知って対策!熱中症~室内でも要注意~【PDF付き】
新型コロナウイルス感染予防対策で、マスクを着用する人が多くなりました。マスクなどで口の周りを覆うことで、熱がこもり、体温が上がりやすくなると言われています。これから迎える暑い夏に向けて、今まで以上に熱中症対策が必要になります。
また、「室内にいれば、熱中症にならない」と思っている人は少なくありませんが、近年では室内でも熱中症になる人が増えています!室内での熱中症対策について正しく知って、おうち時間を安全、快適に過ごしましょう。
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≪目次≫
◆熱中症とは
◆熱中症が起こる要因とメカニズム
◆熱中症を防ぐためには
◆熱中症の症状と対処方法
◆室内で熱中症が起こる理由は?
◆室内で起こる熱中症は危険!?
◆室内での熱中症を防ぐには
熱中症とは
気温や湿度の高い環境にいることで、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能がうまく働かなくなるなどして起こる症状をまとめて「熱中症」といいます。
熱中症が起こる要因とメカニズム
熱中症が起こる要因は以下の3つと考えられています。
・環境:気温が高い、湿度が高い、風が弱い、日差しが強いなど
・身体:高齢者、乳幼児、肥満の方、体調不良の方、脱水気味の方など
・行動:長時間の屋外作業、激しい・慣れない運動、水分補給できない状況など
私たちの身体は、暑い日に体温が上がり過ぎないように、皮膚の表面から空気中へ熱を放出することで体温を調整しています。また、暑いときにかく汗は、蒸発するときに身体の熱を奪うことで体温を下げる働きがあります。ところが気温が体温より高くなると、熱の放出が難しくなります。さらに湿度が高いと、汗をかいても蒸発せずに流れ出るばかりでほとんど蒸発しないので、うまく体温調節ができなくなります。
熱中症を防ぐためには
熱中症は命にかかわる病気です。日常生活における予防法を知って、熱中症を予防しましょう。
【こまめな水分補給】
室内でも、外出時でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分・塩分、経口補水液などを補給しましょう。
【暑さを避ける】
・日傘や帽子を着用しましょう。
・できるだけ風通しの良い日陰など、涼しい場所を選び、こまめに休憩しましょう。
・暑い日や時間帯をさけて外出しましょう。
・通気性がよく、吸湿性・速乾性のある涼しい服を着用しましょう。
このほかにも、きちんと食事をとること・適度な運動をすること・十分な休息をとることなど、体調管理をすることも大切です。熱中症について知り、体調の変化に注意しましょう。そして周りの方々へも気を配り、みんなで熱中症を予防していきましょう。
熱中症の症状と対処方法
熱中症は、その重症度により症状や対処法が変わってきます。
重症度Ⅰ度では、めまい、たちくらみ、筋肉のこむらがえり、手足のしびれ、気分が悪い、ボーっとするなどの症状が起こります。このような症状が起こった場合は、涼しい場所で休み、冷たい水分を補給するなどして、可能であれば誰かがついて見守ってください。自分で水分が摂れない場合や症状が悪くなるようであれば、医療機関を受診する必要があります。
重症度Ⅱ度では、頭痛や吐き気、嘔吐、身体のだるさ、集中力や判断力の低下、意識がなんとなくおかしいなどの症状が起こります。このような場合は、重症度Ⅰ度の対処に加え、衣服を緩め、身体の太い血管が通る首や脇の下、太もものつけねなどを冷やして、医療機関を受診しましょう。
重症度Ⅲ度では、意識がない、呼びかけに反応するが返事がおかしい、けいれんしている、まっすぐ歩けない、身体が熱いなどの症状が起こります。このような場合は、救急車を呼ぶ必要があります。救急車が到着するまでの間に、重症度Ⅰ・Ⅱ度の対処を行います。呼びかけへの反応が悪い場合は、無理に水分を与えてはいけません。
熱中症は初期対応が重要です。ちょっと具合が悪い程度でも、短時間のうちに重症化してしまう場合があるため、症状を見過ごさないようにしましょう。特に高齢者や乳幼児は自分では気付かないことが多いので、周囲の人たちが注意する必要があります。
熱中症から自分を守る、そして大切な人を守るためにも、熱中症について正しく知り、しっかりと予防対策していきましょう。
【T-PEC Channel】知って対策!熱中症①(PDF:969.3KB)
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室内で熱中症が起こる理由は?
