特集
インタビュー/座談会 2021/07/06

他人事ではない子宮頸がん~早期発見とフォローをセットで提供できるティーペックの取り組み~

子宮頸がんは、子宮の入り口にあたる「子宮頸部」にできるがんで、婦人科の診察で観察や検査がしやすく、がんになる前段階や早期で発見しやすいという特徴があります。一方、早期では自覚症状が乏しく、20〜30代と若い年齢で罹患しやすいため、20歳から国の検診の対象となっていますが、検診受診率は43.7%(※) と、決して高いとは言えない状況です。

今回の対談では、乳がん経験者でがんサバイバー を支える活動をしているNPO法人C-ribbons代表理事の藤森香衣さんをお迎えし、ティーペックのCSR活動としてスタートした子宮頸がんの啓発サイト 「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」(https://hpv.t-pec.co.jp )のプロジェクトメンバーと共に、子宮頸がんを取り巻く現状と課題について、率直な意見を交わしました。

※厚生労働省 「2019年 国民生活基礎調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html

<対談メンバー>
・藤森香衣さん:モデル、NPO法人C-ribbons代表理事(中央)
2012年に乳がんの診断を受けたことをきっかけにNPO法人C-ribbonsを設立。「がんサバイバー」と「支える全ての人たち」 のために活動を行う
・三宅雄大さん:ティーペック株式会社 ヘルスケアストラテジー部(右)
CSR活動として、子宮頸がんの啓発サイトの立ち上げに参加
・大井美深さん:ティーペック株式会社 経営企画部(左)
広報担当

≪目次≫

◆ 啓発活動が思うように進まない子宮頸がん~性をタブー視しすぎる日本~
◆「婦人科」と「産婦人科」の違い 、知られていないのかも?
◆ティーペックが子宮頸がんの啓発サイト「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」をスタート
◆周りに相談しにくい子宮頸がん~不安があれば24時間健康相談サービスを味方にしてほしい~

啓発活動が思うように進まない子宮頸がん~性をタブー視しすぎる日本~

大井:最新の統計では、子宮頸がんに年間11,012人が罹患し(※1)、2,921人が死亡しています(※2)。例えば乳がんは40代以降から増加 しますが、子宮頸がんは20代後半から増加しています。若い世代がかかりやすいということは深刻に受け止めなければいけないですね。
※ 1出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん登録)2017年
※2出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(人口動態統計)2019年

藤森:毎年およそ3,000人もの 若い女性が子宮頸がんで亡くなっているにもかかわらず、社会全体を見ると、当事者である女性自身、そして若い女の子 の親御さんたちにこのような重大な病気について正しい情報が知られていないと感じています。

大井:原因のヒトパピローマウイルス(以下、HPV)で感染や子宮頸がんの前段階である子宮頸部異形成を経てがんになるなど、ざっくりとした「こういう病気がある」という情報でも、知っていれば、検診や婦人科に行くきっかけになり、万が一何かあったとしても早めに発見できますね。

藤森:その通りです。でも、日本には「子宮頸がんは話しづらい病気」という空気があって、他のがんとは異なり啓発活動も思うように進みません。HPVワクチンの副反応に対する不安もそうですが、それ以上にHPVの感染が主に性交渉によって起きるため、罹患した人はもちろん、それ以外の人も「話題にしにくい」と思ってしまっているのが理由です。

海外の友人たちと話していて感じるのは、性をタブー視しすぎる日本社会の特異性です。私たち世代でも、子どもの頃から「生理という言葉を言ってはいけない」「生理は隠しましょう。生理痛は我慢しましょう」と言われて育ち、どこか”恥ずかしいもの“と思う意識が根強いです。他の先進国と比較しても女性同士でも体の話をほとんどしないというのは、日本の特徴ではないでしょうか

「婦人科」と「産婦人科」の違い、知られていないのかも?

