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インタビュー/座談会 2021/04/16

日本の新型コロナウイルス感染症はワクチン接種によって終息するのか?

感染免疫学がご専門の、東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎先生に「日本の新型コロナウイルス感染症はワクチン接種によって終息するのか?」をテーマに解説していただいた記事をご紹介いたします。(以下、藤田先生執筆)

まん延防止等重点措置が決まった

令和3年3月21日に1都3県に出されていた2回目の2ヶ月半にわたった緊急事態宣言が解除されました。しかし、その直後から新型コロナウイルス感染者数が関西地区や東北の一部で再び急激に増え始めました。

政府はまん延防止等重点措置を大阪府、兵庫県、宮城県に4月5日から、5月5日まで適用することを決定しました。これらの地域では飲食店に時間短縮要請を出し、飲食店は再び、午後8時までの営業を要請されることになりました。東京都などの首都圏の感染者数も緊急事態宣言解除後、再び増加に転じ第4波の感染者数の拡大がすぐにも起こるような事態になっています。

日本国民の多くはこの先、日本はどのようになるのかと不安を感じています。しかし、私はワクチン接種を予定通り、順調に行うことができれば日本の新型コロナウイルスの感染症は本年度中に終息するだろうと考えております。それは、ワクチン接種をすでに広範囲に行っている国々の感染状況からうかがえる事実です。そして、それには二つの条件があります。一つはワクチンの供給が予定通り行われること、二つ目は日本国民がワクチンの副反応を恐れないということです。

ワクチン接種の副反応について

まずワクチン接種の副反応について考えてみましょう。副反応とは私などの医療従事者にとって、違和感のある言葉です。なぜなら、副作用という言葉を日頃から使っていて、副反応という言葉はあまり使わなかったからです。日本では薬などを使用して期待される効果と異なる有害な影響という意味で、副作用という言葉を使用していましたが、ワクチン接種の場合は副反応と分けて表現するようになったようです。英語では、同じ「side effect」という一つの言葉で、表しているのが一般的です。

新型コロナウイルスのワクチンはすでに日本で行われています。3月21日までに57万8,835回の接種が行われたと厚生労働省は発表しました。そのうち、医療機関から「アナフィラキシーの疑いがある」と報告があったものを、国際的な評価指標で分析した結果、その数は47件だったと発表しました。

また、2回目の接種でも1万2,316回に1件の割合で、症状が出た人がいたと発表しました。この結果から、「安全性に重大な懸念は認められない」という見解を厚生労働省の専門家部会は発表しています。

イギリス製薬大手アストラゼネカ製のワクチンは血栓問題を受け、欧州の15以上の国が一時的にワクチンの接種を見合わせていました。しかし、「アストラゼネカ製のワクチンは安全で投与によるメリットがリスクを上回る」と欧州の医薬品規制当局である欧州医薬品庁が3月18日に発表し、接種を再開することに決定されました。

日本では厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会 薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は3月26日新型コロナウイルスワクチンの先行接種における健康調査の中間報告を発表しました。2回目の接種後に発熱(37.5℃以上)した人は35.6%で、1回目接種後の3.3%を大きく上回りました。2回目接種後に頭痛があった人が49.0%、倦怠感があった人は67.3%で1回目より、全身症状がでた人の割合が明らかに高くなっています。

この結果を知った日本人の中には、新型コロナウイルスワクチンを接種したくないという人も少なくありません。しかし、このような副反応については世界各国では、ほとんど報告されていません。予防接種で多少の頭痛や発熱の症状は当たり前だとして、問題にしていないのかもしれません。

ワクチン増産、ファイザー、年20億回超へ

新型コロナウイルスワクチンの量産が本格化してきました。アメリカ製薬大手ファイザー・ドイツ製薬ベンチャービオンテックは欧州工場の本格稼働を受けて、年間ワクチン供給能力を2021年中に20億回超分(従来は13億回分)に増やすということです。

