乳がん治療、何に費用がかかるの? 保険の営業スタッフの乳がん体験談~納得のいく乳房再建を選択した理由と感想~
乳がんになったとき、お金が必要になるのはどんな場面でしょうか?
症状や本人の希望により千差万別ではありますが、今回は、乳房再建に最もお金をかけた大樹生命保険の石河香(いしこかおり)さんに体験談をお聞きしました。
乳がんになったとき、手術によって失った胸を取り戻すための乳房再建は、人工物(インプラント)を用いる再建の方法や、脂肪など自分の体の別の組織を利用する自家組織再建といった方法、また、どのタイミングで手術するか、どの医療機関を選ぶかなど、選択肢が多数あり、患者さんは自分が納得できるものを探して選択する必要があります。石河さんのお話から、納得する乳房再建が乳がん患者さんのQOLに大きく影響することもわかりました。
大樹生命保険株式会社
横浜北支社・新横浜統括営業部
石河香(いしこかおり)さん
乳がん発見のきっかけは社内のピンクリボンセミナー。自覚症状はしこりと凹(へこ)み
――乳がんの罹患について、自己触診で発見したとお聞きしたのですが、その経緯を教えてください。
2010年に大樹生命に入社しました。入社後の2012年に社内の勉強会「ピンクリボンセミナー」に参加し、初めて乳がんについて詳しく学びました。セミナーは、自己触診や症例の話が写真で詳しく説明されるなど充実した内容でした。
2013年の3月、当時47歳の時に、子供の学校行事が終わり一息ついて鏡を見ると、胸に凹みがあることに気付きました。「なんかおかしいな」と感じ、自己触診するとしこりもあり、セミナーで聞いた症例と同じだなと思い、即病院へ行きました。乳がん診断は、左乳房、ステージⅡ~Ⅲの間でリンパ節転移ありという診断でした。
入社まで子育てをしていて、特に健康関連の知識をもっていなかったので、乳がんについて意識したことが全くありませんでした。あのピンクリボンセミナーを受けていなかったら、見た目に凹みがあっても、それが乳がんだと気付かなかったと思います。このキャリアチェンジがなければ乳がんを発見できていなかったと思うので、保険の営業職を勧めてくれた母に感謝しています。
乳がん診断時の感想は「やっぱりね」。きちんと胸を直そうと決めて乳房再建に一時金を投入!
――乳がんとわかったときの感想を教えてください。
受診前に家族にも「90%乳がんだと思う!」と言って出かけたぐらい自分の中に乳がんという確信があったので、ショックよりも「やっぱりね」と思いました。とりあえず全て確定をしてからいろいろ考えようと思っていました。「まさか自分が…」という気持ちはありました。
検査の結果、部分切除と放射線治療を勧められましたが、毎日の通院が難しくセカンドオピニオンをとりました。そして全摘と乳房再建というワードが出てきたときに、あのピンクリボンセミナーを思い出し、すぐにセミナーを主催したクリニックに相談予約を入れました。
乳がんの手術前に乳房再建のクリニックで相談をしてよかったのは、切る前に症例写真をたくさん見せていただいたので不安がなくなったこと、自信をもって全摘を選択できたことです。3月に乳がん発見、4月にセカンドオピニオン、5月に乳房再建の相談、5月に手術…この時期は、スピード感がありましたね。
――石河さんが選択した乳房再建方法について教えてください。
私は温泉が好きなので、きちんと胸を直そうと思いました。家族と相談して保険の一時金を全部治療に使っていいと言われたので安心して保険適用外の乳房再建も視野に入れることにしました。
インプラントを用いた乳房再建は、保険適用での治療費が比較的安く、体験談も多いのですが、個人的にはやはり胸の形や高さの問題、異物感への心配がありました。他の自家組織再建という方法もあるのですが、入院が長引いてしまうことや、病院探しも時間がかかるので、私は脂肪注入による再建一択でした。
私が選択した乳房再建は、自分の太ももやお腹周りから吸引した脂肪をそのまま注入するのではなく、吸引した脂肪の一部から脂肪由来幹細胞を取り出し、注入する脂肪に加えることで注入脂肪の定着を良くする再生医療の乳房再建で保険適用外の方法です。お金の話をすると、180万円(*)ほどでした。
*治療内容によって費用は異なります。
手術の痛みは、麻酔が一番痛く、あとは筋肉痛のような痛みがある程度です。胸に入れる脂肪はお腹や太ももなどから取りましたが、これも麻酔をかけているので痛くなく、傷も残りませんでした。3日ぐらい会社を休んで4日目にはもう会議に参加していました。
あと、お金を使ったのは、入院時の個室です。物音がすると寝られないので絶対条件でした。個室代も保険でカバーしました。
――乳房再建の方法の「決め手」は何でしたか?
