新型コロナウイルス感染者が増えているのに、重症者が少ないのはなぜか

感染免疫学がご専門の、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に「新型コロナウイルス感染者が増えているのに重症者が少ないのはなぜか」をテーマに解説いただいた記事をご紹介いたします。(以下、藤田先生執筆)
新型コロナウイルスによる新規患者数は全国の緊急事態宣言が解除されてから、急に増加に転じました。グラフ1を見ていただくとわかるように新型コロナウイルスによる新規患者数は7月、8月に急速に増加しています。
グラフ1

表1

緊急事態宣言が全国に拡大された4月16日に比べて、新型コロナウイルスの感染者数は非常に増加に転じたにも関わらず、政府には一向に緊急事態宣言を出す気配が見られませんでした。その理由は、新型コロナウイルスによる死亡率と重症患者数(人工呼吸器などを必要とする患者数)は増えていないことが挙げられます。なぜ、新型コロナウイルスの感染者数が異常に増えても、死亡者と重症患者が増えていないのでしょうか。
その理由は色々と考えられます。まず第1に重症患者への薬の効果や、CTスキャンのかけかたなどの技術面の進歩にも理由があるのかも知れません。しかし、私が重要としているポイントは別の角度からこの統計を見なくてはならないと思っています。新規患者数と重症化率をどのような集団で求めたかという問題です。緊急事態宣言が出された時は、発熱が4日以上続いた人たちなどにPCR検査を行なっていました。したがって、症状の強い方々を主としてピックアップしていたのです。ところが、7月、8月には「夜の接待を伴う場所」など、症状のない方々へも積極的にPCR検査を行なった結果、無症状の陽性者が増えました。そして、無症状でも感染者として数えられました。その結果がグラフ1のように感染者数は多くなったのに対し、重症患者数は少なくなったことが考えられます。
表1を見ていただくとわかるように、2020年5月、新型コロナウイルスによる死亡率は19.2%にまで、上昇しています。しかし、7月、8月の統計では死亡率は0.2%、0.9%となっていることからも確認できます。
今回の新型コロナウイルスによる死亡率は日本人の場合、非常に少ないことは以前にもお話ししました。日本人の新型コロナウイルス感染による10万人あたりの死亡率は、欧米などに比べて、二桁も少ない状況です。日本を含む東アジア諸国、中東の一部の国々は、10万人あたりの死亡率が一桁で、実に百倍以上の差があります。なぜ国によって、新型コロナウイルス感染による死亡率がこのように違うのでしょうか。その答えは日本人の自然免疫が高いことが原因だとわかり、そのことは以前私がご報告した通りです。

8月28日(金)に安倍首相が突然辞意を表明いたしました。安倍首相は持病の潰瘍性大腸炎の再発と、新型コロナウイルスに対する見解が纏まったということで、辞意を決意されたようです。
新型コロナウイルス対策では、私たちは少し過剰に反応してしまったのかも知れません。未知のウイルスの感染だったので、それは仕方のないことだったのかも知れません。死亡率は季節性のインフルエンザに各年齢層で、低いのにも関わらず、指定感染症として、厳しい措置を求めたのです。その結果、医療崩壊の寸前まで進んだことは皆さんもご存知だと思います。新型コロナウイルスは自然免疫を高めておけば、そんなに恐ろしい病気ではなかったのです。
現在は加藤厚生労働大臣※が「指定感染症という位置づけは維持するが、宿泊療養などの実効性を担保していくため、具体的な対応をきめ細かく規定していく必要があり、そうした観点で政令の見直しを考えている」と述べています。
※当記事が作成された2020年8月末時点での情報です。
私は、その考え方に大賛成です。新型コロナウイルスは持病のある人は除いて、健康に暮らしている人にとってはそれほど、恐ろしい病気ではありません。インフルエンザには、そう騒がないのに、新型コロナウイルスについてのみ、騒ぐのは、本当はおかしいことです。自然免疫力を高めてさえおけば、新型コロナウイルスはインフルエンザと同じ扱いでも、良いと思われます。
一方では、この新型コロナウイルス感染によって、世界中の経済活動は低下し、世の中は停滞してしまいました。それを克服するために各国は揃って、ワクチン開発を急いでいます。しかし、私は新型コロナウイルスのワクチンの効果はあまり期待しておりません。たとえ、ワクチンができたとしても獲得免疫が薄れてしまう例が多いことがわかっています。ですから、ワクチン摂取による新型コロナウイルス感染の予防は難しいと思うからです。

これから、季節性のインフルエンザ流行の時期と重なります。このままでは日本の医療現場は大混乱に陥ることが目に見えています。
そこで、私は次のような大胆な、方策を提言したいと思います。新型コロナウイルス感染を法定伝染病の規定から外し、インフルエンザなどと、同じ扱いにする。新型コロナウイルスの感染者にはBCGを打って、自然免疫を高めることーこれしかないと思います。
藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)

医学博士
東京医科歯科大学名誉教授
1939年旧満州に生まれる。東京医科歯科大学医学部卒業、東京大学医学系大学院修了、テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学院教授を経て、現在に至る。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。1995年、『笑うカイチュウ』で講談社出版文化賞・科学出版賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。主な学会活動、日米協力医学研究会の日本代表、NPO自然免疫健康研究会理事長を歴任。主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸は賢い』(知的生きかた文庫三笠書房)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『ヤセたければ腸内「デブ菌」を減らしなさい』(以上ワニブックスplus新書)などがある。
メデイア出演テレビでは『NHK課外授業ようこそ先輩』『NHK人間講座』『NHK Eテレ又吉直樹のヘウレーカ』『日本テレビ世界一受けたい授業』など、ラジオでは『NHK第2ラジオこころをよむ』など多数出演。
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※当記事は2020年8月末時点で作成したものです。
※新型コロナウイルス感染症に関する情報は随時変更になる可能性がありますので、予めご了承ください。