藤森:「赤ちゃんができて、初めて婦人科に行きました」という人がいると聞いてびっくりしたのですが、自分の体に無頓着な若い女性は多いです。モデルという職業柄、ダイエットについてよく聞かれますが、無理なダイエットをして生理が止まっても「ラッキー」と言っている女の子を見ると残念な気持ちになります。

三宅:簡単なことではないですが、根本的な意識から変えていく必要がありますね。友人に子宮頸がん検診について聞いてみたのですが、会社が費用を負担してくれて無料で受けられる にもかかわらず、「気持ち悪いし、怖いし、だから受けたことない。会社の同僚もみんなそう言っている」と話していました。

藤森:その気持ちもわかります。あの検診台が怖いと思う人は多いと思いますが、それでも、自分の体を守るために子宮頸がん検診を受けてほしいです。検診もHPVワクチンも、自分できちんと選択することが重要だと考えています。そのためにはまず「知る」ことです。選択するための正しい知識を持ってもらう ことの社会実現ができておらず 、家庭単位でも差があること。それが大きな問題だと考えています。

大井:早期発見できたとしても、やはりいろいろと不安があるのが子宮頸がんという病気だと思います。「子宮頸がん=子宮を全て摘出する 」と思い込み、精神的に追い詰められてしまう人が少なくありません。

藤森:子宮体がんを経験した女性から聞いた話ですが、診断にショックを受け、流されるままに紹介された病院で治療を受けたのですが、そこが「婦人科」ではなく、「産婦人科(産科+婦人科)」で、待合室で「何ヶ月ですか?」と聞かれたり、赤ちゃんの泣き声を聞く中、入院・手術をしたりしたというつらい話を聞きました。子宮頸がんでも同じ思いをする人がいるかもしれないので、病院を紹介する場合は、 診療科も考慮してほしいポイントですね。

三宅:保険の営業職で子宮頸がんを体験した方(参考:35歳働き盛りに子宮頸がん告知~保険営業職ユミさんの体験談~ )は、婦人科と産婦人科の違いをあらかじめ知っていたので、ティーペックの24時間健康相談サービス を利用して「婦人科の病院を探してほしい」と伝えることができたと話していました。情報を持っているかどうかは、治療だけでなく気持ちの上でも大切ですね

ティーペックが子宮頸がんの啓発サイト「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」をスタート

大井:三宅さんの部署の発案で子宮頸がんの啓発サイトをスタートしました。サイトの具体的な内容を教えてください。

三宅:「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」は、 子宮頸がんの情報は もちろんですが、先ほど藤森さんがお話ししていたように、もっと女性に自分の 健康への意識を高めてもらいたいと考え、女性の体の不調やライフスタイルに関する情報をあわせて掲載していきます。

大井:このサイトは情報提供のその先も考えて、子宮頸がんの発症につながるハイリスクHPVの感染がわかる検査キットをサイト内から申し込み、子宮頸がんHPV検査ができるという点が特徴的ですよね。

三宅:そうです。「ハイリスクHPVの感染が気になるけれど病院に行く時間がない、もしくは検査を受けることに抵抗感がある」という人のためにサイトから子宮頸がんHPV検査の申し込みができるようにしました。あくまでも選択肢のひとつですが、ご自身で検査できるキットを紹介できれば、子宮頸部異形成や子宮頸がんの早期発見につながるのではないかと考えます。

藤森:実は、この自分でできる検査キットがあることを知ったのは最近です。検査に抵抗がある女性におすすめしたいです。

女性の体調不良に関する情報サイトはいくつかありますが、情報を知ることで「もしかして……」と抱いた不安をそのままにするのではなく、解決につながる選択肢を提示できるのはとてもいいことだと思います。

三宅:このサイトから発信される情報を受け取った結果、検査キットを申し込んだり 、子宮頸がん検診や診察に足を運ぶといった、ご自分の体を大切にするアクションにつながれば、我々もうれしいです。

おすすめしたいのがティーペックの24時間健康相談サービス との併用です。検査前の不安や、検査後の疑問など、看護師への相談ができます。病院探しもお手伝いできます。

大井:ティーペックの24時間健康相談、加入中の生命保険の健康付帯サービスにあれば無料 で利用できます。若い世代で保険に入っていても健康付帯サービスなどをあまり覚えていない 方は、加入中の保険会社のHPや資料でご確認ください。ティーペックのサービスの利用資格はT-PECサービス利用確認センターでも問い合わせ可能です。

<参考>
・T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト
https://hpv.t-pec.co.jp 
・T-PECサービス利用確認センタ 
https://www.t-pec.co.jp/news/topics/news-20210226/ 