世界でワクチン接種が最も進んでいるのは、イスラエルです。全人口に占める接種した人数の割合では世界でダントツのトップです。2021年3月23日時点で国民の半数を越す510万人が1回目の接種を終え、460万人が2回目も終わったそうです。中でも、60歳以上では、8割以上がすでに2回目の接種を終えました。ワクチンを作ったファイザーと特別な契約を結んだからです。大量のワクチンを早めに届けるのと引き換えにイスラエル側は接種の効果などのデータを提供するという約束をしたのです。

16歳以上の約120万人を対象にした研究論文によれば、2回目の接種から7日以上が経った場合、未接種の場合と比べて、発症人数が94%減り、重症化は92%減る効果があったそうです。ファイザーが事前に実施した臨床試験と同じくらいの効果があることがわかってきました。実際、イスラエルの新型コロナウイルス新規感染者数は、ワクチンの2回目接種が始まった当初8,000人前後だったのが、接種が進むにつれて減少に転じました。2月15日に2回目接種の割合が30%に達すると、新規感染者数が3,000~4,000人くらいに減少しました。さらに2回目接種の割合が50%を超えたころより、新規感染者数は1,000人を下回るほどの減少がみられました。(表)

出典:Our World in Data「Statistics and Research Coronavirus Pandemic (COVID-19)」
https://ourworldindata.org/coronavirus


イスラエルに続いて、ワクチン接種が順調に行われているのが、イギリスです。3月20日時点ですでに成人の半数が1回目の接種を終えました。イギリスの新型コロナウイルス感染による死者数は欧州で最悪の12万6,000人にのぼりましたが、ワクチン接種が順調で、新規感染者数も減り、ジョンソン首相の支持率も上向きに転じました。

アメリカの新規感染者数は3月に入って、1月のピーク時の5分の1に減っています。バイデン大統領は3月11日の演説で、官民一体で、新型コロナウイルスワクチンの全成人への接種を目指すと表明しました。アメリカが国家非常事態を宣言してから、3月13日で、丸1年になります。「7月4日には家族や友人とお祝いできるかもしれない」と、バイデン大統領は述べました。アメリカ人が大切にする独立記念日を平常化の目標としたのです。

日本では河野太郎規制改革相は3月26日の記者会見で、新型コロナウイルスワクチンの自治体への配送計画を発表しました。高齢者3,600万人の4分の1程度に当たるおおよそ900万人分のワクチンを6月末までに配送完了する計画であると発表しました。ワクチンがその後も順調に供給され、接種も順調に行われると仮定すると日本も本年度中に新型コロナウイルス感染症が終息すると私は考えております。

藤田 紘一郎(ふじた こういちろう)

医学博士
東京医科歯科大学名誉教授
1939年旧満州に生まれる。東京医科歯科大学医学部卒業、東京大学医学系大学院修了、テキサス大学留学後、金沢医科大学教授、長崎大学医学部教授、東京医科歯科大学院教授を経て、現在に至る。専門は、寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学。1983年寄生虫体内のアレルゲン発見で、小泉賞を受賞。1995年、『笑うカイチュウ』で講談社出版文化賞・科学出版賞を受賞。2000年、ヒトATLウイルス伝染経路などの研究で日本文化振興会・社会文化功労賞、国際文化栄誉賞を受賞。主な学会活動、日米協力医学研究会の日本代表、NPO自然免疫健康研究会理事長を歴任。主な近著に、『50歳からは炭水化物をやめなさい』(大和書房)、『脳はバカ、腸は賢い』(知的生きかた文庫三笠書房)、『腸をダメにする習慣、鍛える習慣』『ヤセたければ腸内「デブ菌」を減らしなさい』(以上ワニブックスplus新書)などがある。
メデイア出演テレビでは『NHK課外授業ようこそ先輩』『NHK人間講座』『NHK Eテレ又吉直樹のヘウレーカ』『日本テレビ世界一受けたい授業』など、ラジオでは『NHK第2ラジオこころをよむ』など多数出演。


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※当記事は2021年4月時点で作成したものです。
※新型コロナウイルス感染症に関する情報は随時変更になる可能性がありますので、予めご了承ください。