症例写真の比較です。乳房再建相談のときに部分切除と全摘のシミュレーションもやっていただけましたし、クリニックで再建前後の写真を見せてもらい、不安はなく先生を信じました。
私は症例写真が決め手になりましたが、もし体験者が身近にいるなら、その方に相談、可能であれば触らせていただくのもいいと思います。どんな胸に直したいかをイメージできることは大切です。
経験した人にしかわからないことがあるならそれを伝えていこう!乳房再建は、家族と相談、自分の気持ちと相談して選択
――石河さんは、乳がん患者会のセミナーに登壇するなど、体験談を積極的に伝えていますが、乳がん体験、乳房再建について話すことになったきっかけは何でしょうか?
乳がん罹患について、初めは公開するつもりはありませんでしたが、経験した人にしかわからないことがあるならそれを伝えていこうと思い、今ではいろんなところで体験を話しています。私のお客さまにも乳がんの方、乳房再建に興味がある方がいますので、相談に乗ることも多いです。乳がん関連のセミナーにも登壇しています。
乳がんと言われたとき、メンタル的に不安定になる方が多いと思います。体験者としては、その方たちを励まし、そして寄り添ってあげたいなといつも思っています。
Peer Ring × セルポートクリニック横浜オンラインセミナー
第2回「CAL・培養CALを知る」(2021年5月11日開催)での一場面
――やはり、乳房再建はしたほうがいいと思いますか?
自分の気持ち次第だと思います。
私はきちんと直そうと決めていたこともあり乳頭再建もしているのですが、乳頭再建前に温泉に行ったことがあります。その時に、思ったより見られている感覚がありました。ふくらみがあるのに乳頭がないという状態がやはり違和感があるように写っていたのだと思います。あと、子供は悪気なく指をさしてきますね(笑)
このようなことが気にならない方は絶対に再建が必要というわけではありませんが、気になる人は再建を検討したほうが良いかなと思います。ちなみに、乳頭再建の費用は8万円(*)ぐらいでした。
乳房再建も乳頭再建も、最後は、自分の気持ちの問題だと思います。
*治療内容によって費用は異なります。
病気になるのは仕方ない。それなら、病気になっても安心して生活ができる保険提案をしたい
――乳がん罹患後、仕事への意識変化はありましたか?
病気になるのは仕方ないけれど、その後に安心して生きられるような提案をしたいと思うようになりました。
お客さまに乳がん体験を話していて、乳がんを自分事と考えてもらい、なった後の治療も想像していただくために女性の方には再建の胸を触ってもらうこともあります。
入院時にかかった費用も見せています。自分の体験だけではなく、ほかの病院の個室費用の情報ももっておいて説明しています。リネン代、食事代、交通費など周辺のお金の話もして、病気になったことを想像してもらえるようにしています。
「やはりお金は大切、一時金が重要」「健康なうちに入っておいたほうがいい」というのは体験して身に染みて思ったことなので必ず伝えています。
私が乳がんになった頃はまだ未熟な保険知識でしたが、長年保険業界にいたプロフェッショナルである母親の勧めで相応の保険加入をしていたことが安心と充実に繋がり、保険加入の重要性を身をもって体感したことも影響しています。
――ティーペックの付帯サービスも必ず伝えているとお聞きしました。付帯サービスは石河さんから見ても有用なサービスでしょうか?
付帯サービスは絶対あったほうがいいと思います。
お客さまに、いろいろな情報をお伝えすることが保険営業の仕事と思っております。しかし、私自身病気の症状について医学的なアドバイスはできませんし、24時間すぐに対応ということも個人ではできないのですが、ティーペックの付帯サービス「24時間健康相談サービス」では、専門の方が答えてくれるので安心です。
私の経験からは「セカンドオピニオン手配サービス」は特におすすめですね。自分で手配してみて、大変さがわかりました。予約だけで1か月かかりましたしね。先日、お客さまがセカンドオピニオン手配サービスを利用して納得した医療機関に行くことができ、感謝の言葉をいただき嬉しかったです。
最新の知識を知る権利は誰にでもあり、ティーペックさんとも今後も協力していきたいです。
保険の営業に対しての思いとメッセージ
今回お話しした乳房再建は、一般的にまだあまり知られていない印象があります。乳がんは罹患率が高いがんなので、乳房再建は知識として知っておいたほうが良いと思います。
保険適用だと10万円ぐらいからできるものもあるかと思いますが、ご本人の希望などもありますし、最終的にどんな胸にしたいかの希望もあります。乳房再建は本当に選択肢が多いのです。
保険の営業職は健康相談のなんでも屋さんです。
きちんと1人1人のリスクを考えた保険、対応できる保険を勧めてあげてほしいです。病気に関する周辺情報を提供し、一時金のことをイメージして伝えて、入院やがんのときにこれで大丈夫だよ、と思える提案をしてあげてほしいと思います。
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取材:ティーペック広報 大井美深(2021年8月30日)
※当記事は2021年12月時点で作成したものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事が全てのケースにおいて当てはまるわけではありません。