周りに相談しにくい子宮頸がん~不安があれば24時間健康相談サービス を味方にしてほしい~

藤森:私が相談を受けた人の中で、子宮頸がんの診断を受けたけれど、そのまま治療もせず、放っておいていると話していた人がいたのですが、 「病気を受け止めきれず放置してしまうケースも少なくないのでは?」と心配しています。

「傷と違い、がんは放っておいても消えないよ」と、若い皆さんに伝えたいです。

大井:自覚症状がほとんどない ことから、そのまま放っておく人が多いのかもしれませんね 。ティーペックの24時間健康相談では、子宮頸がんについての相談は月100件ほどです。相談内容は、HPV ワクチン接種、子宮頸部異形成 と診断された後の治療や医療機関探しについて、また、子宮頸がんが心配などの不安相談もあります。子宮頸がんが進行した方はセカンドオピニオン手配サービスも利用されています。

三宅:男性視点で考えると婦人科系の話はタブーかと思っていましたが、サイトの立ち上げに取り組みながら、女性だけの問題ではないと感じました。デリケートな話だからこそ、正しい知識や情報を持 っておくことが大切だと思います。

藤森:ご本人も関係者も病気と向き合うのが怖いというのはわかります。でも、子宮頸がんになったとしても、早期発見できればその分、手術で切除する部分が少なくなる、もしくは治療の後遺症が軽く済む可能性があります。早期発見の重要性をもっと多くの方に知っていただきたいです。

大井:24時間健康相談は子宮頸がんの相談先として最適だと思っています。対面ではなく声だけですし、名前だって言わなくても相談できます。男女問わず、「どう話せばいいのか」と思っている人も、ティーペックのカウンセラーは医療従事者で接遇のプロなので利用し やすいと自負しています。

藤森:「がんかもしれない……」と一人で考えるのは不安で怖いと思いますが、専門家に話せば解決できることはたくさんあります。病気のこと、心のつらさ、病院探し、セカンドオピニオンなど、あらゆることを相談できる24時間健康相談 を、子宮頸がんの 事前・事後フォロー先として味方にしてほしいです。

ティーペックの子宮頸がんの早期発見を目指す活動である 「T-PEC子宮頸がんNAプロジェクト」の サービス提供に期待しています。

――― 藤森さん、ありがとうございました ―――

<藤森さんから保険の営業スタッフへメッセージ>

女性のがんの早期発見を目指した活動の中で、子宮頸がんは「性交渉による感染」という経路がわかっていること、若い世代のがんであることなどの特徴ゆえに、乳がんと比較して啓発の難しさに直面したことが何度もあります。確かに、きっかけがないと話しにくい分野だと思います。だからこそ、今回のティーペックさんの取り組みのように、ヘルスケアに関わる企業や社員さんにきっかけと環境を作 っていただきたいとも思っています。
また、女性だけでなく男性にも、子宮頸がんの知識を持っていただくことで、この病気への偏見を社会から無 くしていきたいと考えています。保険会社の皆様 もぜひこの情報サイトと 健康付帯サービスをお客様に伝えて「きっかけ」作 りにご協力ください。よろしくお願いいたします。

藤森香衣(ふじもりかえ)プロフィール

11歳からモデルを始め、広告、CM、テレビなどを中心に活動。中でも、出演したCMの本数は70本を超える。現在はモデルとしての活動の他、テレビショッピングチャンネルQVCにて、自身がプロデュースするブランド商品の販売を行っている 。乳がんで友人を亡くしたことをきっかけに、検診の重要性を知り、自分の胸のしこりを発見。2013年4月、右乳房の全摘出及び、同時再建手術を受けた。

術後すぐに早期発見の重要性を伝えるとともに、自身の病気を公表し、モデルの仕事を続けながら、講演活動なども行っている。サバイバーや支える全ての人 が孤独を感じずに、よりよく生きる社会を実現するため、2016年にNPO法人 C-ribbonsを設立、代表理事を務める。

NPO法人 C-ribbons
http://www.c-ribbons.com/


インタビュー・写真:瀬田尚子


※当記事は2021年6月時点で作成されたものです。
※当記事は個人の体験談に基づくものです。