熱中症予防のための指標として、暑さ指数(WBGT)があります。
暑さ指数(WBGT)とは「気温」「湿度」「輻射熱(ふくしゃねつ)※」の3つを取り入れた身体と外気との熱のやり取りに着目した指標です(正確には、風も指標に影響する)。この暑さ指数(WBGT)が28℃を超えると熱中症患者が増加することが分かっています。
※輻射熱(ふくしゃねつ):日射しを浴びたときに受ける熱や地面や建物、身体などから出る熱で、温度が高いものからはたくさん出る。
「WBGT=気温の効果1割:湿度の効果7割:輻射熱の効果2割」と、湿度が7割も占めており、湿度が高い場所では熱中症になりやすくなることがわかります。
部屋を閉め切って風通しが悪かったり、雨が降って湿度が高くなった場合など、高温多湿の条件が揃えば、室内でも熱中症になる可能性は十分あります。特に、体温調節機能が衰えている高齢者や、未発達の乳幼児は注意が必要です。
室内で起こる熱中症は危険!?
室内ではあまり汗をかかないと思っていませんか?健康な大人では、尿の他、安静にしているだけでも1日におおよそ1L程度の水分が失われると言われています。室内ではあまり動かず、水分を摂ることが少なくなるため、知らない間に「隠れ熱中症」になっている場合があるので注意が必要です。
【室内で熱中症になりやすい環境】
・エアコンや扇風機を使わず高い室温の状態
・気密性が高く空調が効きにくい部屋
・風通しが悪く湿度が高い部屋
・直射日光が入り温度が高い部屋
・蒸し暑いバスルームやキッチン
・狭いトイレ
・急に気温が上がった場合
室内で熱中症を防ぐには?
高齢者の熱中症の大半は室内で起こると言われており注意が必要です。熱中症にかかっているのに症状がなく、急に倒れることもあります。それでは、室内での熱中症を防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
【室内の熱中症を防ぐ方法】
・直射日光を遮る工夫をする
遮光性の高いカーテンやすだれで直射日光を遮る工夫をし、できるだけ室温を上げないように工夫しましょう。
・我慢せずにエアコンや扇風機を使う
節電のため冷房を極力使わない人がいますが、暑いときは我慢をしてはいけません。エアコンがない部屋では、窓を開け扇風機で空気を循環させましょう。
・温湿度計で確認する
体温調節機能が低下している高齢者は、室温が高くても暑いと感じないことがあります。温湿度計を設置し、夏の時期はこまめに確認しましょう。睡眠時の熱中症も増えていますので、寝室の温湿度にも注意しましょう。
・水分補給はのどが渇く前にこまめに
暑い屋外にいるときは誰もが意識して水分を摂りますが、室内にいるとのどがあまり渇かないため、気付いたら熱中症になりかけている場合もあります。とくに暑い日は水分補給を意識して、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分補給することが大切です。
今年の夏も、新型コロナウイルス感染症の予防に努める生活が求められる一方で、熱中症に対してもこれまで以上に注意していく必要があります。手洗いうがいの後に水分を摂ったり、室内温湿度をこまめに調整しながら換気を行うなど、感染予防+熱中症予防を意識して行動し、安全で快適な夏を過ごしましょう。
【T-PEC Channel】知って対策!熱中症②(PDF:926.1KB)
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参考
・環境省 熱中症予防情報サイト
https://www.wbgt.env.go.jp/
・厚生労働省 熱中症予防のために
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000212502_00001.html
・厚生労働省 令和2年度の熱中症予防行動について(周知依頼)
https://www.mhlw.go.jp/content/000633839.pdf
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※当記事は2017年8月時点で作成されたものを元に、データやイラスト、一部文章を修正したものです。
※医師の診断や治療法については、各々の疾患・症状やその時の最新の治療法によって異なります。当記事がすべてのケースにおいて当てはまるわけではありません。