方とそれぞれの特徴を見ていきましょう。

主治医に紹介してもらう

主治医に相談すると、専門の医療機関の紹介状を作成してもらえ、スムーズに話が進む可能性が高いでしょう。医師同士で情報の連携をすることがあるため、主治医からの紹介だとその点も安心です。

インターネットや本・雑誌から自分で探す

自分で、インターネットや本・雑誌などで医療機関や医師について調べて、打診することもひとつの手です。現在では、インターネットに有用な情報が多く公開されています。
例えば、がんの場合なら、地域のがん診療連携拠点病院を調べると、専門的な医療機関の一覧が見られますので、参考にしてみるのもおすすめです。また、知人に検討している病気でセカンドオピニオンを利用したことがある人がいるなら、話を聞いてみるのもいいでしょう。

医療保険や民間の医療関連情報サービスを利用する

民間医療保険に付帯されているセカンドオピニオン手配サービスや、民間の医療関連情報サービスを利用して医療機関を探す方法もあります。医師や看護師などへ気軽に相談できたり、サービスの内容によっては、相談内容に応じてセカンドオピニオンを受ける医療機関の案内や紹介のほか、受診の手配を行ってもらえたりするので、非常に便利です。

セカンドオピニオンは、最善の治療方法を見つける手段

セカンドオピニオンは、自分にとって最善の治療方法を選択する手段のひとつです。病気や治療方針への理解が深まり、前向きに治療に専念できることなど多くのメリットがあります。
せっかく受けたセカンドオピニオンを無駄にしないように、セカンドオピニオンを受ける前には、なぜ受けたいと思うのかや、不安に思っていることなど、自分の気持ちをしっかりと整理しておくことをおすすめします。その上で、メリットとデメリットを考慮し、上手にセカンドオピニオンを利用しましょう。

<監修者プロフィール>

渡邊 宏行 医師 

【専門分野】
産業医、精神科全般
【略歴】
日本精神神経学会、日本プライマリ・ケア連合学会、医師+(いしぷらす)所属。
信州大学医学部卒業後、大学附属病院、クリニック等を経て総合病院勤務。産業医活動に重点を置き、現在、嘱託産業医として活動中。システム開発、ゲーム開発、保険などのオフィス現場から製造、食品、薬剤等の工場や建設・物流、医療・介護施設など、業界は多岐にわたり、これまで70社以上の企業を担当。


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参考
・国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「セカンドオピニオン」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/dia_tre_diagnosis/second_opinion.html
・国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター「標準治療」
https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/hyojunchiryo.html
・厚生労働省「がん診療連携拠点病院等の整備について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000347080.pdf
・厚生労働省「医療ソーシャルワーカー業務指針」
http://www.jaswhs.or.jp/upload/Img_PDF/183_Img_PDF.pdf?id=0803202004
・厚生労働省「がん診療連携拠点病院等」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/gan_byoin.html
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※当記事は2021年8月に作成されたものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事が全てのケースにおいて当てはまるわけではありません。